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「わーーーっ!」
ガッシャーンと何かが割れる音と共に陽の慌てた声が響く。
ちなみに片付け始めてから既に3回、この様な声を聞いている。
いい加減もう割るものもないと思ってたのにな…。
「…陽、もう動くな」
「…でも!りょーちゃんだけに任せておけないよ!」
「このやりとり3回目だから…。もうこれ以上物壊すな!」
「うぅ…。じゃあ俺は何すればいい!?」
「……3人でコンビニでも行ってこいよ。んで、からあげちゃん買ってきて。チーズ味。」
「……さりげなく1番遠いコンビニ指定してきたな。」
「……しかも俺たちまで追い出されるの……?」
「昴は服汚れるとか言って動かねーし、湊は半分寝ぼけてて役に立たないから。」
しっしっ!と手で払うと、渋々といった感じで3人は部屋を出ていった。
邪魔な奴らは追い出し、時刻は7時45分。
急いで片付けなければ!巻き込まれて怒られたくないのもあるが、それよりもこの惨状を仕事終わりに見るとか侑也が可哀想すぎる!よりにもよって今日は侑也の……。
あ、そういうことか。
♢♢♢♢♢
「……だいぶ片付いた……よな?」
時刻は8時20分
破れたカーテンなど、元通りとはいかないが何とか見るに堪えない状況は脱した。と思いたい。
ひとまずカーテンが無いのは困るので昴の部屋のカーテンを拝借し、リビングの窓に付けた。少し大きさが違うが、このくらいの誤差は許容範囲内だろう。
ルームスプレーを部屋中に撒いたおかげで臭いもマシになったはず…。もう鼻は機能していないから確信はないけど。
スンスンと働かなくなった鼻で臭いを確認していると、背後でガチャっとドアが開く音がした。
恐る恐る振り返れば、元凶である3人がおぉーと感嘆の声を上げながら辺りを見渡していた。
「わーーーーー!綺麗になってる!!」
「……上の方は届かなかったんだね…崚くん、ありがとう。」
「おい!!あれ俺の部屋のカーテンじゃねえの!?」
「あ、ホントだ!無駄に高いカーテンじゃん!」
「…リッチカーテン…この部屋に似合わないね…ふふ」
帰ってきて早々うるさい3人を無視し、陽の持つ買い物袋からからあげちゃんを抜き取ると掃除で疲れた俺は床に座り込んだ。
あ~、からあげちゃんウマっ。
「崚!食ってる場合かよ!俺の部屋のカーテン!どうすんだよ!?」
「…この部屋にカーテンないと困るじゃん。」
もぐもぐ
「俺の部屋は!?」
「…さあ?」
もぐもぐ
「さあ?じゃねえよ!ってか、喋ってんのに食べるのやめろよ!」
「まあまあ、ばるくん!りょうちゃんのおかげでここまで部屋が回復したんだし!カーテンくらいイイじゃん!」
「…そうだよばるくん。…崚くん、1つちょーだい?」
「カーテンくらいって言うなら陽の部屋のカーテン付けろよ!」
「えーー!!!嫌だよ!カーテンないと困るじゃん!!」
「俺だって困るんだよ!!」
「何が困るの?」