ある日のお菓子事情
穏やかな日常の中のチョットしたテロの話(注:比喩です)
メシマズ系のお話です。(一部ですが)
笑っていただけたらなあと思いますが、
ご不快に思われた時点で次話に行くか回れ右してください。(ぺこり)
「リーン、ちょっと聞いて頂戴、今、衝撃的なものを見たの。」
そう、電話の向こうで真剣な口調で言ったのは友人のアンジュです。
ちょっとぽっちゃり系のパン屋勤務の姉御です。
こちらのパン屋は面白くて、ケーキ屋も兼ねてるんですよね~。
それはさておき、
此処までシリアスな彼女は珍しいな~っと思いながら続きを足します、
まさかこれが悲劇の始まりだとは気づかずに…
「今、スーパーで買い物をしていたのだけれど…
ディアに会ったわ。」
「嫌々それの何処が衝撃的なのですか?ただの買い物でしょうに…」
何を見たのかと思えば…別に可笑しな事は無いと思うの…です…が…っは?!
マサカカゴノナカミガモンダイトカイワナイデスヨネ?
「ふッ、気づいた様ね…そうよ!彼女のかごの中身は…
お菓子の材料よ!!」
「キキタクアリマセンデシタ…」
ダレですか?!彼女にアレを作らせようと思いつかせたのは!!
「何でも来週彼氏の誕生日でおねだりされたって。」
心を読まないで下さい…
「すみません、誰もアンジェロ(彼氏の名前です)に彼女の腕を言わなかったのですか?」
「ニックがさり気無く言ったらしいけど…モテナイ男の僻みとして思われたらしいわ。
役に立たないわね、あんの黄ネズミが!!」
「恋する男子の勘違いは時に毒となるのですね…
後まだ彼をそう呼んでるのですか?」
「だって対戦する度にそれ使うのよ?しかも強いからムカツク!!」
レベル百にレベル五十五で挑む貴方もどうかと思います…
「なんか言った?」
「イイエナンニモイッテマセニョ?」
「そう、で、かごの中身なんだけど…凄かったわ。」
「ど、どう凄かったんですか?」
何でしょう聞いたら後悔する気がします…
「小麦粉とかバターとかは良いわ普通だから。
でも砂糖の代わりに重曹を使うって発想は何?!
せめてメープルシロップにしてよ!」
うわぁ…うわぁ…
「後、何処で見つけたか知らないけどあのベニ…ベニショーガ?てのも入れてて、
何に使うのって聞いたら色づきのためにお菓子に入れるといっていたわ。」
アンジェ…目がうつろですよ?
「其処はせめて着色料にしてほしかったです。でも何処で見つけたのでしょう?
今度あったら聞いて見ましょう!丁度切らしているんですよね~。」
「すぐに聞けるわよ、後、ありえないものって言ったら…蛸よ」
「凧…ですか?」
「そうそう、あれ風に乗せるのが大変なのよね~って違うわよ!」
「では田子ですか?」
「あそこのにんにくが美味しいてこの間聞いたわ…ッてそれも違うわよ!!」
「では胼胝!」
「あれには悩まされるわよね~少し手入れを怠れば出来るし、
潰れたらイタイしで…態とでしょう?態とやってるでしょう?」
じゅ、受話器から何かどす黒いものが…遊びすぎました?
「すみませんごめんなさい、タコですね?」
「現実逃避はためにならないわよ?それもお菓子に入れるって言ってたけど…
まえにあんたが作ってたって。」
「タコを…お菓子にですか?いえ使った事ありませんが…そもそもそれ入れたらお菓子じゃないですよね?」
「でもまえに作ってニックが美味しいって言いながら食べてたそうよ?」
前に作ってて、ニックにあげて、尚且つタコの入ってるもの…あ!
「そういえば前に、たこ焼きに似せたシュークリームを作りました!それの事では?」
「何でそんなややこしいもの作ったのよ!絶対なんか誤解してるじゃない!如何すんの?成功するまでの実験体は私たちなのよ!!」
実験体と言い切りやがりましたよこの人!!
「ネットで見て面白そうだったんです!ほらこう見ていてお茶目心を刺激されたと言うかなんと言うか…」
まさかこんな事態になるとは…
そういえばあの時ステーキに似せたケーキも作りましたねえ…
祖母がものすごく怒りましたが。
やはり食事として出したのはだめでしたね。
「まあ、あんたと一緒に作るって言わせたからそこんとこ頑張りなさい。」
今、あり得ない事を聞いた気がします。
「今、なんと?すみません一時的に耳が職務放棄したみたいですもう一度お願いします。」
「ディアと、あんたが、一緒に、お菓子を、作るの。」
素晴らしい笑顔で、態々区切っていただき有難うございます。
「何でですか!!」
「私前にあのバイオハザードの餌食になったもの。二度目は無理。
他の子達はお菓子の知識あんまり無いからカオスになるし。
それに前に一緒に作ってちゃんと普通のお菓子作れたじゃない。」
「バイオハザード…否定は出来ませんが…
ですが素人の私より貴方のほうが経験豊富でしょう?
何せパン屋さんで働いているのですから!
前に餌食になったんですからフォローのする所が分かるでしょう?」
「彼女にも一緒に作るように頼まれたわよ?
でも安心しなさい!
10月28日にイオアニ・メタクサがイタリア人に言ったように
声高々に「ノー」といったわ!!」
胸を張って言われてしまいました?!
「何故其処で歴史?!そして其処まで嫌ですか?!」
「当たり前よ、何が哀しくて毒料理の制作に勤しまなければいけないの?」
「毒料理って…某マフィア漫画の女殺し屋ではあるまいし…」
「レベルは同じよ!」
断言ですか?!いやいや?まだ死人は出てませんからああああ?!
「いい?あんたは勇者の尻拭いをする魔法使い!パーテイー全体をフォローするのが役目よ!!」
なぜかRPGになりましたよ?!
「さしずめ勇者はアンジェロで魔王はディアのお菓子ですか…?」
勝てる気がしません。パーテイーを変えてください。もしくは離脱希望です。
「勝つのよ!!何時もの様に神話のうんちくとか、この際お菓子のうんちくでも良いから、彼女の気を逸らしつつディアの精製する毒を中和するのよ!!」
「そんな高度なスキル持ってません!!貴方は私をナンだと思っているんですか!!」
実はめちゃくちゃ混乱してますよね?!
「日本の血が半分あるんだから忍者のスキルの一つや二つ会得しなさいよ!!」
「漫画や映画の見すぎです!!無茶言わないで下さい!!」
どんどん収集が付かなくなっている気がします…っておや?
「アンジュサン、」
「なあに?リーンちゃん?」
「ただ今第一の被害者達からメールが来ました。」
「もう!?早くない?ディアに会ったのは少し前よ?」
「如何やら出かける前にプリンを作っていたようです…彼女の兄が犠牲になりました…」
「…無事天国に逝けると良いわね…」
「プリンの色はドス黒い紫だったようです…彼女曰くブルーベリープリンだそうで…」
「由々しき問題だわ…この分だと彼女の家族は全滅ね…」
「メールによると仕事に出ている母親以外、つまり男連中はゲームオーバーです。
後腕がレベルアップしているそうです…(泣)」
「…今すぐ空に宇宙船が現れないかしら…」
「あ~あのドラマ面白かったですね~タイトルは確か【Ⅴ】でしたっけ?」
現実逃避?しますが何か?
「リーンこっちに隊員ナンバー003から連絡が来たわ。
材料を持って貴方の家に向かうターゲットと接触したそうよ!
彼に与えられたのは紫芋のプリンだそうよ…
彼の冥福を祈るわ!」
「誰ですかそれ!?後聞く度に味が違う気がしますよ?!
ってそれより食べたんですか?!」
被害者が増えてます~~~!
「ジムよ。感想が聞きたいからって渡されたらしいわ…
紳士っぷりが仇になったわね…」
「アンジュ、すみませんが切りますね?装備を整えなければなりません。
此処に来るまで後五分、何が出来るか分かりませんが全力を尽くします…!」
「分かったリーン隊員!健闘を祈る!
我々の明日は君にかかっている!!」
「これが終ったらカボチャのパイとシュークリームを作りたいです…」
「材料は私が負担するわ…だから!だから!死なないでね!!」
ガッチャン、ツーツーツー
今死亡フラグ的なものがたった様な気が…き、気のせいですよね?!
さて危険物を隠さねば…!
さあ!私の戦いはこれからです…!
打倒!バイオハザーード!!
後日いちゃいちゃとお菓子を美味しそうに食べるカップルがあったそうな…
そしてその少し向こうにボロボロになった物体(私)が居たそうな…
「もう二度と嫌です…」
何があったのかは…黙秘権を行使させていただきました。
一つ言うのならば、某女暗殺者と彼女はイイ友人になれるでしょう…
これはある穏やかだった日に私がテロに遭ったお話でした…
チャン、チャン!
(めでたしめでたしとは言わせんせん。)
…これもある意味飯テロですね!(素晴らしい笑顔)
いや、もしかしたらこれが本来の使い方では?
すいません調子に乗りました。
感想お待ちしております(ぺこり)