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リーンの日常  作者: Irene
31/40

いい子にはご褒美を!

皆様は年末といえば何を想像しますか?

クリスマス?

お正月?

初詣?

我が国ではそれより前にイベントがございます。

そう、オリーブ収穫というイベントが!!


うちの地域ではオリーブの収穫は11月から始まり2月に終わります。

なぜこんなに期間があるというと………

まあ、オリーブの品種が主な理由ですね。


11月から12月にかけては肉厚な品種が収穫され、

1月から2月にかけて小粒な品種を収穫します。

天気にも左右されますから結構時間がかかるんですよね………


何せ雨に濡れたオリーブを収穫するとすぐさま油にしないと劣化しますから………

袋に入れたままだと熟成しちゃって腐っちゃうんですよねえ………

新人にありがちですけどあれはきついです。

まあ誰でも一度は通る道ですね。

先輩たちが教えないのは決して面白がってるからとかではないですよ?

………たぶん。

ちなみにこの熟成した状態は”アナープシ”つまり、”熱がこもる”と言うらしいですよ。


と、いうわけで。

収穫です!

本日から学校はお休みなのでバイトの人のお子さん(小学低学年)も来ています!

ショタっ子かわi………げふげふん!



「ボスさん咳してるけど、だいじょーぶー?」


「ええ、大丈夫ですよ。ありがとうございます。」


「えへへー。僕何かお手伝いできる?今日はおとーさんをお手伝いするの!」


「えらいですねー。では私と一緒に魔法を使いましょうか?」


「まほー?」


「正確に言うと魔法具を使うんですよ?」


「まほーぐ!!映画とかで見るやつ!?」


「ええ。この金網(かなあみ)がはめ込んである台座がその魔法具です。」


「前のほうにお口があるー!」


「はい。そのお口のところにオリーブの実を入れる袋をセットします。

これは引っ掛けるとこが尖ってるので私か他の大人にお願いしましょうね?

あ、あと作業するときは手袋をつけましょうね?」


「はーい!」


「次に大人たちが次々持ってくるオリーブのところに行きます。」


「………ボスさんこれ実だけじゃなく小枝もいっぱいあるよー?分けないの?」


「そうなのです。バイトの大人たちは()()()()なボスさんを過労死させようと枝を切りまくって小枝をいっぱい実と混ぜてるんです!!」


「「「誰がいたいけだ?!」」」


「だまらっしゃい。枝を切ってもいいと言いましたが小枝を量産しろとか言ってませんよ!」


「「「さーせんっした!」」」


「ボスさん、僕いっぱいお手伝いするからね!!意地悪な人たちから守ってあげる!」


「ああ、なんていい子なのでしょう!抱きしめて撫でてあげましょう!」


「「「お巡りさんこいつです!」」」


「皆さん、こっちは気にしないで、お仕事に集中ですよ?給料が減るのは嫌でしょう?」



おやまあ皆さん無言でお仕事に戻りましたねえ?

顔が青ざめたのはなぜでしょうねえ?

………私の笑顔は怖いとでも?

人畜無害なこの笑顔が?

ふふふ、どうしてくれましょうか?




「ボスさん、袋セットした後どうするの?」


「ああ、説明の途中でしたね。この、小枝まみれのオリーブをバケツで集めます。

バケツはちゃんと持ってきましたね?

初心者の君にはこのスコップをあげますので、それでいれましょう!」


「はーい!わー僕この色大好き!ありがとー!

そう言えば、ボスさんはどうやっていれるの?」


「私ですか?

まず、バケツをオリーブのあるとこのやや手前に置きます。

そして、まるで湖から水を掬うかのように、オリーブの中にバケツを入れて動かします。

するとあら不思議!バケツ一杯にオリーブと小枝が!!」


「すごおおい!!僕もできる?!」


「中学生になったらできますからその時にチャレンジしてくださいねー。」


「はーい!」



はいそこー。

ぼそっと


《さらっと未来の労働力確保してるぞあの悪魔!?マジで人間か?!いや悪魔だった!!》


とか言ってるの聞こえてますからね?

今は珍しく純粋に言いましたからね?!

あと悪魔ってどういうことですか、昼食抜きますよ?!

まったく。



「で、バケツに入れたオリーブを台座の金網部分にどざーっていれます。

重いから気をつけましょうね?」


「はい!

………んしょ、んしょ!」



ちっちゃい子が一生懸命にお手伝いしてるのってかわいいですねえ。

あらあらぽろぽろこぼして………

下に専用シーツをしいててよかったです。



「ボスさん、いれました!!」


「はい、よくできましたね!ではこれからこの魔道具を起動します!

いいですか?私の動きをよく見てくださいね?」


「ん!!」


「この小枝まみれのオリーブを両手で混ぜ混ぜしたら………あら不思議!!

オリーブの実だけが袋の中に入っていきます!!」


「ふぁあああ?!すごい!魔法だすごーーい!!ボスさんすごおおい!!」



あらまあ、目がキラキラと………

ちょろい………げふげふん!

素直でいいですねえ。

うちの村の子たちだとこうはいきませんね。



「こんな感じのお仕事ですができますか?」


「やる!!ボスさんやらせて!!」


「袋がいっぱいになったら誰かに言うんですよー?」


「はーい!」


「あとうちのわんこが君を気に入ったみたいなので近くにいさせてもいいですか?」


「おっきいわんこ!!うん!一緒にお仕事するー!!」


「ありがとうございますね。美奈、よろしくね。」


「わふん!」





「………ボス?」


「なんでしょうか?」


「俺の目がおかしくなってないなら、俺の世界一かわいい息子が労働してるんだが?気のせいか?」


「一生懸命で可愛いでしょう?」


「しかもあれ先週俺に作らせた【ミニミニ枝分け機】だよな?

バケツも息子愛用のものに見えるんだが。

あのスコップは初めて見ましたが。」


「きちんと息子さんな好きな赤茶色ですよ。愛されてますねおとーさん?」


「………俺の息子が可愛すぎて辛い。」←赤茶の髪と目


「ごつい男の赤面は気持ち悪いので冷静になってくださいねー。」


「で、何ちょっと目を離した隙にかわいい息子が労働してるんだ。訴えるぞボスコノヤロー。」


「おやおや、つれてきた後に一人ぽつん、と置き去りにされたかわいい子にお仕事をあげただけですよ?

まったく、好奇心旺盛な子供に1か所に居ろというのはどうかと思いますが?」


「そこらかしこでチェーンソーやら収穫やらしてるのにウロチョロさせられっか。踏まれたらどうするんだ!」


「だからあれを作らせたのですよ、まったく。

少なくともあれに飽きない限りは安全ですよ。

1か所に居ますし動きませんし、ほかの人達も気を付けますしね。

収穫し終わってる場所にいますからチェーンソーも近くにありません。

万が一を考えてうちのわんこも護衛に残していますよ。」


「おいボス、先週からそれ企んでたのか。用意が良すぎるだろ。」


「はてなんのことやら?」


「ほんと食えねえお人ですこって。」


「ほら無駄口たたかないでお仕事に戻りましょうか?

癒しのいる今日は収穫は倍ですよね(仕事が捗るでしょうし)?」


「………今違う意味に見えたような?」


「気のせいですよ?さあ、行った行った。愛息子に(おく)れを取ってはだめですよ?」


「つかしゃべってる間に袋量産してるボスがすげえよ。」


「これでもベテランですから。」


「一応女なんだから袋は背負わないでくれ………」



一応ってどういう意味ですか失礼な。





そんなこんなで癒されつつ本日の作業が終わりました。

これからは皆様うれしい日給をもらうお時間です。

さて、と。



「ボスさん!きょーはありがとーございました!」


「はい、最後までよく頑張りました。これは本日のお給料ですよ?」


「僕のお給料!いいの?」


「お仕事をしたんですから当然ですよ?さあ、開けてごらんなさい?」


「なんだろー?………ボスさんこれ!!」


「君が最近はまってるキャラのチョココフレですよー。レアシールあたるといいですね?」


「わあーい!ありがとー!」


「あーボス?ちょいといいか?」


「おとーさん!見て見て、僕のお給料だって!」


「おーすげえな!えらいぞー!でも家に帰るまで開けちゃだめだぞ?手がバッチいからな?」


「うん!車で待ってるね!」


「おー………で、だ。ボス?この給料はどういうことかな?」


「労働に対する対価ですが?」


「いやなんか現金じゃないのがプラスアルファで入ってるんだが?

クーポン券だとしてもちょっと多いだろこれ?」


()()()ですからねー?」


「はあ?!」


「私は本日バイトがもう一人増えたんですよ?それ相応の対価を保護者に支払うのは当然でしょう?」


「そうはいってもなあ?」


「ちなみにほかのバイトさんたちからもバイト代を払えとの声が。」


「まじか。」


「えーと《癒された。まじ癒された。》、《ちょこちょこ動くのかわいかった。気が付いたら木を一本完璧に伐採(ばっさい)してた》、《ショタっ子良き。》などなど。」


「とりあえず最後のやつは後で〆るわ。」


「あとで誰か教えますね。で、現金はどうかと思ったのでそれをお渡ししました。

まあ、それでも受けとれないというのなら。

サンタさんへの投資ということで。」


「は。」


「なんでも?どこかのサンタさんの愛息子は人気のゲームがほしいとか?

でも人気過ぎて予約殺到されてるから頼みづらいとか?

で、そのサンタさんはどこの店で見つかるかわからなくて困ってるとか?」


「おいおい?」


「上乗せしたバイト代はとあるお店で使えるクーポン券でしてね?

携帯の景品でいただいたのですけど、私はそのお店で欲しいものがないですし?

このままだとゴミになっちゃうんですよねえ?

ああ、困ったものです。」


「棒読みにもほどがある。」


「優秀な人材は繋ぎとめるに限りますでしょう?」


「うちのボスは計算高いねえ。んじゃお言葉に甘えてもらっときますよ。

このクーポンが発行された店ならそのゲームは手に入るんで?」


「確認済みですよ。では、来年以降もよろしくということで。」


「サービスで枝を燃やすときにも優先しますぜ?はじめる一週間前に連絡くれ。」


「これからも末永くお願いしますね?」




と、いうわけで来年以降の労働力ゲットです。

いやー優秀な親バカは懐柔しやすくていいですねえ?


ちなみに《ショタっ子良き》といった方は制裁を受けたとか受けてないとか←


オリーブの収穫時うちの村では雨が降った日と次の日はお休みです。

でも雪が降るときは続行するという………

雪の場合オリーブに影響がないという不思議です。


それでは、感想よろしくお願いします!(ぺこり)

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[一言] ショタ良き許すまじ!
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