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リーンの日常  作者: Irene
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そしてバラは頭上に落ちる

「パチリ、パチリと切り落とす。

まるで処刑人のように無慈悲に…

ぼとり、ぼとりと落ちてゆく。

まるで切られた………」   ぼとん、ぽてん。


「やめろおおお?!」



おや、ニック。

開始早々うるさいですねえ………





「冒頭でめちゃくちゃこええこと言うなよ?!思わずツッコミに止まったちゃねえか!」


「おやまあ………」   ぼとん、ぽてん。



相変わらず律儀ですねえ………



「律儀なんじゃねえよ!リーンが突拍子もねえことやりすぎんだよ………」


「おやエスパーですか?それにいつも悪乗りして乗っかるのはどちら様ですか?」  ぼとん、ぽてん。 


「何年の付き合いだと思ってる。はて誰だろうなあ?ココロアタリネエナア?」


「………」   ぼとん、ぽてん。


「無言で見るのはおよしになって?!」



むっちむっちのアラサー男のシナなんて誰得ですか?後、



「控え目に言ってキモいです。」    ぼとん、ぽてん。


「声に出てる?!と、まあ遊ぶのはここまでにして。

何やってんだ?」


「バラの剪定です。いやー、最近の天気でバラが元気になっちゃいまして。」  ぼとん、ぽてん。


「あ〜お前の家のバラ、二階のベランダまで登ってるもんな………

ちょっとでも剪定しないでおくとホラーハウスっぽくなるよなあ………」


「既にほんのりそれっぽくなってますものねえ………」    ぼとん、ぽてん。  


「あ、切ったバラってお菓子にするのか?ジャムとか、クッキーとか、ジャムとか、ケーキとか、ジャムとか!!」


「はいはい、落ち着いてくださいねー。本音ダダ漏れですよー。

後うちのバラはジャムには不向きですからねー。せいぜい言ってポプリか石鹸、ああ、精油もいいですかねえ?」              ぼとん、ぽてん。


「え?バラ全部ジャムになるわけじゃねえの?」


「もしそうだったら教会の修道士様たちが作ってる奴以外も普及してると思いませんか?」   ぼとん、ぽてん。


「価値つけるためにやってると思ってた………」




まあ、それもあるでしょうね収入源ですし。

昔は今のように国からお給料もらうんじゃなくって、寄付で成り立っておりましたし。

後、何らかのブランド製品を作り出しておかないと敵に潰されるという可能性もありましたしねえ。

確か、従属国になった後に教会でバラジャムやらを作り始めたらしいですし。



「ある意味あってますよー。まあ、それは置いておいて。

バラジャムに適しているのは薄い花弁のバラです。

オールドローズがこの国では一般的ですねえ。」  ぼとん、ぽてん。


「ああ、あのぼってりしたやつ!昔はあっちこっちにあったよなあ………今はいろんなのがあるけど。」


「バラは人気ですからねえ。この村では育てやすいですし。ほっておいても枯れませんし。」  ぼとん、ぽてん。


「ほっておいてんのはお前の家だけだ。断言できる。

なのになんで咲き誇ってんだお前のバラは?!」


「持ち主である祖母に似たのですかねえ?」   ぼとん、ぽてん。


「いや、お前んちの人間全員に似たんだろ。」




失礼な。私と祖父は繊細な人間ですよ?

ちょっとおちゃめですが、それも愛嬌です!




「そうか………あのなんか使い古されてる(いわ)くつきっぽい釘もお茶目なのか………

迷路や毒菓子もお茶目なのか………(村人奮闘記 事件発生!より。)」


「何遠い眼してるんですか。ほかの人に比べたらお茶目ではありませんか!」    ぼとん、ぽてん。


「ソウダナ。で、疑問だんだけどさ?日本にもバラってあるのか?」


「………喧嘩でも売ってるんですか?」   ぼとん、ぽてん。


「いい方が悪かった日本にもバラの原種があるか聞きたかったんだだから植木ばさみこっち向けんなバカやろおおおお?!」



嫌ですねえ?ニック。あなたの方に伸びてる蔦を切ろうとしただけですよ?




「そういうことですか。ありますよー?イザヨイバラやサンショウバラ、ノイバラやテリハノイバラ………あ、ハマナスもそうですねえ。ほかにもいろいろありますよー。」  ぼとん、ぽてん。


「結構あるんだな。あ、最後以外、全部イバラって単語がつくのか。どういう意味なんだ?」

 

「ああ、バラのことですよ。

もともとはイバラだったんですがなまって今ではバラという言葉になってるんですよ。

漢字でも書かれるんですけど、その時は人によって音読みの【そうび】や【しょうび】と読むんだそうです。あとは中国語の名残でしょうか?【玫瑰(まいかい)】や【月季(げっき)】ともいうそうですよ?」 ぼとん、ぽてん。


「だあああ?!またそれかああ?!ちきしょう一つの文字に何種類読み方あんだよ?!それがあるから覚えられねえ!!」


「あー………日本人でも苦労しますからねえ。慣れですね。頑張ってください、今からでも遅くありません。」 ぼとん、ぽてん。


「英語をLOWERでやめた俺に言うな。」


「大丈夫です私それすら持ってませんけど、日常会話は余裕です。」   ぼとん、ぽてん。


「俺だってアメリカに行ってたからしゃべれるわ!!………なのになんで落した試験官んんん。」

 

「そりゃあイギリス英語の試験にアメリカ英語使ったらダメでしょう。」  ぼとん、ぽてん。


「やめようこの会話。古傷がえぐれる。」


「私は別に………取れればいいなあ。って感じでいってましたからねえ。」  ぼとん、ぽてん。


「試験官に気に入られてたよなあ、お前………ん?そういえばその時のトークのお題、歴史だったのにお前バラの話題にすり替えてなかったっけ?」


「ええ、そのおかげで後日、その方の知り合いの方のローズガーデンにお誘いされました。素晴らしいイギリス旅行でしたよ。ああいう時って雑談て役に立ちますよねえ。話題が出てこなかったら使えます。」 ぼとん、ぽてん。 


「リーンのそのコミュ能力なんなんだ………いや、ごまかし能力か?確か観光の話題にヤマはってたっけ。あー確か最初はイギリスの庭の話題で始めたんだっけ?お前と一緒に試験受けたから覚えてる。」


「ああ、そうですね。実際観光案内とかでも取り上げられるほど有名所が多いので。

それを出せばなんとかこちらのペースに引きずり込めると思いまして」    ぼとん、ぽてん。


「だから落とされたんじゃあ………」



いやー驚きましたよ。事前の情報では観光の話題でトーク能力を見ると()()()()()()のに、まさかの当日の試験管交代。

慌ててその人の情報集めて………でも時間が足りずどうにもならなかったんですよねえ。

そしてトドメが苦手な歴史。

これは何とかして有利に持ち込まねばと思いましたねえ。



「確かハイドパークのローズガーデンを話題にしたんですよねえ。ケンジントン宮殿近くにあってバラのトンネルが有名ですし。」  ぼとん、ぽてん。


「知ってる!行った!色んな色のバラがあってさあ、バーバラも気に入ってて………後バラだけじゃなくていろんな花があるから飽きねえし、香りもきつくなかったなあ。」


「それらを絶賛しつつ、バラの逸話をいろいろ言って気をそらしましたねえ………」   ぼとん、ぽてん。


「そうそう!バラが一番最初にギルガメシュ叙事詩(じょじし)ってやつに登場するとか知らなかった。まあ、でも叙事詩(じょじし)に関して俺、補足したな。でないと空気になってたし。」


「それに関してはナイスプレーでした。聞かれた時どう答えようかと………」  ぼとん、ぽてん。


「あれくらい常識だと思うけどな。そのあとは神話ではアフロディーテやヴィーナスを象徴する花だって言って………んでナポレオンの話になったら俺にバトンタッチしてたな。」


「いやジョセフィーヌ皇妃については、バラが大好きすぎるってのは覚えてたんですがねえ。

ほら、ナポレオンが失脚したあとも彼女のバラ園は品種改良とか続けてたらしいですし………」   ぼとん、ぽてん。


「なあ、さっきからずっと言いたかったんだが………」


「はい?」    ぼとん、ぽてん。


「痛くねえの?その二階から落ちてきてるバラ。」


「痛いですよ!!棘ガッツリ頭に刺さってますもの!!」  ぼとん、ぽてん。


「じゃあ、一旦そこの選定と紐結ぶ作業やめて、はしごから降りればいいんじゃね?」


「足元に切ったバラとツタが絡まって無理です。少しでも動いたら落ちます絶対。」   ぼとん、ぽてん。


「じゃあおばさんに切るのやめろって言えよ?!」


「切るのに一心不乱になってる母に聞こえると思いますか?!」  ぼとん、ぽてん。


「………ドンマイ?」




この会話のあとニックに足元に絡まっていたバラの残骸をどかしていただきました。

お礼に作ったペアのポプリ入りくまさんのキーホルダーは喜ばれたと言っておきます。

庭の剪定してる時とかよく知り合いが通るのって切った花をもらうためですかね?←

バラに関してはまだまだ言いたいことがあるんですが我慢します。

ギリシャのバラジャムやばらのルクーミ(ギモーブみたいなお菓子)は是非皆さんに試していただきたいです!!


感想よろしくお願いします!(ぺこり)

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