とある母子の車内会話
人生でも重要なイベントからの帰り道、
ご満悦な母子の車内会話!
某月某日車の中で
……もはやこれは定番になりつつあるような……気のせいですね、うん。
「あ~楽しかったわ~。」
「そうですね、とても楽しいバフティッシアでしたね。」
こんにちはリーンです。
今親戚の子供のバフティッシア、
つまり名前をつける儀式え~っと何て言うんでしたっけ?
「洗礼よ。」
……だ、そうです
に参加した後の帰り道です。
「教会ちっちゃくていい感じだったわよね~
回りも木に囲まれてて!
あんたの洗礼思い出したわ~」
「私の……ですか?」
「そう!神父様が五人も居て狭くて狭くて……」
「何で五人も居たんですか?!」
「親戚三人、村の神父様一人、大司教様一人で、計五人。」
「普通一人か二人ですよね?」
「あら?これでも厳選したのよ?」
最初何人名乗り出たのか知りたいような知りたくないような……
ってかなにげに大司教様がメンバーにいるんですが(呆)……
「そういえばお母さんの名前を言った後、あちらの神父様が不思議そうな顔をしてたのですが……なぜでしょう?」
「名前に違和感があったからでしょうねぇ……」
「?違和感……ですか?」
「普通外国の人に付ける名前って固定なのよ。
確かマリアかタシアのどっちかだった筈よ?あ、あとクリスチーナ。」
「お母さんの名前はどっちでもありませんね。」
「ええ、私の名前はね~
貴女のおじいちゃんたちが養子に入った夫婦の奥さんの方の名前を戴いたの!」
「お父さんと同じ名前の付けかたですね。」
「そ!おそろいなのよ~」
ハ……ハートマークが……
万年新婚夫婦……
ちなみに祖父の時代では丁度戦争が終った頃で、
土地を持たない方々が土地を持つ人たちの下に、夫婦で養子に入るのが普通だったらしいです。
なので彼らの名前を子供たちに受け継がせるのが感謝の証だったとか……
「そういえば日本では名前をどういう基準で付けてるんですか?」
「ん?色々よ~?
花だったり画数だったり当て字だったり……」
「当て字?」
「そう、ホラ日本語って音読みとか訓読みとかあるでしょう?
それを利用した名前を付けるのよ。」
「じゃあ、こっちみたいに祖父母の名前を付けるって言うのは無いんですか?」
「人それぞれって感じかしら?ご先祖様にあやかって……っていう場合もあるし。」
「へ~そうなんですか……」
国によって違うって面白いですよね~
「後名前を付ける時期も違うわね。」
「時期?」
「そう、こっちでは結構自由でしょう?」
「一歳になったらやるって人もいますね。」
もしくは物心つく時。そしたら教会で粗相をしませんし……
「そうそう、日本では七日目までに名前を付けるのよ。」
「へ~こっちとは違って決まってるんですね。」
「で、それをお七夜って言うの。」
「お七夜?」
「簡単に言えば……命名書ってやつを飾って神様に子供の名前を報告するの。
それをすることで子供の存在をこの世に確立させる意味合いもあるわ。」
「なんか神秘的ですね……」
こっちはその意味もありますが、そこまで徹底してませんから……
「あんたホントこう言うの好きよね~
ダーリンに似たのかしら……」
「命名書ってどんな物なんですか?」
「命名書っていうのは、半紙の左側に生年月日、中央上に『命名』、
その下に大きく赤ちゃんの名前、左側に両親の名前と長男、長女などの続柄を書いたものよ。
書いた後に家の一番目立つ所にこれを置いておくの!
それで用意した地方の料理を食べたりして終わり。
内輪だけでやるときもあるけどたくさんの人を招待するときもあるわ~」
「神様に報告ってところは何処の国も同じみたいですね、
なんだかちょっと嬉しいです。」
「ちなみにあんた日本語の名前もあるから、非公式だけど。」
あ~そういえばありましたね~
ほとんど呼ばれないので認識してませんが。
あ、でも日本の親戚には呼ばれますね。
めったに日本に行きませんが……
「あら、ダーリンは家のパソコンのパスワードそれにしてるわよ?」
おとうさまあああああ!!!
「それはおいておいて。」
「あら、スルー?」
「家に帰ったら変更します、アルフォンソ・カルロス1世のフルネームに」
嫌がらせ?いいえセキュリティが心配な娘の善意です。
善意です!
大切なことだから2回言いますよ!!
「あらあらピカソじゃないの?」
「そっちはおとーさまは完璧に覚えてるからやりません。」
「ホンマ?」
「ほんまって何故いきなり関西弁?!」
「あらやだウッカリ昔の癖が……」
ウッカリなるものですかね?
って、ああ。大阪人でしたねお母さま……
「洗礼と言えば、昔の日本の名前ってややこしいですよね?」
「ややこしい?」
「だって小さいときと大人のときと名前違いますよね?」
「え?」
「え?ホラ北条時宗が昔、正寿丸って呼ばれてたりしてませんでした?」
「何でそんなマイナーな人を例に挙げるのかしら?」
「この間うぃき先生で読みました。」
「ああ、そう……
ああ、名前の話しだったわよね?
たぶんそれ幼名と輩行の事ね~
後ついでに実名もあるわよ。」
「なんかややこしい……」
「フフ、そうね~」
「日本の学校に通って無くてよかったです。
只でさえ苦手な歴史がエベレストより高い難関になりそうです。」
制服はあこがれますが。
「ああ、あんた歴史苦手だものね~」
「知り合いとかの名前は覚えやすいのですが……」
「ああ~貴女そういうとこは大阪人だものねぇ~」
ヤメテクダサイそんなかわいそうな子を見る目で見ないで下さい。
確かに横文字覚えるの苦手ですが!!
「さてと、名前のことだったわね、」
あ、結局説明してくださるんですか。
「昔はね、男子が生まれると幼名というものが付けられるの。
これは読んで字の通り『幼い頃の名前』で、何か意味のある言葉から引用される場合などが多いけれど、
特に定められた決まりはないわ。」
「ないんですか?」
意外です。
「ええ、適当なときは奇妙とか茶筅とか三七とかもあったそうよ?」
「適当すぎる?!」
「で、元服すると輩行と実名が付けられるの。
実名って言うのは、一般的に主筋にあたる人に烏帽子親(仮親)となってもらって、
元服時に烏帽子と共に実名の一字を授けられて付けられる名のことね?
因みに!このとき、烏帽子親の上の字を授けられる方が自分を尊重してくれてるっていみよ~」
「烏帽子親ってこっちで言うノーノ(名付け親)ですか?」
「あ~名前をつけるって意味では同じだけどそのほかは違うわね~」
「ふーん?」
「さて、話しを戻すけど元服すると実名と一緒に輩行もつけるの。
輩行、または仮名って言うんだけど、は長男から太郎、次郎、三郎って付く通称ね!
あ、でも必ずしも順番通りに付けられるわけではなくって、奇数や縁起のいい数字が好まれる風習もあったらしいわ。」
「いい加減なのそうじゃないのどっちですか~?」
「あら、そんな歌あったわね!」
「言葉違いますからね?」
「ウフフ~」
態とですか……
「そういえばリーン?」
「はい?」
「話してる間に高速の出口通り過ぎちゃったわよ?」
「へ?あ、ああ~!?」
「如何するの?」
「もっと早く言ってください~」
その後ニ時間かけて別の出口「それから1時間のとこにある)から出て帰りました……
高速代……痛い出費でした……(泣)
作中に出てくるのは、
スペインのカルリスタ王家のアルフォンソ・カルロス1世(在位:1931年~1936年)。
彼の人の本名は……
アルフォンソ・カルロス・フェルナンド・ホセ・フアン・ピオ・デ・ボルボーン・イ・アウストリア=エステです!!←実際言い切るのに何回か舌を噛みました。
ちなみにマリーアントワネットの末の弟の本名も長いです(ソノジョウホウイラナクネ?)。
相変わらず最後のほうは実話です!
感想お待ちしております(ペコリ)