白い誘惑には抗えない!
「ららららん!ららららん!らーらららーららららららん!♪」
皆様如何お過ごしでしょうか?
私は見ての通りご機嫌でございます!
うっかり某赤い色の微笑んでいる牛さんの歌を口ずさむくらいには!
え?なんのことかわからない?
気になる方は:笑う牛をフランス語で、そしてチーズ。で探してみてください。
なかなか味があるキャラが出てきます。
さて、今私は何をしているのかというと………
「リーン!チーズ持ってきたぞおおおおお!」
「きゃーお父様大好きですうううう!」
そう、我が愛しい父上様が友人さんから食べごろのチーズをいただいてきたんです!
え?ルビ?ナンノコトデショウカ?
「えーっと………柔らかいフェタチーズと通常盤フェタチーズ。ミッジスラとグラヴィエーラ、グーダチーズ………あ!クリームチーズにヨーグルトまで!!色々ありますねえ~まあまあ!羊乳まで!?」
「お菓子用にも何か欲しいなあ?って言ったら泣きながらくれた!」
さすがお父様!!ナイスドヤ顔です!
事の発端は先日、父が行ったセミナーでした。
船長である私の父は休暇で国に帰ってる間、セミナーを受けなければなりません。
日々技術は進歩するのでこれは必須なんだとか。
なので頭を使うだろうと、
先月からブランデーに漬け込んでたフルーツを使って作ったダークフルーツケーキをもたせたんです。
そして悲劇が起きたのです………
父の隣に座ってた方が、あろう事かそのケーキを全部食べてしまったのです!
犯人は『購買で買ったケーキだと思ったんだ!』と言っていたそうです………
どうやら偶然ケーキの位置が入れ替わってたようです。
それはさておき、それを見た父は大激怒。
なにせ、このケーキを一ヶ月、ウキウキしながら待っていたのですから。
それでまあ、なんやかんやありまして………
その方の実家で作ってるチーズを善意でいただくことになりました。
ええ、その方は偶然にもご実家が酪農家だったそうで………
え?含みがありすぎる?
はて、ナンノコトダカ。
そんなこんなで、本日、父が受け取りに行ったということです。
手作りのお菓子を食べた対価が些か大きすぎる気がしますが………
「俺のわがままで作ってもらったお菓子が安いわけねえだろう?しかも材料も最高級品。
これで怒らない父親はいると思うか?」
ご尤もでございますね。
あと読心術やめてください。
「さて、フェタチーズやらは母達が帰ってきた時にでも渡すとして。
クリームチーズですね。ヨーグルトもありますし………冷蔵庫にホワイトチョコもありますし………
クッキーもありましたね。ゼラチンもありますし、牛乳もとい羊乳もあります。お父さん?」
「ん?」
「ホワイトチョコ入りぷるぷるチーズケーキと濃厚もったりレアチーズケーキとサクサクとろーりな二層のチーズケーキとずっしりベイクドチーズケーキ。どれがいいですか?」
「ぜんぶ!!」
「キラキラした目で無茶言わないでください?!」
こんっっっの甘党があああ!!
「えーっと次は水切りしたヨーグルトを混ぜて………」
結局二層のチーズケーキになりました。
「そういえばリーン知ってたかー?」
「何をですかー?」
「チーズケーキってギリシャ発祥なんだってよ。」
「嘘でしょ?!」
「嘘言ってどうするよ。
大体なあ、血の代わりに砂糖流れてるんじゃね?ってくらい甘いもの好きな国民性だぞ?
歴史を見ても最古のチーズはギリシャだしな。それ使って甘いもの作るだろ、普通に考えて。」
「ええー………」
「と、言ってもそのチーズケーキって今とは違うけどな。
『ティリーオン』っていうお菓子なんだが、これはいちじくの葉っぱで卵と牛乳を混ぜたものを包んで茹でるんだ。
茹であがったら葉っぱをのけて中身にハチミツかけて食うんだ。」
「ああ!オリンピック参加選手に渡してたあのお菓子ですか!」
「そうそう。後たまにあるだろ?チーズパイにはちみつかける食べ方。
あれ多分その名残だな。」
「フェタチーズにブラックペッパーとはちみつって最高ですよねえ………」
「くうか?」
「さすがお父様気がきく!!ん~!これこれこの味ですうううう!」
「だよな!ほんのり酸っぱいのが甘いハチミツで調和されて、そのあと故障のピリっとしたので刺激が来て………で、もっかい最初の味に戻りたくなるんだよ!くう~たまらねえ!!」
「うう~ダメだとわかっててももっと食べちゃいますうう!!」
「冷やしたマブロダフネ(甘いワイン)もあるぞー。やっぱチーズにはワインだよなー。」
「ですねー。そういえばさっきの話の続きなんですが。
私チーズケーキはポーランド発祥と思ってました。
確か中世前期あたりにポドハレ地方?でしたっけ?の郷土食だったとまえどこかで読みました。
確かセルニックって名前だったような………セラミックと名前が似てて覚えやすかった記憶が。」
「ぶは!セラミック!!相変わらず面白い覚え方するよなあ!
そうだ。トゥファルクっていうフレッシュチーズを使ったやつでな。今でもその地方ではお菓子としてたべられてるぞー。
前にその地方出身のシェフが作ってくれてな、うまかった!」
「?!ずるいです私も食べたいです!!レシピ!!レシピプリーズ!!」
「後でそいつにメール送っておく。翻訳は任せろ。材料ならどの言語でもわかる!」
………まさか14カ国語覚えた理由って各国の料理を美味しく食べるためじゃないですよね?
あわゆくばレシピ貰うためとかないですよね?
母がたまに作るどこの国のかわからないけど美味しい料理とか………そうやってレシピ入手したんじゃあ………
私は何も気づいてません。
ええ、ええ。食いしん坊はあらゆるものの原動力になりますものね!
航海中食べる楽しみが大半占めてますもんね!
「言っとくがこれは代々の遺伝だからな?我が家系は食に関してはちょっとうるさいからな?
お前も店の菓子に満足できないから作るんだろう?」
「それもありますが、主にお父さんがリクエストするからですからね?」
「だってお前の母さんには禁止令出したんだもん。あいつ作ったら俺止まらねえもん。」
「それ自業自得って言いません?後いい大人がもんとか言わないでください。」
「あーあーきこえなーい!!」
「………まあ、いでしょう。話戻しますか。
あれ?お父さんと話してるとき私が話の軌道修正してる気が………」
「俺に勝つにはまだまだだぞー。」
「(スルー)で、そのポーランド出身の移民達がレシピ持ち込んでアメリカでのチーズケーキができたんですよねー」
「オレオクッキーが入ってるのが多いな。うまいよなー………
よしできた。食うか?
薄切り食パンに棒状に切ったブリーチーズ乗っけて、軽くトースターで炙ったあと、
オリーブオイルを少し垂らしてオレガノちらした。」
「いただきます!チーズケーキもあとは焼くだけですー。
あ、そういえばパイシートあるんで後でフェタチーズでチーズパイとほうれん草パイ作ります?」
「うん、うまい。
お、いいな。じゃあ二階の冷蔵庫に隠してる手作り猪ソーセージでもパイ作るか!!」
「じゃあ、いっぱい食べれるように一口サイズに………し………て………ひい?!」
「ん?どうし………た?ふぁ?!」
「あなた?リーン?」
お、おにが………いや女性だから般若ですか?
「聞こえてへんの?」
「「聞こえてますマム!!」」
「うち、言うたよなあ?最近お菓子食いすぎとるからヘルシー志向で行くって。
んで二人とも分かった言うたよなあ?
なのにうちの目が悪うなったんか?そこにあるのチーズやなあ?
高カロリーやなあ?しかも?猪のソーセージもあるんやて?」
「いや、あのな?これはお詫びでもらったチーズでな?」
「量が多いので加工しようと思いましてね?!」
「あと1週間お菓子禁止と野菜中心生活な?んでもって作ったお菓子も没収。」
そんな殺生な?!
その後ダークフルーツケーキを作ったこともバレ、
お菓子禁止期間中、毎朝2時間の正座が実行されました。
ちなみにブリーチーズはブルーチーズの誤字ではありません。←一応書いておこうと思いました。
作中に出てくるチーズの名称はあえてギリシャのものにしました。
ミッジスラは丸っこい白いチーズでちょっと辛いですけどすってスパゲッティ系にかけると絶品です!
グラヴィエーラはもうちょっとマイルドな味ですが味にバリエーションがある熟成チーズです。
オカズとして我が家では食べます。
それでは、感想よろしくお願いします!(ぺこり)




