表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/64

アリスとの修練




「ほらほらー、また乱れてるよー」

「ぐっ……」


アリスによる『闘気』の指導が始まって大体二時間程。

最初に比べるとよくなってるが、だんだん集中が続かなくなってきた。


「うん。そろそろ休憩だね」

「っ、はぁー」


後ろに倒れ込む。

何とか形にはなってきた。けど持続と応用がなー。

立った状態だったり、座った状態だと比較的上手くいく。


だが、『型』の動きとかやると多分乱れる。


「じゃ、次からは動きながらやろうかな?」


あれ? アリスってもしかしてスパルタ?


「なんとなく考えてる事分かるなー。でも、いずれはやらないといけないんだから、やりながら身に着ければいいんだよ」


思考読まれた。

アリスも老師とかに同じような訓練を受けたんだろう。


なら、俺もへばってる場合じゃないな。

頑張らないと。


「よし、休憩終わり」


倒れ込んだ状態から勢いをつけてつけて立ち上がる。


「あれ? もう良いの?」

「いつまでも弱音吐いてられないからな」

「良い心意気だね! じゃあもっと厳しく行くよー、打倒夜烏隊!」


厳しくなるようだ。

だけど、老師程厳しくはないだろう。

そう、高をくくっていた。


●●●


「はっ!」

「っ!」


今行っているのは、『無常の構え』をとったまま『金剛闘気』を巡らせ、アリスの攻撃を受けないようにするというもの。


これが難しい。

アリスは闘気の流れが乱れた箇所を的確に突いてくる。

流れが乱れっぱなしだと、全身を突かれまくるという訳だ。


この突きが鋭いのだ。

俺の『撃の型 貫』よりも鋭い。

闘滅流の『金剛闘気』しか修めてない、とアリスは言っていたが、動きは俺より上だ。おかしくない?

アーツの補正ないんだよな?



まぁ、俺が完璧に『闘気』を巡らせていれば攻撃されないんだけどな。


今は数分に一回突かれる程度だ。


一度、突かれた所に意識をとられて、更に他が疎かになり、またそこを突かれて……と、悪いループに入ったりもした。


その時に、眼球に貫手を寸止めされた時は本当に怖かった。

だって……


「乱れすぎ、次は止めないよー」


そう言われたんだから。

俺の中で正式に「アリスはスパルタ」という認定をした瞬間だった。


それからはそれはもう必死にやった。

眼球等、各種臓器にまで至るまで『闘気』を巡らせる。

だって貫かれるから。


体を守る上で必要な部位を確実に守る。

それを徹底した。


そうして、突かれる頻度がかなり減ってきた頃。


「良い感じだね。じゃあ次のステップだよ」


説明されたのを要約すると、

今度は俺の方からも攻撃をしていき、その攻撃の中でも『闘気』を乱れさせないようにする訓練だ。アリスはもう普通に攻撃してくるという訳だ。


あと、アリスから注意というか、補足があった。


「『金剛闘気』は肉体の()()を上げる事に特化してるんだ。だから、身体能力の補正は実はそこまでなんだよ。あんまり過信しすぎないようにね」


何でもかんでも強化できる物では無いという事だ。

強度が上がっても、筋力が上がる訳ではないと。


例えば『気力操作』の正当進化スキルなら、そんな事は無いんだろうけど……


『金剛闘気』が例外なのだ。

だって明らかに正当進化じゃない、闘滅流の技術(スキル)だし。


筋トレもしっかりしないとなー。

幸い俺には『身体能力上昇』があるし。


あれ? そう言えば、前にアリスと老師が試合した時はとんでもない強化してなかったっけ?

その事をアリスに聞くと、


「んんー……あれはね。『闘気』を限界まで込めると強化率も上がるんだ。けっこう緻密な操作が必要だよ。私も出来るようになるまで結構掛かったし。何より長続きしないんだよねー 消費も激しいし」

「なるほど」


瞬間的な物らしい。


元より最初から出来るとは思っていない。

ちょっとずつ練習していこう。


「いくよ」

「おう」


双方構えをとり、打ち合う。

ガンッ! ガンッ!

と音が響く。体と体がぶつかる音じゃない。


「ぐはっ」

「防御が甘いよ」


くっ!

腹に入った。

アリスの身長もあって、防ぎにくい。


……そんな言い訳に意味がないか。

気を引き締めなおし、『闘気』を巡らせる。


受け流せるものは受け流し、どうしようもない攻撃は『闘気』による強化を強めに施す。


『空間察知』のスキルの補正も十全に活かし、攻撃を捌き続ける。

そうやって打ち合って、十分程経った頃。


「うん。ちょっとレベル上げるよー」


何かに頷いたアリスはそう言う。


速さが上がった。さらにアリスは足技を使うようになってきた。

その小さな体からは想像も出来ない強烈な足払いに足を掬われる。


「ぐっ」


直ぐさま体勢を立て直し、起き上がるが、その頃には頭部へのハイキックが迫っていた。


防御……!


反射的に腕を上げて防御しようとするが、気づく。

このままでは常に後手に回る事になる。


ここで使わなければ、何のために『金剛闘気』の使い方を学んだのか分からない。


頭、特に足が当たるであろう左側頭部に『闘気』を集中。


同時に右手に『闘気』を巡らせ強化。

しっかり踏ん張り、『撃の型』を打つ。


踏ん張ったのは、アリスの蹴りで吹き飛ばされないようにだ。


頭に強い衝撃が走る。

だが、耐えられない程ではない。


右腕を振り抜く。


「いいねー。やっぱり成長が早いよ」


衝撃で揺れる視界の中、捉えたアリスは俺の()()()に乗っていた。


漫画かよ……


基礎的な速さや反応速度が尋常ではない。

見切りの速さもだ。


蹴りの後に拳が来ると完全に予測して、体を俺の攻撃の軌道線上に持っていったのだ。

タイミングも、完璧に把握されている。


「スキルやアーツの補正も強力だけど、やっぱり最終的に必要なのはプレイヤースキルだからね。これを磨いておいて損はないよ」


ピョンと、説明しながら腕から降りるアリス。

一応俺、結構ショックだったんだがな……


そんな俺の心境を察したのか、アリスは


「大丈夫だよ、ハクさん。純粋な格闘能力なら私は絶対に追い抜けるから」

「?」


アリスを絶対に追い抜ける?

全く想像が分からないぞ。


「あー……スキルの取りやすさって、前に説明したよね?」


頷く。


「確か最初のキャラメイクで取ったスキルによって変わる、だった筈」

「そうそう。それで、スキルの取りやすさを決める大まかなジャンルって言うのがあるんだ」


つらつらと説明してくれるアリス。


スキルには大きく分けると、

戦闘系、魔法系、生産系、の三つに分けられるらしい。


「例えば、レオとかは分かり易い生産特化だね。生産スキルばっかり取ったプレイヤーは生産系のスキルが取りやすくなる」

「ふむ」

「逆に、色々取ると器用貧乏になっちゃう。全部が取りにくくなって、物によっては取れないスキルも出てくるんだ」

「アリスがそれに?」

「うん、当てはまるね」

「嘘だろ?」


アリスが器用貧乏?

なら俺の立場無いぞ。一応戦闘特化な筈だし。あ、でも『スリ』とかあるな。


「私の場合は組み合わせとか、経験とか、プレイヤースキルでカバーしてる。それでも、『闘滅流格闘術』は取れなかったし、限界はあるんだよ」


それで、純粋な格闘能力なら越えられる、と。

話は理解出来るが、だからと言って勝てるとは思えない。


格闘能力が高い方が絶対勝つ、なんて単純な物じゃないだろう。


色々、考えていると、アリスが手を鳴らす。


「はい、話は終わり! 続き行くよー」

「……ああ。頼む」


アリスが例え器用貧乏だとしても、この訓練は本当にありがたい物だからな。

相手がいるだけでモチベーションも上がるしな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勝手にランキングに登録しています。気が向いたらクリックして貰えると嬉しいです。 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[一言] これで器用貧乏とな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ