強くなるゴブリン
更新が遅くなってすいませんでした。
最近バタバタしてまして……
ちょっと落ち着いたので、暫くは更新出来ると思います。
「ん?」
周囲を探索しながら進む事五分。
敵の気配を感じ取った。
その気配を頼りに敵に近づいていく。
そして、敵を発見。
「ゴブリンか……」
だが、今まで相手してきたゴブリンとは違い防具や武器を身に着けている。
結構汚れていて、切れ味も悪そうだが気をつけないとな。
ゴブリンの数は三匹。
装備の種類は片手剣を持った前衛が二匹、弓を持った後衛が一匹だ。
どちらも防具は皮鎧だ。
敵情視察も済んだし、行くか。
奇襲しても良いが、あえて真正面から向かう。鍛錬も兼ねてな。
わざと音を立てながらゴブリンの前に姿を現す。
「ギギャ!」
よし、気付いたな。『無常の構え』をとる。
『金剛闘気』を纏う。移動速度もこれで上がる。
前衛のゴブリンが二匹とも向かってくる。
うん、いけるな。
一息に移動し、ゴブリンに接近。
『撃の型 貫』でゴブリンの喉を突く。
「……ッ!」
声も無く怯むゴブリン。
怯むだけか……闘気までは使えなかった。
まぁ、いい。
その隙にもう片方のゴブリンの対処だ。
片手剣の攻撃を『流の型』で受け流し、その勢いのまま肘鉄を入れる。
よし、これでゴブリン二匹が横にばらけた。
つまり弓持ちへの道が開けたという事。
直ぐに突撃しようとしたが、弓持ちが弓を引いているのが目に入る。即座に体を傾けて回避の動きをとる。
体のスレスレを矢が通り、少し肝を冷やす。
だが、これで弓持ちまでの障害は無い。直ぐに矢を番えようとする弓持ちゴブリンだが、俺が接近する方が早い。
距離を一気に詰め、拳を放つ。
「グッギャ!」
「!」
驚いた。
何と俺の攻撃を躱したのだ。ギリギリで頭を傾けてなんとか、という感じだが。
やはり最初の森とは違うという事か。
素早く二撃目を放つ。弓を使わせないよう間髪を入れずに。
「ギャッ」
今度は無事に当たった。
よろけるゴブリンの体、もう一押し。
体を回転させ、回し蹴り。
勢いで『蹴の型』を使ってしまったが、ゴブリンの首に命中。吹き飛ぶゴブリン。
「っとと」
少しぐらついてしまった。しっかりと『構え』をとり体を安定させる。
一瞬だけ弓持ちを見ると、完全に伸びていた。
よし、無効化完了。
次は前衛二匹だ。
直ぐさま振り返ると、ゴブリンが武器を振りかぶっていた所だった。
後退し、その間合いから逃れ体勢を立て直す。
だが、距離を詰めながらゴブリン達は代わる代わる攻撃をしてくる。拙くも連携している、厄介な……
ゴブリンの剣を躱しながら反撃の機を窺う。
狙うなら、攻撃が入れ替わる瞬間か。一匹が剣を振り切った後だな。
流石に剣までは上手く扱えないらしく、振り切った後に隙が見える。それを補うように次々と攻撃している訳だが。
二匹目の攻撃が来る前に一匹目を対処すればいいだけだ。
振り切った後のゴブリンの攻撃を意識してギリギリで躱し、空いた顔面に拳を叩き込む。
「ギャッ!」
怯むゴブリン。直ぐさま次のゴブリンの攻撃が来る。
真正面から振り下ろしてくるので、それを両手で挟んで止める。
いわゆる白刃取りだ。
そのまま腕を捻り、剣をゴブリンから取り上げ遠くに放る。
そこまで動いた所で、最初のゴブリンが横薙ぎに剣を振るってきた。
さっきと同じように距離をとって体勢を整える。
…………明らかにゴブリンの耐久力が上がっている。
顔に一撃を入れても、痛そうにしているだけで致命的とは言い難い。
もっと本気で行けという事か。
『構え』をとりなおし、全身に纏っている闘気の量を増やす。
あまり増やすとロスも大きくなるから避けたいんだが、今回は仕方ない。
「ギ…ギィ……」
俺の力が増したのを察知したのか、ゴブリン達は少し後ずさる。
その隙に一気に踏みこみ、距離を詰める。
先に仕留めるのは、先ほど剣を失ったゴブリン。
コイツの攻撃手段は殴るか体当たりしかないのだ。
老師との修練で鍛えられた俺が、ゴブリンとの殴り合いで負ける訳が無い。
急に速度が上がった俺の動きについて行けてないのか、ゴブリンの動きは鈍い。
まだ剣を持っているゴブリンに対応される前に仕留める。
まずは顔、皮鎧に覆われている胴体よりダメージが入る筈。
その衝撃で浮いた腕を取り、一本背負い。
地面にゴブリンを叩きつける。
受け身の技術もないゴブリンには直に衝撃が入る。
かなり堪えるだろう。
仰向けで倒れているゴブリン。
その体を思いっきり蹴る。『闘気』で強化しているためゴブリンはサッカーボールのように飛んでいく。
よし、倒せたかどうかはさておき、ひとまず戦線からは離脱させた。
この隙にもう一匹だ。
「ギャ!」
相方がやられた怒りのままに攻撃してくるゴブリン。
また、剣を奪ってもいいが……
それよりも仕留める方が速いだろう。
「はっ!」
もう完全にゴブリンの攻撃は見切っている。
剣を悠々と躱し、
闘気を十分に纏わせた『撃の型 貫』
なんかいける気がしたので、皮鎧目掛けて。
「ギ、ギャァ……」
ズンッ!という音と共に聞こえるゴブリンの弱々しい鳴き声。
そう、俺の腕は皮鎧ごと貫いていた。
ワイバーンの翼膜でもいけたから貫けると思ったのだ。
腕を引き抜き、崩れ落ちるゴブリンは、
倒れたと同時に光となって消えていく。
「ふー……いや、まだか」
まだ気を抜いてはいけない。
まずは弓持ちの確認。あ、丁度光になった所だった。
やっぱり後衛の弓使いというのもあって防御力は低いのか?
まぁ、いいや。
次はさっき飛ばしたゴブリンだな。
見ると、うつぶせで倒れているがまだ光にはなっていない。
生きているのか?
警戒しながら近づいていく。
ん? ゴブリンの腕が僅かに動いている。
これは……
ある程度近づくとゴブリン急に起き上がり、飛び掛かってきた。
「予想通りの行動だな」
ちょっと動いている時点で、油断した相手の不意打ちが目的だと予想できる。
落ち着いて飛び掛かってきたゴブリンの首を掴む。
そしてそのまま地面に叩きつける。
「ギ、ギャ……」
光に消えていくゴブリン。
これで全滅だな。
残されたのはゴブリンの素材。
素材というか持ち物だな。
ボロボロの剣、同じくボロボロの皮鎧。そして弦の切れた弓。
ボロボロの剣に至っては途中で奪った分も含めて二本ある。
正直に言おう。ゴミだろ!
こんなの残されても困るぞ……
「はぁ、取り敢えず持っとくか……」
ストレージに放り込んでおく。売れそうな所があったら売ろう。サリ婆さんの所でも買い取れるか怪しいぞ、これは。
ま、経験を積むことが目的だったと考えよう。
この森のゴブリン、結構強くなってたし。
タフネスも連携も前衛後衛という役割分担も。
何もかもが変わっていた。
気を引き締めないとな。
俺の場合、拠点が近くに無いし。
今回は目立ったダメージも無いからこのまま進めるが、引き際は慎重に選ばないとな。




