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戦闘と慢心

バトル多めになりました。

ちょっと長いです。


山を、目指して数分。

あることに気づいた。

遅いのだ。森はまっすぐに進めないし、障害物も多い。


だから、山まで行くのに時間がかかる。


「どうしようか……」


このままでは日が暮れる。

出発した時間が悪かったな。もっと早く出ていたら……

上を見て、日の傾き具合をみる。


「あ」


その時

あることを閃いた。

俺は木に登る。昔から木登りは得意な方だった。

そして、そこから丈夫そうな枝を選び、他の木の枝に飛び乗る。


某有名忍者漫画の移動法と言えば分かりやすいだろう。


木から枝へ

飛び乗り続ける。

これ、結構楽しい。爽快感もあるし速く動ける。


落ちた時が怖いが、爆発靴もあるし大丈夫だろう。

トンットンッ、と移動を続ける。


ん? 『気配感知』に反応があるな。

何かいるな。


「シャア!」

「トビイタチか……」


問題ないな。

跳びかかって来たが、躱して体を掴む。


「シャア! シャアァ!!」


トビイタチは体が小さいから、簡単に掴める。

そして近くの木に叩きつける。それだけでトビイタチは光になって消える。


残った素材は……爪か。

体に反して長めの爪だ。今度サリ婆さんの所に売りに行くか。


ここら辺のモンスターにはもう苦労しなくなったな。

速く山に向かおう。


●●●


「なかなか険しいな……」


俺は森を抜け、山道を登っている。

さっき言ったように、結構険しい道だ。


ボコボコとした道で傾斜もある。

足下に気をつけないと、足を捻るだろう。


「……またか」


そして、普通に登っていても邪魔をする奴がいる。


「キーッ!」

「ウキキッ!」


猿のモンスターだ。名前はマウンテンモンキー。

最低でも三匹以上で行動し、ゴブリンよりも高い連携力で攻撃を繰り出してくる。


何度か遭遇して撃退したのだが、コイツら案外油断出来ない。

まず、ゴブリンと違って俺を囲もうと動いてくる。

囲まれると交互に攻撃をしてきて防戦一方になってしまう。


足場が悪いという原因もある。

ゴロゴロとした石が多いので、足下にも気を配らないと行けない。


単体だとそこまでの驚異ではない。だがこの環境と連携の力によって厄介な存在になっている。


三匹くらいなら対応出来るが、五匹を越えると厳しくなるだろう。


「キーッ!!」

「はっ!」


コイツらは囲まれる前に数を減らしてしまえばいい。

マウンテンモンキーの顔に拳を叩き込む


流石に一撃では倒せないので、更に頭を掴み膝で顔を蹴る。


「キ……」


よし、一匹仕留めた。

これで残りは二匹。こうなってしまえば脅威はガクンと落ちる。


後は二匹を仕留めて終わりだ。

三匹ならこんな物だ。

さっき四匹の集団と遭遇したのだが、なかなか大変だった。囲まれて焦って『金剛闘気』を使ったぐらいだ。


「よし、終わりか」


残り二匹を倒し、素材を集める。

マウンテンモンキーの素材は殆ど尻尾か毛皮だ。

毛皮はともかく、尻尾って何に使うんだ?

……ま、いいか。考えても仕方ない。


そろそろ山頂だ。

そこにはワイバーンが居るはず。気を引き締めていこう。


幸い、今は試練の時のように霧がない。

少しは楽に戦えるだろう。


そう思いながら、山頂に辿り着く。

山頂はやはり広い。以前と違い、霧がないためよく分かる。山道よりも地面がしっかりし、斜面でもないから戦い易いだろう。


軽く環境の確認も出来たし、目的を果たすか。


「ワイバーンは何処だ?」


試練の時は直ぐに来たんだが……

ワイバーンが出るまでちょっと進んでみるか。


ザクザクと雪を踏みしめながら、歩を進める。

にしても、一面銀世界というのは綺麗だな。


俺の地元は雪はあんまり降らなかったし。

新鮮だ。


そんな風に十分ほど歩いた時、その音は聞こえた。


「ギ―ャ――」


間違いなくワイバーンの鳴き声だ。

遠いが間違いなく居る。


音の方向を見ると、ワイバーンの影。

来たな。


試練の時よりも速く仕留めてやる。


「ギシャァァ!!」


ワイバーンはどんどん近づいてくる。

霧がないから、位置の把握が簡単だ。


俺は『無常の構え』をとる。そして万全を期す為、『金剛闘気』を身に纏う。

出来るだけ均等に、纏う。


老師に聞いたら、

これをアリスは一瞬でしてるという。凄いな、流石師範代。

俺はまだそこまで速く出来ない。


よし。準備は出来た。

ワイバーンはかなり近づいている。

後十数秒で攻撃に移れる距離になるだろう。


だが、そこまで待ってやる義理も無い。

空に飛んでいたら安全と思っているワイバーンに目に物見せてやる。


『闘気』を足に集中。

一気に跳び上がる。そして、爆発靴を久々に使う。

ワイバーンに向かって空中で再加速する。


ワイバーンが俺に向かって飛んでいた事もあって、一気にワイバーンに目の前に躍り出る。


「ギシャ?!?」


まさか俺の方から近づくとは思っていなかったようで、驚いた声を上げるワイバーン。


ワイバーンも直ぐには止まれないのか、身じろぎをするだけでそのまま突っ込んでくる。


「ふっ!」


ワイバーンの顔に手をつき回転しながらワイバーンの背中へ。

よし、着地成功。


思ったより空気抵抗が凄い。ワイバーンの背を左手で思い切り掴む。

ちょっと掴みづらい……『闘気』を多めに使って掴む。


その結果ワイバーンの背中に少し指がめり込んだ。


「ギシャャァァ!」


その痛みにワイバーンは暴れる。


「ふぐっ、ぐ……」


ワイバーンはグルグルと回転し、俺を振り落とそうとするが、俺も更に指に力を加え、耐える。


一瞬、尻尾の攻撃が来るかと思ったが、どうやら尻尾は姿勢制御に使っているのか、攻撃は出来ないようだ。


「ぐぬ……おらぁ!」


右手に『闘気』を集め、ワイバーンを殴る。

このままではいつか振り落とされるからな。


「ギシャャ!!」


痛いようだ。

だが、これ以上暴れると墜落する、と判断したのかワイバーンも回転を辞めた。


その代わり、高度を上げ始めた。

これは……不味いな。


頭が痛くなってきた……気圧差の問題か?

いずれにせよ、このままでは俺が先に力尽きる。


意地でもコイツを落とさないと。

幸い、高度を上げているた為、しがみつく必要は無くなっている。

翼を壊さないと……


何とか『構え』をとり、『闘気』を使った『撃の型』で翼膜を攻撃する。

だが、これではワイバーンは落ちない。


全速力で高度を上げる事に専念しているようで、ビクともしない。


「がっ……ぐ……」


頭痛が酷くなってきた……

どうする……どうする……

このままでは死ぬぞ。このワイバーンの翼を速く壊さないと……


貫通力が足りない、だから翼膜が壊せない。

なら、拳より、貫き手だ。


「はぁ!」


『構え』をとったまま、貫き手を放つ。

勿論、『闘気』を全力で纏わせる。


俺の貫き手がワイバーンの翼膜に迫り……


貫いた。


「ギシャァァァァ!」


そして、一際大きなワイバーンの悲鳴。

高度が落ちていく。

腕を引き抜くと、翼膜には穴が空いていた。


どんどん落ちていく。


このままでは俺も一緒に落下死してしまう。

今の俺の高さは結構ある。

バンジージャンプが余裕で出来るくらいだ。


命綱、無いけど。


地面は恐ろしい速さで迫ってくる。

タイミングを間違えたら死ぬ。

絶対に間違えられない。


ワイバーンが先に地面に激突する。

まだだ。まだ……今!


俺は残っているもう一つの爆発靴を起動する。


靴から発生する爆発を利用し、落下の勢いをできる限り殺す。

体勢を整え、地面に着地。


それと同時に膝をついて転がる。

いくら爆発靴でも勢いを殺し切れないのだ。掛かる負担は大きい。体が痛い……


だが、ワイバーンは光となって消えていく。

仕留めたのだ。

その事は嬉しいのだが……


…………慢心があったな。

一度スキル無しで倒せたからと、楽に倒せると思ってしまった。


安易にワイバーンに空中戦を挑むべきでは無かった。

それ程の事が出来る程、俺は強くはない。


「はぁ……まだまだだな。俺は……」


凹む。

調子に乗ったなぁ……

俺は精神的にも肉体的にも未熟だった。


ま、それを身をもって知れた、という意味では良かったけど。


SPも殆どない、一度街に帰るか。

ポーションを使えばまだ進めるが、あんまりホイホイ使うのはもったいないし。


よし、帰ろう。

そう思ってワイバーンの素材を回収しようとした時だった。


「あ、あの!」

「ん?」


気づいたら、近くに中学生くらいの少年達がいた。

戦いと、その反省に気をとられて気付かなかったようだ……


また、反省点が増えてしまった……





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