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店番での話相手

七話 雑貨屋での会話 のウィジャ盤の説明を修正しました。




「じゃあ、これが情報の代金だよ」


アリスから、『狂化』の状態異常と悪魔の実在についての情報の代金を貰った。

およそ、50000G

多いな。状態異常と悪魔の実在だけでそんなにするんだな。防衛戦報酬と一緒の値段だぞ?

その事を聞いてみると……


「新状態異常の情報は貴重なんだよ。最前線で攻略してる人達からすれば状態異常の対策は必須だし。常に状態異常についての情報を求めてる人は結構いるよ? VRって昔のゲームより状態異常がしっかり出るし」


確かに。麻痺なら体が痺れて動けないだろうし、毒なら痛みも伴うかも知れない。テレビゲームなら「あー、状態異常食らったー」で済むだろうけど、VRだとそうはいかない訳か。


「悪魔の実在については、そういう存在を探してるプレイヤー達に良く売れるだろうしね。前にペガサスとユニコーンの実在が出回った時は結構売れたらしいし」


ペガサスとユニコーンか……確かに見たいな。

悪魔を見たいという人には経験から言わせて貰うと、そんなに良い物ではない、と伝えたい。


「ハクさん、これからどうするの?」

「そうだな……スキルが使えないからな……」


モンスターも倒せない。

金も稼げない。

金は防衛戦報酬と情報でかなり潤っているが、何時になったらスキルが使えるか分からない以上、下手に使わない方が良いだろう。


「あ、なら店の店番とか、一日だけお願いできる? スキルも要らないだろうし、危険もないよ?」


アリスからそう提案がある。

確かに、危険も少ないし、スキルも使わない簡単な仕事だ。

危険かどうかは……あの店のラインナップを見る限り無いとは言えないけどな。呪われない? 大丈夫?

まぁ、アリスは呪われてないからきっと大丈夫だろう。そう信じたい。


「……分かった。店番をしよう」

「ありがとう! 実は明日クランの会合があってね。店を一日離れなくちゃいけないんだ。その間だけお願い!」


アリスの願いに頷いて返す。

これで明日一日の予定が決まったな。


俺はアリスにお礼と言ってから特にやれる事も無いのでログアウトした。



●●●



翌日、ログインした後アリスの店を任された。


「そこのカウンターに座ってるだけで大丈夫からね! あ、カウンター周りの本も暇つぶし用だから読んでて良いよ。じゃあ、お願いね~!」


朗らかな笑顔でそう言ってアリスは出かけて行った。

そう、そこまでは良かった。


最初は何も知らず、痛む体でカウンターに座り本を読んでいた。

だが、気付いてしまった。


「……………」


見られてる……!

あの呪われている人形がこちらを……!

明らかに人形の向きが変わっている。こちらをじーっと……


「すー、はー」


落ち着け、俺。

人形がなんだ。俺は悪魔とも契約したんだ。

だから平気だ。

だから、人形がカタカタと震えていても平気だ。


「よし……」


呪われていてもアリスが無事な以上、害は無い筈だ。

そう、思い込む事にした。


「?」


何かを感じる。

人形じゃない。

その近くの……あれは、ウィジャ盤か?


あれも曰く付きの品だ。

悪魔を召喚するのに使われる道具……悪魔?


「まさかな……」


頭に浮かんだ事を実行すべく、ウィジャ盤をカウンターまで持ってくる。

勝手に動かしている事はアリスに後で謝ろう。


ウィジャ盤の前に座ると、勝手にウインドウが現れる。


〈ウィジャ盤の使い方〉

〈ウィジャ盤は悪しき存在と交信するための道具です。ウィジャ盤に集中し、交信する事を望むと、ウィジャ盤に言葉が表示され交信が可能になります。〉

〈それが、貴方に利を成すとは限りません〉


なるほど。

望むだけでいいんだな。

現実のウィジャ盤は幾つか工程があった気がするが、省略されているのだろう。

最後のメッセージが怖いな……こんなのばかりか、この店。

前の所有者も呪われたって言ってたし。


ていうか、これがあれば悪魔の証明出来たんじゃ……

いや、ウィンドウには『悪しき存在』とは書かれているが、『悪魔』とは書かれていない。

だから確証が持てなかったのかな? 


「さて……使うか」


意を決してウィジャ盤に交信を望む。

すると、ウィジャ盤の上に黒い靄が集まり徐々に形作り出す。

この黒い靄は見覚えがある。


「ふふふ……良く気付いたね。僕の契約者」

「やっぱりお前か、フェレス」


そこに居たのは防衛戦の時に俺と契約を結んだ悪魔。

フェレスだった。体は小さいが。


「この道具は会話するだけなら、ノーリスクだからね。契約となると話は別だけど、君とは既に契約してるから問題は無しだ。そのお陰で体も出せる」

「お前には色々聞きたい事がある」

「なんだい?」


一番聞きたい事。

それは


「何時までスキルが使えないんだ?」

「そうだね。大体二週間くらいかな? なかなか癖のある美味しい魂だったよ」

「味までは求めてない」


食われたのか。

それにしても二週間か……長いな……

まぁあんだけ暴れれば当然の処置か。


「じゃ、聞きたい事は聞けたし、帰れ」

「はははっ 連れないなぁ。復讐出来たのは僕のお陰でもあるんだから、少しは心を開いてくれてもいいんじゃない?」

「……悪魔に心開く奴は馬鹿だろ」

「否定は出来ないねー。結局の所、利用して利用される関係が一番良いんだよ」


なら心開けとか言うなっての。


「まぁまぁ、僕も暇だし、ちょっとくらい良いじゃん。君も暇だろ?」

「……まぁな」


暇なのは間違いない。

暇つぶしの本も限界がある。

話相手は居た方が良いだろう。


「はぁ、どうせ帰れと言っても帰らないだろ」

「ははは」


笑いながら悪魔は頷く。

仕方ないからそのままにしておく。

大人しくアリスの帰りを待つか。


●●●


「ただいまー!」


アリスが帰ってくる。

その時、空は若干暗くなり始めていた。


「おかえり、アリス」

「うん。店番ありがとうハクさん! ちょっと時間がかかっちゃってごめんね。報酬は増やすから……」

「いや、それはいいんだ。ただ……」


俺はカウンターに置いてあるウィジャ盤を見る。

正確にはその上で寛いでいる悪魔、フェレスを見る。


「えっと……悪魔…だよね?」

「ああ」

「やぁ、君には助けられたね。あの時はありがとう」

「い、いや、どう致しまし……て?」


悪魔にお礼を言われて戸惑っている。

反応からして、初対面じゃ無さそうだな。俺の意識が無くなった後に会ったのかな。


「ハクさん? これって……」

「勝手に使ってしまってすまない」

「そこじゃないよ?」


そこじゃ無かったか。


「何で悪魔が普通に居るの? また、契約の力を使ったの?」

「いや、ウィジャ盤のお陰で会話するだけならノーリスクで出来るらしい」

「……そんな効果があったんだね」


アリスも知らなかったようだ。


「この情報はそのまま売っていいぞ」

「えっ! 良いの?」

「ウィジャ盤を勝手に使ってしまったお詫びだ」


これ位はしないとな。

世話になってるし。







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