蛇の道は蛇?
夏の暑い日差しの下、
私は美しいお嬢さんと出会いました。
じいいいい、と
見つめあうこと数分。
「ふむ、迷子ですか?一緒に来ますか?」
そう、お聞きしたら、
こくこくこく!!
と、大変可愛らしく頷かれたので、
灼熱の太陽の下で力尽きてた、色白美人さんを家に連れ帰ったのでした。
………ナンパ(?)が成功しましたねぇ。
誘拐ではありませんよ?
その数時間後。
騒音を巻き散らかしながら、
わが村の新村長がベランダから、
そう。我が家のベランダから飛び込んで来ました。
常識を思い出してくださいよこのアラフィフ!
なぜうちの村の人間はこう………常識をどこかに放り投げてるんでしょうか?
「リイイイイイン!!聞きたいことがある!!あと邪魔するぜ!!」
「とりあえず新村長、うちのドアは玄関にあるのであってベランダにあるわけではありません。
それでも警視総監ですか、嘆かわしい。あと邪魔だと思うのでしたら来ないでください。
私、今美人さんとお茶してるんですよ。」
「ああ、それは悪かったな。あと新村長じゃない、副村長だ副村長!!」
「実質村長でしょうに………もうほかの村人もそういう扱いでしょう?」
「お前らのトップとかぜってえやだ!この年になってもハゲてないのが自慢なんだよぉ………
ぜってえお前らのやらかしでハゲる自信がある!
この間だっていろいろ無茶言うしよぉ………」
「そこで私を見るのはやめてください。そこはせめて建前でいいですから、本業が忙しいから辞退すると言えばいいものを………」
あといい年したおっさんの涙目とチラ見は結構見てる方のダメージ大きいのでおやめください。
自分の見た目自覚してます?ひげ面マッチョですよ?
数年前のさわやか優男を返してください。
「じゃあお前、村長やる?」
「断固拒否します。」
「お前の心の声が聞こえる………」
「嫌ですねえ、気のせいですよ。暑さで頭おかしくなったのでは?」
「俺、お前の叔父さんなのに………毎回対応きつくね?」
「面倒ごとを持ってこないのでしたら相応の対応いたしますが?
で、いったいどうしたんですか?落ち着いた今なら要件をきちんと言えますよね?」
「姪っ子が俺の性格わかりすぎてて愛を感じる。尊い。だいすき。ほっぺにチューとハグしてやろう!」
「叔母様と父に言いつけますよ?」
「ごめんなさい要件言いますからそれはおやめください。」
あらまあ、ノンブレス。
まあ、遅いですけどね?二階のベランダに父がいますし。
おそらく、今頃は光速で叔母様とメールでやり取りしてるんでしょうねえ。
まったく、たまにわざとやってるんじゃないかと思います。
ん?わざと?
「つまりは叔父様はマゾ………」
「どうしてそうなった?!」
「ぶっふぉお!」
あ、今、父が吹きましたね。
「とりあえずその誤解は後で解くとして。なあリーン。」
「やっと本題ですか。どうしました?朝から皆さんがあちこちでバタバタしてるのと関係が?」
「誰のせいだと………まあ、いい。
おう、それと関係がある。お前、蛇に詳しいか?」
「まあ、それなりですね?
鱗があり、体が細長く、四肢は退化しているのが特徴の爬虫類の総称をそう言います。
トカゲの親せきで、神話とかではもっぱら悪役が多いですね。
地域によっては食べたりします。うちの村は食べないはずですが………
ついにそちらにも手を出そうと………?」
「食わねえよ?!なんでそうおもった?!」
「この間、前村長が亀を食べようとしてましたし、もっと前は会長がサソリを食べようとしてました。」
「あいつら何やってんだあああ?!あと前村長じゃない。今も村長だ!!」
多分ですが、会長はこの間のドキュメンタリーの影響で、
前村長………ああ、はいはい村長ですね。睨まないでください。
読唇術使う時点で村長に………
ああ、わかりましたって。まったく………
村長は母から聞いたすっぽんの影響でしょうねえ。
あといい加減認めてください。
そうすれば楽になりますよ?
そういえばサソリの毒がガンに効くと一時期噂になってましたよねえ。
確かブルースコーピオン?とかなんとかの毒だとか………
今度調べてみますかね。
「だから蛇で何か作るのかと。蛇酒とか。っは!まさか生き血を飲むんですか?
強壮効果が期待されてるそうですけど、絵的にアウトですよ?せめて美形か美人なら何とか………」
「いや飲まねえよ?!ヤギの血ですら飲めねえのに?!
うーん、蛇酒、蛇酒かあ………うちの村の蛇でもできるかなあ?最近鶏の卵食われまくっててなあ。」
「毒さえあればなんでもイケるって聞きましたよ?」
「あれって元はどこの国だっけか?日本?中国?」
「もっとも古いものは中国らしいですね?医薬品として使われていたそうですよ?
日本では薬酒という扱いでマムシ酒やハブ酒がありますよねえ。
あ、蛇の肝をお酒にけ込むってのもありますよねえ。」
中国の蛇酒の効能って主に精力ですけどね。
まあ、目が効くようになるとかも言われますね。
サソリとかも入ってるものがありますよね確か。
一度生で見ていたいです。
「あれ、でもあれ作っちゃだめだっけ。あれ?輸入の方がだめだっけ?」
「たしか、蛇酒に使われるコブラとかそれに近い種のヘビはしばしば絶滅危惧種に指定されているため、多くの国では蛇酒を輸入することは違法となってるらしいですね。」
「てか何で蛇酒の話になったんだっけ?」
「ああ、私が蛇について知っているかと聞かれたからですねえ。」
「そうそう、それだった。」
「あと蛇と言われて浮かぶのは神話ですかねえ?
ケツァルコアトルとか、ヤマタノオロチとか、レルネアハイドラとか、メドゥーサとか、
ヨルムンガンドとか………」
「ウロボロスもいるな。ピュートーンもいるし………
あ、シンボルで言ったらアスクレーピオスの杖もあるな。」
「この国って蛇をモチーフにした神や魔物って多いですよね。
アスクレーピオスの杖は一番目にしますよね。
薬局とか病院のトレードマークですし。」
神にもなったと言われる名医アスクレーピオスに肖る為でしたっけ。
確か死者蘇生したんですよねー。
ああ、神話でも蛇………というよりメドゥーサの生き血でそれを成し遂げたんですよねえ。
蛇の生き血を飲むからこその神話かもしれませんね。
そう考えると神話もより一層面白くなりますよね。
「ところでお前にまとわりついてるそれはなんだ?」
「それとは失礼な、こんな美人さんを捕まえて!
朝、見つけてナンパした蛇さんです。うちの子になってくださるといったので。」
「人はそれを妄想という。」
「くるっていいましたもんねー?」
「しゃー。」
と、蛇さんとやり取りをしていたら、
新村長がおもむろにレシーバーを取り出し………
「皆のものおおお!!行方不明の蛇確保おおおおお!!リーンが持ち帰ってやがったああああ!」
と、叫んだらレシーバーの向こう側から………
「そのまま抱き潰されて飲み込まれろ!!」
と、ニックが恨めしそうな声で言い、
「俺らの汗と時間返せええええ!?」
と、ジムが泣きながら叫び、
「ほうれんそうしろやいいおとながああああ!!」
と、ヨルゴが絶叫いたしました。
なんとこの美人さんはたまたま村に来ていたサーカス団の新人がうっかり逃がしてしまった蛇らしく、
朝から村人総出で探してたらしい。
で、もしかしたら私がどこかで見かけたのでは?と思い新村長が聞きに来たらしい。
最悪討伐してるだろうと予想しながら。
こんな美人を討伐なんてしませんよ、失礼な!
「だからってまさか持って帰ってるとか思わんわああ!」
「うるさいですよ。この子がおびえます。」
なお、蛇さんは調教師の方が引き取りに来ました。
お礼にチケットただでもらいました。
おまけにサーカスのモフモフ達も撫でまわさせていただきました。
暑い中クーラーガンガンつけて書きました!
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