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購入品と練習

前話のサブタイトルを少し変更しました。

少し、おかしかったので……


「な、何が起こった……?」


後頭部に鈍い痛みを感じながら、立ち上がる。

アリスは、目を見開き驚いていて

婆さんは、ニヤニヤしている。

このババア知ってたな。

こうなる事を予測して説明の時に黙っていたのか……やられた。


「婆さん、嵌めたな?」

「何を言うか。問題点はしっかり理解出来ただろう?」

「そうだが……」


釈然としない。


「いや~びっくりしたよ~。ハクさんが急に逆さまになったんだから」


傍からみたらそうなってたのか……


「まだ、痛いぞ……」

「その扱いの難しさが問題点さ。後は魔道具の魔力の充填に時間がかかる事だね。大体三十分必要だ」


長っ!

三十分待ってアレか……

本当に変わり種だな。


「だが、自由に扱えればかなり便利だよ。移動、攻撃共に使える」


確かに、二段ジャンプはロマンだ。


「二段ジャンプはロマンだよねぇ」


まさか、アリスも同じ事を思うとは。

ロマンは大事だよなぁ。

他の二つの魔道具もピンと来なかったし……

よし。


「これを貰おう」

「この際だから、40000Gにしてやるよ」

「いいのか?」

「長い事買い手がつかなかった品だからね。構わないよ」


そうか……何か割引されてばっかりだな。

問題は全く無いが。

俺は代金を渡す。


「毎度あり」


買っちまった。

後悔はないがな!


「ハクさん、これからどうするの?」

「取り敢えず、この靴を扱う練習をするかな。30分に一回しか無理使えないが」

「あ、言い忘れてたがその靴の爆発は左右一回ずつ使える。つまり合計二回使えるよ」


おお、でもあんまり変わらない。

練習が必要なのに、その練習が出来ない。

最早、欠陥品のレベルだ。

二段ジャンプへの道は長いと言うのか……


「じゃあ私はそろそろ戻るね。ハクさん、絶対に店に寄ってよ?」

「わかっている」


アリスにはかなり良くして貰ったからな。

店に寄るくらい簡単だ。


「じゃあね~」


アリスはそう言って自分の店に戻っていった。

俺も行くか。


「婆さん。また頼む」

「ああ、なるべく使えそうな素材を持ってきな」

「善処する」


婆さんに断りを入れて俺は婆さんの店から出た。

取り敢えず、町を出よう。

町に居てもやることがない。

一度普通に武器屋に入る事を考えたがリスクが大きい。

騒ぎになるのは目に見えている。


でも何所に行こうか……

東の森に行ったし、今度は反対の西に行くか。

この町の周辺は全て草原になっているが、その先は分からない。

攻略サイトを見れば直ぐに分かるが、それはあまり面白く無いからな。せっかくのゲームだし、最大限楽しみたい。


西に行くか。



●●●



西も森でした。

どうやら、草原の奥は何所も森になっているそうだ。

そこから先は、東西南北でフィールドが変わると。

何で知ってるのかって?

攻略サイトを見るまでもなく、このゲームのホームページに乗っていた。

どうやら基本情報のようだ。

今までの事もあり、ホームページをしっかり読んだ結果判明した。


その他にも、熟練度の事で知らなかった事もあった。

スキルの熟練度は一定量貯まると進化するが、進化する前でも熟練度が貯まるとスキルの効果が上がるらしい。

『気配感知』なんかは熟練度が上がると効果の上昇が分かり易いとのこと。


楽しみだな。

そこに居るのは誰だ! とかやってみたい。


それに加えて、アーツという物を覚えることがあるらしい。

通常よりも強い効果を発揮する技のようだ。

アーツは条件を満たせば覚えられるらしく、

代表的なのは、剣術スキルの『二連斬り』だ。その名の通り連続で斬りつけるアーツらしい。

格闘術にもあるのだろうか? 今度アリスから情報を買うか。


さて、そんなこんなで西の森についた。

森を越えれば初心者卒業と言われるだけあり、プレイヤーの姿がチラホラ見える。

その中で、一人だけ俺と同じようにフードを深く被った奴が居た。

俺以外でフードを深く被った奴を初めて見た。

親近感が湧くな。


おっと、立ち止まって居たからか視線が集まっているな。

さっさと森に入ろう。



この位入れば良いだろう。

俺は、履いていた爆発靴を見る。

店で使ったのは右足の方なので左足の分はまだ残っている。


左足に体重を傾け、衝撃に備える。

店で使った時は完全に気を抜いていたからな。

今度はしっかりと跳んでやる。

爆発靴の起動を念じる。


「うお!」


高く跳んだ。覚悟していたがやはり驚く。

店で使った時のようにオーバーヘッドを決めずに済んだ。

だが、途中で体制を崩してしまい足から着地とは行かなかった。尻が痛い。

やはり難しい。もう何度か練習が必要だろう。

次に使用出来るのは、三十分後だ。長い。

ん? メニューに何か表示されている。


《チャージ完了まで、右足 二十分 左足 三十分》


どうやらチャージ完了までの時間のようだ。

そして、この表示を視界に出し続ける事が可能なようだ。

これでチャージが出来たら直ぐに使える。


でもそれまで何をしよう?

う~ん……

町に戻ってもなぁ。やることがないし、勇者に出くわすかもしれない。

フィールドに居てもそれは同じ事だが、フィールドに居た方が逃げ易い。

フィールドで何かするか……


そういえば、身体能力の限界を確かめていなかったな。

この際だ。確かめてみよう。


森の浅い所だと、モンスターもほとんど出ないのはさっきのクエストで分かっているし。

まずは走り込みをするとしよう。

現実じゃ運動不足だしそんなに走れないと思うが……

『身体能力上昇』に期待だな。




これは凄い。

思ったよりもスキルの恩恵は大きいようだ。

二十分ほど走っているが、そんなに疲れていない。

現実だと、翌々日まで筋肉痛間違いなしの距離を走っている。


凄い楽しい。

疲れずに走れるって素晴らしい。

充分に走れるという事が分かったので、今度は疲労を考えず全力で走ってみるとしよう。


足に力を込め走る。

やはり現実以上の速さが出るな。

改めて、見ると速い。

勇者から逃げてる時は速さなんて気にしなかったし。

このゲームを初めて一番感動しているかも知れない。


ここは森の中。大なり小なり凹凸がある。

そして慣れない全力疾走。

導き出される結果は……


顔から地面にダイブだ。


ズサァァという音と共にコケる。ギャグのように。

顔が痛い。『痛覚耐性』を超えている。


《チャージが完了しました。残り 左足 十分》


どうやらチャージが完了したようだ。

顔の痛みを堪えながら立ち上がり、爆発靴の練習の準備をする。


準備なんて殆ど無いが。

先程と同じく、右足に体重を傾ける。

今度は跳んだ後の姿勢の維持も意識して……

跳ぶ!


「ふっ!」


よしっ!

今度は足から着地出来た。

空中での姿勢も問題無かった。


だが、上手く跳べたのも、地面に足を着けていたからだ。

二段ジャンプの為には空中で先ほどの跳躍をしなければならない。

空中で姿勢を正して跳んだ後に着地も成功させる。

難易度は跳ね上がるだろう。


頑張らないと。

後十分で左足のチャージが終わる。

それまでに練習をしよう。


俺は木の枝に上る。

木の枝を掴み、枝に上り飛び下りる。

姿勢を保つ事を意識しながら着地。


うん。現実では出来ないな。枝の高さは三メートルはありまず上る事が出来ないだろう。

ジャンプ力と腕力が桁違いに良くなっている。

着地の時もスムーズに衝撃を逃がせた。

まるで漫画のように。


これを咄嗟に行えるようになれば、二段ジャンプに失敗しても怪我をしないだろう。

この練習を右足のチャージが終わるまで繰り返す。


《チャージが完了しました。残り 右足 二十分》


かなり着地と姿勢の制御に慣れてきた頃、チャージが完了した。


本番だな。

練習の通りに枝に上る。

息を整え、集中し……

跳ぶ!


そしてすかさず、姿勢を整え爆発靴を起動する。

ボンッという音の後、体が上に引っ張られる。


視界が開ける。

どうやら、木を跳び越えたようだ。

こんなに跳ぶとは……


跳躍が終わり、落下が始まる。

練習よりも高いので結構怖い。

焦らず、着地に集中する


足から着地するが、衝撃を逃がしきれない事を悟り体全体で転がる。

ふぅ、何とか成功したな。

だがこのままではスムーズに移動に使えないし、勿論戦闘中にも使えない。

まだまだ練習が必要だな……


次のチャージまで、約二十分だ。

何をしよう……

またやることがなくなった。

木の枝から飛び下りる練習はもう慣れてしまったし……


筋トレでもするか?

それなら『身体能力上昇』のスキルの熟練度が稼げるかも知れないし。

俺の戦闘力の中心となっているスキルだし熟練度を上げて起きたい。


駄目だったらその時に考えよう。どちらにせよ、今はやることが無いし。


そう思い、筋トレを始めようとしたとき。


「あ」


そうだ、やることはある。

『気力操作』のスキルが分からないままだった。

忘れていた。

『気力操作』の使い方をしっかりと検証しよう。


このスキル。攻略サイトのスキル一覧を見たときには載っていたが、その詳しい使い方は載っていなかった物だ。

このゲームの攻略サイトにはたまにそういう物がある。

何でだろう?

……まぁ、それを考えるのは後でいいか。今は使い方だ。


まず名前から受ける印象から想像して、体の中に意識を集中する。

前は、使おうと思っただけだったからな。

やり方を変えてみよう。


すると、何か体の中に何かがある事を感じる。これが気力か? 丹田の辺りに感じる。

凄いなこれ。どうやって表現してるんだろう?


VR技術の進歩への感心もそこそこに、その何かを動かすように意識する。

試しに、右腕に。


すると、右腕が軽く光った。

だが、直ぐにその光は収まっていき、やがて消えてしまった。

何だ? 今のは。


ステータスを開いてみる。



ステータス

プレイヤー名 ハク

状態 正常

SP 5/20

スキル

格闘術 気力操作 忍び足 逃げ足 スリ 気配感知 身体能力上昇 痛覚耐性 見極めの眼 脅迫



SPがかなり減っている。


それに見合う効果はあるのか?

SPが回復したら、試さないとな。






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