邪悪な固有魔法
その日、北米大陸から一本のミサイル兵器が発射された。
超長距離射程の弾道ミサイルは、成層圏を通過しつつ、太平洋を横断。
東アジア圏へと向かう軌道を取っていた。
精査した結果、ミサイルの落下地点は日本帝国本土であった。
友好国であるアメリカ合衆国からの、突然の先制攻撃に、帝国軍も政界も、大いに混乱し騒然となった。
それでも何とか迎撃態勢を整えた帝国軍は、風属性魔術師たちによる融合魔術を発動。
太平洋上にてミサイルを叩き落す事に成功した。
攻撃は一発限りであり、その後の追撃はなかった。
撃墜したミサイルにも危険物は積まれておらず、形だけの物だった。
帝国政府が厳重な抗議を行った所、誤射であったという声明と共に、正式な謝罪表明が合衆国大統領の名で出された。
その結果、政府は謝罪を受け取り、ミサイルは誤射という事で片付くのだった。
本当は何が積まれていたのか、それを知る事もなく。
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「ぷはぁ!」
高天原沿岸部。
そこは主要港から遠く離れ、再開発区域として施設らしい施設も存在しない場所。
完全に陽が落ち、夜闇の支配する時間帯。
そんな光無き場所に、一人の少女が海から顔を出した。
水色の髪を二本のお下げに纏めた彼女は、海水を全身から滴らせながら、高天原へと上陸する。
学生服の様な衣装を着ており、ナイト・ダイビングを敢行していたようには見えない。
明らかに、不正規手段による密入島である。
彼女は、疲労から肩で息をしつつ、恥も外聞もなくその場に五体投地で倒れる。
確固たる陸地の頼もしさに涙が出てくる。
「ぜはぁ……ぜはぁ……。あの女、絶対に許しませんわ……!」
命が助かった事で余裕の出てきた少女は、自分をこの様な目に遭わせた存在への恨み言を口にする。
今日は散々な一日だった。
突然、見ず知らずの女が襲撃してきたと思ったら、魔力流路に不調をきたす薬品をバケツでぶっかけられた。
おかげで碌な抵抗も出来ないままロープで簀巻きにされ、何処かに運ばれたかと思えば、何故かミサイルに括りつけられて発射される羽目になった。
魔力流路が不調である所為で、逃げる事もままならない。
なんとか使える僅かな魔力で超音速の衝撃から身を護る事で精一杯であった。
そうしている内に、彼女を載せたミサイルは撃墜され、少女は大海へ放り出される羽目になったのだ。
加えて、彼女を拉致した女もミサイルに乗っていたが、彼女は撃墜される直前に、パラシュート片手に少女を放って、一人悠々と脱出していた。
許すまじ、と少女は心に刻んだ。
いつか必ず復讐してやる、と。
「うぷ。吐きそうですわ……」
だが、今だけは、身体を休める時間である。
ミサイルの衝撃と撃墜によるダメージ。
目的地も見えない大海からの驚異の遠泳。
しかも、魔力的コンディションは最悪。
そんな状態に晒された彼女の疲労は、ピークに達していた。
リネット・アーカートの受難は、まだ始まったばかりだ。
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「ふぅん。あの娘が、アメリカから来た魔王なのね」
スティーヴン大統領から直接、若い魔王を撃ち出すからよろしく、と連絡を受けていた美雲は、ミサイル発射の報を聞いて以降、『サウザンドアイ』を使って高天原全域及び周辺海域を監視していた。
無論、こちらには来ない可能性もあった。
しかし、ミサイルの落ちた海域は高天原から程近かった為、本土ではなく高天原へと来るだろうと思い、暫くの間、監視しておこうと考えたのだ。
そして、思惑通り、海を頑張って泳いでいる少女の姿を捉える事に成功した。
スティーヴン大統領から回されてきた個人情報とも一致している為、彼女こそアメリカの若き魔王、リネット・アーカートだと断定し、静かに見守っていたのだ。
「まっ、取り敢えず密入島は違反だし、警備隊に確保して貰いましょう」
慈悲はない。
疲れ切っている様子の今が捕獲するチャンスである。
だが、相手は仮にも魔王クラス。
思わぬ抵抗があるかもしれない。
警備隊に被害が出る事を嫌った美雲は、少し考えて、
「抵抗された時に備えて、美影ちゃんにも応援頼んでおこうかしら」
妹にも連絡を入れておく事にする。
これで何も問題はなし、と『サウザンドアイ』との接続を切断する美雲。
一息吐いた彼女は、ふと思い出す。
「そういえば、俊哉君の部屋割り、大丈夫なのかしら。
あんな事になるなんて思ってなかったし、何もないと良いんだけど」
欠片もそう思っていない調子で、美雲は呟くのだった。
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第二演習場。
巨大なコロッセオ型のそこで、二つの存在が拳を交わし合う。
黒雷を纏った美影と、紅炎を纏った俊哉だ。
瞬発した美影の蹴りを、俊哉の拳が上に弾く。
彼女の勢いを利用して懐に潜り込んだ俊哉は、美影の胸倉を掴むとその矮躯を背負った。
背負い投げ。
頭から固い地面に叩きつけられる美影は、しかし肩と頭だけで受け身を取るという器用な事をして衝撃を受け流す。
そして、お返しとばかりでひっくり返ったまま俊哉を蹴りつける。
俊哉は即座に反応。
掴んでいた手を離すと、両腕で彼女の蹴り足を受け流し、距離を取る。
美影が起き上がる。
その時間を待っている優しさはない。
足に力を入れ、高速で最接近した俊哉は、両の拳で連打を叩き込まんとする。
するり、するり、と風に舞う木の葉のように、軽やかに躱される。
隙を見つけた美影の拳が、俊哉を穿たんと放たれる。
彼は右足を上げ、盾として受け止める。
だが、しっかりと両足で大地を捉えた拳と、不安定な片足ではどちらに分があるかなど語るまでも無い。
威力に耐えきれなかった俊哉は、背後に向かって弾き飛ばされる。
そこへ追撃の黒雷が天より飛来する。
彼は、左腕一本で弾き飛ばした。
ステラタイト製の義手は、ただそれだけで超常に対する絶対的な優位性を持つのだ。
雷や炎のような流動する攻撃だろうと、掴んで握り潰す事ができる。
黒雷を弾く一方で、右手で空を掴む俊哉。
大気が渦を巻き、そこに彼の炎が流れ込む。
風の渦を前に押し出し、思いっきり蹴りつける。
灼熱の竜巻が、勢いよく美影に向かって龍のように放たれた。
ちらり、と背後を確認する美影。
観客席はガラガラだが、誰もいない訳ではない。
「ちっ……」
躱す訳にはいかないと判断した美影は、舌打ちして対処に乗り出す。
爪先を地面に突き立てる。
「どっこい、しょ……!」
深く突き立てた足を跳ね上げる。
同時に、壁ができる。
爪先でひっくり返された地面が壁として立ち上がったのだ。
即席の防壁に竜巻が激突する。
土壁を粉砕すると同時に、竜巻は大きくその形を崩す。
美影が、先ほどまで俊哉がいた場所に着地する。
見れば、壁の残骸の向こう、今まで美影のいた場所に、俊哉がいる。
二人の居場所が丁度入れ替わった形だ。
美影は壁を作ると同時に瞬発、砕け散る残骸に紛れて俊哉を急襲しようとした。
一方、俊哉は、自らが作り出した竜巻の内部に潜り込み、風の流れに乗って突撃してきたのだ。
全力ではない。
制限も一段階だけしか解除していない。
今まではこれで充分だった。俊哉如き、一方的に殴り倒す事が出来た。
だが、今は違う。攻め切れない。
勝てないとは思わない。負けるとも。
しかし、楽勝とは絶対に言えない。
彼の成長を喜ばしいと思う一方で、生意気だとも思う。
口の中に、少し血の味を感じた。
先ほど、投げられた時に切ったのだろう。
唾液に混じった血を吐き出し、俊哉へと向き直る。
再び、両者は激突した。
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「…………何やってんだか、全然分かんねぇ、です」
観客席から闘技場を見下ろしながら、雫は感想を漏らす。
彼女は基本的に一般人に毛が生えた程度の能力しか持ち合わせていない。
動体視力も常人並みであり、遠くから俯瞰しているにもかかわらず、二人の戦闘はまるで追えていない。
衝撃や爆発音が絶えず響き渡る中、時折、影がうっすらと見える、という程度だ。
「お前らは見えてんのか? です」
「はい。一応は」
俊哉の代わりに付いている護衛に訊ねれば、若干、歯切れの悪い言葉が返ってくる。
「一応? です?」
「時々、追い切れません。《黒龍》殿だけでなく、風雲殿も、です」
仮にも、重要人物の護衛役なのだ。
間に合わせとはいえ、その実力は一流の物である。
その彼らをして追い切れないとは、美影はともかくとして、俊哉も中々の物だと言える。
「ふぅん。すっげぇ複雑な気分だ、です」
俊哉が強くなってくれる事は嬉しくもあるが、それがロンリー・ウルフの所為だと思うと、素直に喜べない。
二人の戦いは、上陸してからずっと続いている。
ショック療法だとか美影が言い始めた事がキッカケなのだが、そのショックの有効打が与えられていない。
もう日が落ちているというのに、よく飽きない物だと感心する。
「そろそろ腹も減って来たし、いい加減、止めるべきか? です」
手榴弾でも投げ込んでやれば止まるだろうか、と少々物騒な考えが浮かぶ。
そうして今しばらく見守っていると、雫の傍らから電子音の呼び出しがかかった。
鳴らしているのは、預かっている美影の端末だ。
耐電仕様だが、戦闘時の彼女の雷撃に耐えきれるほどの物ではない。
その為、事前に渡されていたのだ。
表示されている名は、美雲だった。
雫は躊躇いなく電話口に出る。
「もしもし? です」
『あら? 雫ちゃん? 美影ちゃんはどうしたの?』
「あれなら今、ロンリー・ウルフと殴り合ってやがるぞ、です」
『え? まだやってたの? もう日が暮れてるわよ?』
「体力が有り余ってんだろ、です。それで、何の用だ? です」
即答でそんな言葉が返せる辺り、雫の染まり具合が半端ではない。
それを通信の向こうで苦笑しながら、美雲は言う。
『うん。実は魔王が一人、高天原に不法侵入したのよ。
だから、美影ちゃんに協力してほしくてね』
「えぇ? それ、大丈夫なのか? です」
雫の様な特殊事例を除けば、魔王とは戦略兵器である。
魔王同士が本気で衝突すれば、都市の一つや二つ、簡単に消し飛びかねない。
それを心配して雫は訊ねるが、美雲は軽い調子で言う。
『大丈夫よー。疲れ切って倒れてるから。美影ちゃんはもしもの時の保険よ』
「そっか。あっ、ちょっと待ってろ、です。
今、あのクソアマ呼ぶから、です」
言って、雫は闘技場へ大声で呼びかける。
「おぉーい! ミカー! ミクから電話だぞ! です!」
それが聞こえたのか、美影は戦闘行動を瞬時に取りやめ、
「ちょっとタイム!」
一言、俊哉へと告げて、跳躍一つで雫のいる観客席へと上がってくる。
「ほらよ」
「ねぇねぇ、雫ちゃん? お姉さん、もうちょっと愛想が欲しいなー、なんて」
「トシが治ったら許してやるよ」
己に対しては、なんちゃって丁寧語すら使わなくなった雫に、美影は悲しい顔をする。
雫は少しも怯まず、むしろ見下す様な視線を返した。
「うぅ……僕の所為じゃないもん」
涙目になりながら、美影は端末を受け取る。
「はい、もしもし。お電話代わりました」
『美影ちゃん、すっごい切ない声だけど、大丈夫?』
「大丈夫じゃない。全然大丈夫じゃない。泣きそう。
雫ちゃんが冷たいの。お姉、なんとかして」
『頑張って俊哉君を治しなさい』
「うぅ……」
美雲は無情な言葉で切って捨てた。
『それでなんだけど……』
「オッケー! 大丈夫、僕に任せなさい!」
『まだ何も言ってないわよ?』
「やっだ、もう! 僕とお姉の仲じゃないか!
リネットとかいう奴が来たんでしょ!?
憂さ晴らしに殴ってくれば良いんでしょ!?」
『あら、ホントに正解。でも、殴るのは最終手段よ。
抵抗したら殴って良し。OK?』
「OK! じゃ、行ってくるね!」
電話を切り、端末を仕舞うと、美影は早速とばかりに踵を返す。
「じゃあね! お仕事が出来たから行ってきます!」
「とっとと行ってこい、クソアマ」
「もっと! もっと僕に優しさを!」
雫はとても嫌そうに舌打ちをした。
美影は泣きながら去っていった。
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「ふっ、中々強かったゼ! まっ、俺様には及ばねぇけどナ!」
遅れて上がってきた俊哉は、実に快活な笑みを浮かべて言う。
「そりゃ良かったな、です。じゃあ、ロンリー・ウルフ、帰んぞ、です」
「ようやく覚えたようだナ、リトル・ガール!
そう! 俺様はロンリー・ウルフ! 正義を愛する孤高の戦士だゼ!」
「はいはい。お前、それしか言えねぇのか。です」
そうして、二人は連れ立って寮へと帰っていった。
二人が同室だという事を、ロンリー・ウルフはまだ知らない。
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月面。
《ツクヨミ》の荒野に炎が吹き荒れる。
「ぜっ……! ぜっ……!」
燃え盛る白い荒野に倒れているのは、一人の女性。
炎城久遠である。
超能力を得た彼女は、それを鍛える為に刹那の手で月まで連れ去られていた。
自分と同じ種類の能力を、より高次元で扱う彼を手本にして修行を積んでいるのだ。
その甲斐もあり、当初に比べれば目覚ましい成長を遂げている。
だが、まだ足りない。
刹那が見せてくれた、久遠が獲得した能力の完成形には、まだまだ程遠い。
「頑張っているではないか。随分と成長している。
そう、単細胞生物がミジンコになったくらいの素晴らしい成長だ!」
倒れる久遠の下に、ふらりとやってきたのはスーツ姿の少年――刹那である。
久遠の事ばかりに構っていられない彼は、たまに様子を見に来るだけで、基本は放置である。
それなら地球でも良いじゃないかと最初は思ったが、今では月で良かったと思う。
制御がまるで利かないのだ。
おかげで、力が拡散して広範囲に散っている。
月面でなければ、考えたくない程の被害が出ていた事だろう。
「それは……、褒めているのか……?」
「とても褒めているとも。
だが、まだまだだ。魔王には程遠い。
そう時も無いからな。多少の無茶はしていくぞ」
女怪と永久に仕掛けた発信機により、相手の拠点情報は集まりつつある。
そう遠くない内に攻勢を仕掛ける事になる。
そう予想している刹那は、久遠を急かす。
女怪との戦争になれば、刹那は女怪の相手だけで手一杯となる。
永久の相手をしていられる余裕はない。
魔王クラスにまで成長するだろうと思われる永久は、単体では脅威足り得ないが、一瞬の隙が生死を分ける死闘の中では、致命的な隙を生む要因になり得る。
美影や美雲に頼む、という選択肢もあるが、美影の機動力や美雲の制圧力はおそらく別の場面で必要になる。
となれば、別の札を用意するしかない。
幸い、まだ暫しの猶予がある。
久遠の覚悟が本物ならば、間に合う可能性は充分にある。
「では行くぞ」
刹那の力が、久遠を包み込む。
能力の急速成長によって弱った魂に、外からエネルギーを注いで回復・賦活させているのだ。
地球人類への干渉権限があるからこその芸当だ。
そうでなければ、この様な裏技など出来はしない。
但し、リスクもある。
「ぐっ、う、ああ、があああああああ……!!」
魂へのエネルギー供給に、久遠が苦悶の叫びを上げる。
自分が自分でなくなっていくような感覚。
自分ではない何かが自分を塗り替えていくような、そんな不快な感覚が彼女を襲う。
その感覚は間違いではない。
今まさに、彼女は刹那へと塗り替わっている。
刹那のエネルギーを無加工のまま受け入れているのだから、そうなるのも当然だ。
確たる意思を持ち、自らを強固に保っていなければ、いつか刹那の分身体へと存在が置き換わるだろう。
やがて、エネルギーの注入が終わる。
肩で息をしている久遠は、しかし不敵な笑みを浮かべると、見下ろす刹那に向かって言う。
「まだ……私はいるぞ……」
言うだけ言って、久遠は気絶した。
「そのようだな。よく頑張る」
家族の愛とは実に偉大だ、と思いつつ、刹那は周囲の炎を鎮火する。
久遠の超能力の性質上、鎮めてやらねばいつまでも燃え続けてしまう。
久遠が巻き込まれて死ぬのは、この際構わないが、せっかく作った《ツクヨミ》を破壊されるのは困るのだ。
そうしていると、電子音が響いた。
懐から端末を取り出し、通信に出る刹那。
『せっちゃん先輩! 今どこにいんの!? 俺っちを助けて!』
俊哉だった。ごく普通の俊哉である。
刹那は、思わず端末を耳から話しながら、それを見詰める。
とても不思議そうに首を傾げつつ、もう一度、端末を耳に当てると、
『ねぇ!? 聞こえてる!? せっちゃん先輩!?
ねぇ、ホントに助けてほしいんだけど、どうしたの!?
俺っちの声、聞こえてないの!?』
「君は、トッシー後輩かね?
おかしいな。愚妹の話では、君はロンリー・ウルフになっていた筈なのだが……」
『ロン……何ッ!? 何の話ッ!?
いや、それよりも、何で先輩が同室じゃないの!?
何で雫が俺っちと相部屋な訳!?』
「話せば長くなるが、私は学園を無期限休学する事になったのでね。代わりだ」
『代わりを用意する必要性がない気もするんだけど……!』
「まぁ、落ち着きたまえ。何をそんなに慌てているのかね?」
愛しい彼女との相部屋に何が不満なのか、と更に首を傾げる。
『いやいや、せっちゃん先輩、聞いてくれよ!』
「聞いているから、早く言いたまえ」
『あいつ、雫の奴、俺っちに精神攻撃仕掛けてくるんだよ!』
「です子に幻魔術の適性などなかった筈だが……」
『寝る時に裸になるんだよ、あいつ!』
「は?」
思わず変な声が出た。
『裸になって俺っちの理性をダイレクトアタックしてくるんだ!
なんだ、あれは! 精神攻撃か!?
邪悪な固有魔法か何かか!?
とにかく助けてくれ!
あっ、待て雫! 俺っちに近寄るんじゃない! ああ、見える! 見えちゃう!』
「……幸せそうで何よりだ。
安心しろ。私は君をロリペドフィンとは思わん。
今の所は」
『何を言って、あっ、切る気だな! ちょっと待っ――』
容赦なく通信を切った。
電源も落として、再度の連絡を断ち切る。
ふぅ、と溜息を吐きつつ、背筋を伸ばす。
「愛はなれ合い。
同じ檻に放り込めば勝手に愛が芽生えるかとも思ったが……意外と早そうだな」
良い事だ、と呟き、建造中の新型デバイスの下へと戻る刹那だった。
今日を最後に、作者は年内はずっと仕事です。
なので、年内の更新はこれで最後になります。多分。
今年一年、お付き合い下さり有り難う御座いました。
良いお年を。




