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ありがたい提案


好感度を上げる方法と金稼ぎの手段。

この二つは俺にとって必要不可欠だ。

多少の金を払ってでも、手に入れておきたい。


「まぁ、安くしとくよ、なんて言ったけどどちらもたいした情報じゃないからね。そんなに高くないよ?」


そうなのか? 確かにどちらも普通にゲームをしていたら自然と理解出来そうだな。

俺は、その普通が出来ないからな。聞くしか無い。


「好感度を上げる方法は500Gくらいだね。お金稼ぎの方はちょっと高くなるけど3000Gくらいになるね」


勇者の情報より安いな。問題ない。


「買った」

「まいど~じゃあ先にお代を貰うね。ハクさんの境遇に免じて好感度の方の500Gは負けてあげる」

「すまないな……」

「何言ってんの~これからもご贔屓にって意味もあるんだからね!よろしく頼むよ、お店(うち)に来てくれる人少ないんだから!」


切実な願いを聞いた気がする……

また来ようこの店。

軽い決意をして、金を渡す。

アリスは金を確認する。


「じゃあ情報を渡すね。好感度の上げ方何だけど一般的にはクエストを受けて達成するとか、街の住人と世間話したりお手伝いをしてあげたりすると上がるね。どちらもハクさんには難しいと思うけど……」


本当だな……世間話なんてしてて入れ墨や顔を見られたら話どころじゃなくなるし、クエストに至っては受けられるかどうかも怪しい。あの冒険者組合のおじさんが他の職員に俺の事を言っている可能性もある。


「それと、言いにくいんだけど……好感度って下がれば下がるほど、上がりにくくなるんだ。だから、その~……」

「俺は好感度がとても上がりづらい、と」

「うん、そうなるね……」


好感度マイナス500だからな……もはや、どうしようも無い。


「だが、上がらない訳じゃないんだろ?」

「うん、そうだけど……」

「ならいい。希望があるからな」

「そ、そう……」


希望があるだけマシだろう。


「じゃあ、次はお金稼ぎの方法だね。冒険者組合を使わない方法だと……モンスターの素材を店に直接売りにいく方法とかがあるね。」

「直接?」

「うん。そもそも冒険者組合は素材を買い取って店、つまり武器屋や防具屋に売っているわけでしょ? だったら自分から売りにいけばいいんだよ」

「なるほど。そんなやり方が……」

「でもこれにも問題があってね。ある程度信用がなきゃお店の方も買い取ってくれないんだよね」

「信用……俺から遠い言葉だな……」

「い、いや好感度はこのゲーム全体の評価だから誰からも嫌われる訳じゃないよ! 」

「そうなのか?」

「うん!」


なんか必死に励ましてくれてるな……

大丈夫なんだけどな。

しかし俺が信用を得られる機会などあるのだろうか。


「なんなら、私の行きつけの店に案内しようか?」


願ってもない提案だ。

しかし……


「いいのか? 明らかに情報代より多い利益があるぞ?」

「構わないよ~案内するだけだし、それにこの店にこんなに長い間居てくれたのはハクさんが初めてだし。オマケしてあげる!」

「そ、そうか……」


長い間居たのは俺だけ……

この店の内装、不気味だしな。

苦手な人はホントに苦手だろう。


「じゃあ、頼む。これが情報代だ、確認してくれ」


俺は、二つある金が入った袋のうち一つを空け、情報代分の金を入れアリスに渡す。

店へ案内してくれるので、ちょっと多めに入れておく。


「少し多いよ?」

「オマケだ。受け取ってくれ」


これ位はしないと気が済まない。


「うーん、分かったよ……これはしっかり案内しないとね!」


受け取ってくれて何よりだ。

しかし、少女が案内を頑張ると気合いを入れているのを見ると、微笑ましいな。

まぁ中身の年齢はもっと上だろうが、それを聞くのはゲーム的にも女性への対応としてもアウトだろう。



「あ!あとお金の受け渡しなんだけど、デジタルでも出来るんだ。お金を払う、と意識すれば取引のウィンドウが出てくるようになってるから」


それも知らなかった。ん?でも……


「さっきは普通に渡してたよな?」

「うん、そっちの方が雰囲気出るでしょ?ちなみにお金の出し方は念じるだけで出るよ」


雰囲気重視か……個人的には嫌いじゃない考え方だな。 

金の出し方は後でやってみよう


「よしっ!じゃあ案内するね!」

「店は空けてていいのか?」

「いいよいいよ。どうせ誰も来ないし……」


聞いちゃいけなかった話だな……

直ぐに話を変えよう。


「案内してくれる店は何所にあるんだ?」

「えっと、この路地を抜けて大通りに出て……しばらく東に進めば着くよ!」


場所だけ教えてくれたら自分で行った方がいいか?

その方が、アリスの手もかからない。

張り切ってもらっている所、申し訳ないが。

それを伝えた所……


「あーそれはお勧めしないね……その店の店主、結構気難しいから。知らない人が来たらまず、追い返されるよ? 私が行けば、それも無いと思う」


いろいろ、おかしくないか? どうやって経営しているか、気になるな。


「まぁ詳しくは行ったら分かるし、とりあえず行こう!」

「ああ、分かった」


アリスは店の扉に向かう。

俺も後を追う。

すると、


「ハクさん、ハクさん。フードしなきゃ!」

「おっと、そうだった」


アリスに指摘されるまで忘れていた。

普通に会話出来たもんな……


俺はフードをしっかり被り、雑貨屋の扉を開けた











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