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三日間の成長と新スキル


「課題だな」


ローズたちが居なくなった広場の中心。

あの岩にもたれかかりながら、思考する。


考えているのは、あの謎の人物について。


これまで、あそこまで不意を突かれたのは無かった。

あのPKの時でさえ、反応出来た。


あの時の反省としては、二つ


一つ、俺の『気配感知』のスキルが弱い。

二つ、俺の対応力が低い。


どちらも鍛えられる分野だ。

これからはこれらを鍛えていく。

落ち込むばかりでは意味がない、前向きに考えよう。


次に奴に会っても勝てるようになる事を目標にしよう。

新しい目標が出来たのは、良い事だ。


老師は目標にしては遠すぎるからな。

明確な指標を手に入れた俺は立ち上がり、行動を開始した。



●●●



「ガルルァ!」

「グルル!」

「ガルッ!」


俺の周囲には五匹のフォレストウルフが居る。

勿論、この数相手に勝てる訳が無い。


だが避けるだけなら可能な筈だ。

いや、やる。


「いっ!」


早速もらってしまった。

集中が足りない。


『気配感知』でフォレストウルフの場所を感知しろ。

聴覚で攻撃のタイミングを聞き分けろ。


咄嗟の攻撃でも動けるようになれ。

勘も鍛えろ。全てを練り上げろ。


今のままでは、また同じように事になるだけだ。

そんな情けない思いはする気にはなれない。


「来い!」


フォレストウルフに向かって叫ぶ。


もっと、もっと集中しろ。

四方八方から飛び掛かるフォレストウルフを『気配感知』の助けを借り、捉える。


右斜め後ろ、左斜め前方、そして右斜め上方。


捉えた、次の段階

これを避ける。


「ッ!」


だが、そんなに直ぐに避けれるようになるわけもなく被弾する。

ここが一番難しい。


避けるのにまごつく。

迷いが出る。

だから、攻撃をくらう。


慣れろ、複数同時の攻撃に。

対応するんだ。


老師から習った動きも思い出し、全てを総動員して避けに徹する。


修練はまだ、始まったばかり。



●●●



あれから三日。

未だにフォレストウルフを使った修練は休憩以外はずっとしている。休憩をするのもフォレストウルフを倒さなきゃならないので、なかなかとれない。


だが、着実に上達している。


まず『気配感知』の熟練度が上がったのか、精度が上がった。

そして回避の際の身のこなしがかなりマシになった。


効率的に動けるようになったのだ。

そのおかげで余裕が生まれ、体力も持つようになった。

今では宙返りしながら避ける事も可能だ。


そんなだから当然反撃も出来る訳で……


「ふっ!!」


宙返りするように跳び、飛び込んできたフォレストウルフに『撃の型』を叩き込む。


これで五匹集めたフォレストウルフを無傷で仕留めきった。

成長した物だな。

そろそろ、修練方法を変えようか……そう考えていると。


〈熟練度が一定以上になりました。スキル『気配感知』が『気配探知』と『周辺感知』に進化出来ます〉

〈熟練度が一定以上になりました。スキル『立体動作』を獲得しました〉


お?

とうとうスキルが進化した。

なになに……

スキル『気配感知』が『気配探知』か『周辺感知』に進化出来ると。


どちらか選べるみたいだな。


『気配探知』

『気配感知』の上位互換スキル。

より広く気配を感じ取れる。


『周辺感知』

『気配感知』から派生したスキル。

気配を感じ取れる範囲が狭まる代わりに、より詳細に周辺の状況を感知できる。



説明が出て来た。

結構迷うな……


広く浅くの『気配探知』か狭く深くの『周辺感知』。


『気配探知』は説明文を見る限り、正統進化だろう。

最初からさほど欠点の無い『気配感知』の長所を伸ばす進化だ。


で、癖があるのが『周辺感知』なんだよなぁ。

より詳細に感知、というのは魅力的だが範囲が狭まるのは大きい。


順当に行けば『気配探知』だろう。

シンプル故にぼろも出にくい。


だけどな……俺にとっては『周辺感知』がやはり有用だ。

だって俺の戦闘スタイル素手だからな。


つまり超近距離での戦いだ。そんな中で空間把握というのはかなり重要だ。


フォレストウルフとの修練でも実感した。


敵の攻撃が何処まで届いてどう動くのか、それを見極められなければこちらの攻撃を与えられない。攻撃をくらうだけだ。


多分、この進化先もそんな事を実感する修練だったからこそ出て来たんだろう。


…………決まりか。


〈スキル『気配感知』が『周辺感知』に進化しました〉


その瞬間、俺の感覚が変わる。

俺の視界以外にも、例えば後ろや頭上までも感知できる。


しかも、『気配感知』と違って生き物の気配だけではなく、恐らく飛来物なども察知できるだろう。それ位分かる。


今も明らかに感知できる精度が上がっている。


聴覚が、触覚が、勘までも強化されている気がする。

そのおかげが元々そういう効果でもあるのか、視覚も広がっている気もする。


その代わり、説明文にあった通り、さっきよりも感知できる範囲は狭まっている。

感覚だから正確には分からないけど。


これ以上の検証は次の戦闘でするか。

もう一つの新スキルはなんだ?



『立体動作』

立体的な動きに補正が入るスキル



おっ、これは良さそうなスキルだ。

補正がかかるのはありがたい。


ちょっと試そうか。


「よっ」


軽く助走をつけて体操選手のように側転から入りバク転。捻りも加えてみたら、それも出来た。


おお、体が軽い。

さっきまでこういう動きをしていたので違いも分かる。


足から地面に着地。

うん、体のブレも少ない。良い感じだ。


地味だが有用なスキル、ありがたい。


よし、次は実戦だ。

新スキルを慣らさないとな。




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― 新着の感想 ―
[一言] あえてきつい事を書きます。 主人公は強くなる事を目的として修行しているのに何故、強くなりたいか理由が分からない為、キャラが薄っぺらく感じて非常に惜しいなと感じます。 今後のストーリーで明…
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