試練達成、そして回復
いつの間にかランキングに入ってました。
読んでくれる読者様、ありがとうございます!
「ハハハハッ! 勝った! 勝ったぞ!」
俺は叫ぶ。
俺の足下には息絶えたワイバーン。
戦い始めて三十分ほど。ようやく、仕留められた。
と言っても、俺も無傷じゃない。
何度か、尻尾での攻撃や、残っている翼による打撃に当たったりした。
最後の方はワイバーンも学習してきて、トリッキーな攻撃を混ぜてきた為、手こずった。
だが、勝った。勝ったんだ!
《特殊クエスト 闘滅流 試練 をクリアしました》
《称号スキル『闘滅流門下生』を習得しました》
試練達成だ。
《アーツ 『闘滅流 撃の型』を習得しました》
《派生アーツ 『闘滅流 撃の型 連』を習得しました》
新たなアーツも習得出来た。
派生アーツ? という物も。
「よくぞ試練を達成した」
老師から声をかけられる。
「はい! ありがとうございます」
まだ少しテンションが高い。
なんだか戦闘になると、楽しくなってしまう。
悪魔の影響かね?
「あの状況でよくぞ倒した。これで其方は正式に闘滅流の門下生となった」
「今まで違ったんですよね?」
「うむ、そうだ。今までは見習いという扱いだったが、門下生となると扱える技も増えるのだ」
あー、なるほど。
そういう感じで変わるのか。
だから、『撃の型』を覚えられたのか。
派生アーツも見習いじゃあ、扱えない技なんだろう。
『闘滅流 門下生』
正式に門下生と認められた者に与えられる称号。
効果
覚えられる闘滅流のアーツが増加する。
『闘滅流 撃の型』
拳での攻撃を行う。
応用性が極めて高い。
使い手の熟練度によって効果が上昇する。
『闘滅流 撃の型 連』
連続した拳での攻撃。
流れるように次の攻撃に繋げる動きが必要。
使い手の熟練度によって効果が上昇する。
称号スキルとアーツはこんな感じだ。
一気に出来る事が広がった感じがする。
攻撃のアーツは非常に大事だしな。
あ、ワイバーンが光になって消える。
残ったのはワイバーンの爪らしき素材と、尻尾の棘か?
どうやって使うのか検討もつかない。
「では、戻るとしよう」
「はい」
俺は老師が何やら石を取り出したのを見て、俺は老師に近寄る。
すると、老師がその石を砕き、石から光が溢れ……
気が付くと、道場の転移石のある部屋に戻ってきていた。
そう思うと、ドッと疲れが出て来た。
今まではアドレナリンで気にならなかった体の傷や痣が痛くなってくる。
折角、この一週間で防衛戦時の怪我が治ったのに。
サリ婆さんの店に行って包帯を補充しないとな……
「では、門下生としての修練を始める」
「え?」
これから?
ワイバーンとの死闘の直後だけど……
「戦場で相手は待ってくれないのだぞ?」
あ、これ、考え直してくれないやつだ。
そう悟った俺であった。
●●●
今やっているのは組み手だった。
習得した『流の型』『撃の型』『撃の型 連』の練度を上げる事が目的な感じだ。
老師と只管組み手、組み手。
だんだん老師の動きについていけるようになってきた。
更に、気力操作の事も教わっているのだが、それはとりあえず後だ。
今、気になっているのは……
《魂魄破損(大)の状態異常が回復しました》
「……!」
これだ。
来た! 来たぞ!
ついに、あの防衛戦から二週間が経った。
俺の魂魄がとうとう治ったのだ。
老師に一言言って、組み手を中断する。
「おお! 体が軽い!」
めちゃくちゃ体が軽い。
体がスルスル動く。
ステータス
プレイヤー名 ハク
状態 正常
SP 50/50
スキル
闘滅流格闘術 気力操作 忍び足 逃げ足 スリ 脅迫 気配感知 身体能力上昇 痛覚耐性 見極めの眼
称号スキル
大罪人の息子 罪人の証 生まれながらの罪人 悪魔契約者 闘滅流門下生
特殊スキル
外法の契約
久しぶりにステータスを確認した。
格闘術が闘滅流格闘術になっている。
以前の試練の時のだな。
後、老師の指導のお陰かSPの最大量も増えている。
ここで説明しておこう。
老師の指導とは、気力操作のスキル無しの使い方だ。
アリスが言ってた奴だな。
試練を達成してから、ずっと気力操作をするように老師から言われてきた。
その成果か、以前よりも気力はスムーズに動くようになっていた。
今はスキルが復活したので、スキルを使わない状態での技術は分からなくなったけど。
「魂魄が修復されたようだな。ならば、一つ。試合をするとしよう」
「はい!」
今の、俺ならワイバーンも普通に倒せる気がする。
空に逃げられなければ。
老師とも良い勝負出来るかも……いや、それは無理だな。
アリスでも勝てなかったんだ。
慎重に行こう……
軽く、準備運動して体の調子を合わせた後、構えをとる。
「では、お願いします」
「行くぞ」
互いに構えをとり、向かい合う。
始めて万全の状態で、老師と試合が出来る。
自分の成長を確かめられる。
楽しみだ。




