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リーンの日常  作者: Irene
28/40

お茶目なエイプリルフールの過ごし方

エイプリルフールとは、毎年4月1日には嘘をついても良いという風習のことである。

イギリスでは正午までだが、その他の地域では一日中行われる………


~某地域の銀行にて~



本日は月初め。

そんな日は銀行では戦争といってもいい状況である。

給料を受け取りに来る者、年金を受け取りに来る者、支払いに来る者、クレームに来る者、視察に来る者………

実に様々な用事のために皆訪れる。

ほら、今もまた一人、用事をしに来た女性が………

まあ、私のことですが。



「皆様、お忙しいところ申し訳ありません。

(わたくし)、本日よりこの銀行を買い取らせていただきました、リーンとお呼びくださいませ。

誠に恐縮ではございますが、これより視察を行いますのでその場から動かないでくださいませ!」


「はあ?!」


「前までこの銀行の取締役の一人であった方が様々な問題を起こしておりまして………

ええ、ええ、皆様もご存知でしょう?あの若いお方です。

大丈夫。今なら言ってもいいのですよ?彼のお方の悪行を!!」



今こそ日頃の鬱憤(うっぷん)を晴らす時では?



「いやいやまt」


「私………見てしまったんです………」


「何をですか?受付担当のミーナさん。」



ウインクがとってもお似合いですよ!

なんと、一瞬で目に涙をためるとは!?素晴らしいですね!



「取締役が………取締役が支店長の秘蔵のお菓子をこっそり食べてるとこを!!」 


「なんて罪深い!!それはもしかして向かいのケーキ屋さんで朝の一時間しか売っていないというあの幻のお菓子では?!」


「はい、毎朝6時から7時まで………ケーキ屋さんの娘さんが学校に行く前に出す限定品………将来はパテイシェ間違いなしといわれる彼女のお菓子………8時には仕事につく私達の様な職種限定にしか売っていただけないそれ!!」


「今日も一日頑張ってくださいという真心の籠った限定お菓子!!それをこっそり食べるなんて!!鬼ですか?!」


「なんてひどい奴じゃ………」


「私じゃったら耐えられんわい………」



おじ様たちナイスアシストです!!



「いや、あの………」


「他には?この際ですから全部言ってしまいましょう!()()()()()()()()()()()!」


「いやいや待て?!わt」


「はい!次は俺が!!」



ナイスタイミングです!!

()()()が何か言おうとしたのをぶった切りましたね!


「はい、ローン担当のジョニーさん!」


「俺、見てしまったんです………!!取締役が課長の娘さんに指輪を渡すのを!!」


「なんですって?!」


「しかも石がどでかかったんだ!!娘さんには大きすぎて………顎が外れそうだったんだ!!」


「ま、まさか………」



いい感じですジョニーさん!



「そう、



取締役は少なくとも8歳から食べるようにと注意書きがある飴の指輪(超特大)を渡していたんです!!」


「幼女にあるまじき狼藉!?最近ぽっちゃりしてきたからと彼女の母親がプチダイエットさせていたというのに!?」


「あのくらいならぽっちゃりじゃn」


「そういえば俺も見たぜ!」


「何をですかチャラいお兄さん?」


「チャラいって(苦笑)。俺は2ブロック向こうで弁護士事務所で事務やってんだけど、



見ちまったんだ。」


「ほほう、何をですか?」


「事務所に住み着いた猫に警戒されまくって手をひっかかれたとこを!

しかもそのあと隅っこでいじけて、事務所のじいさん弁護士に頭なでられて飴もらってた!!

しかもウーゾ味だ!!羨ましい!!」


ウーゾというのはこの国で有名なお酒の一種です。

度数は45以上いったりしますね。

味が人気で飴やクッキーにもよく見られます。

って羨ましかったんですか?!


「あのあと俺もねだったら最後の一個だって………コノウラミワスレルモノカ………」


「いやそれやつあたr」


「わしも見たぞい~。」



グッジョブおじさま!!

ほんわかと手を上げつつ鋭く発言をぶった切りましたね!熟練の技です………(ごくり)


「わしは銀行員じゃないからここでのことは知らんのじゃがなあ………

あれは先日のことじゃった………

ほれ、新しくできたふぁんしいーな店があるじゃろう?

そこでわしは見てしまったんじゃ………」



(ごくり)



できますねこの方………演説慣れしてらっしゃいます。

あっという間に皆さんを引き込むオーラを………

んん?最近どこかで見たような?

あ、引退した前町長さんではないですか。

お久しぶりですねえ………



「何を見たのですかおじ様………?」


「見てしまったんじゃ、



取締役の小童(こわっぱ)が大きな熊のぬいぐるみに頬擦りしておるとこを!!」


「ぎゃああああ?!」


「どうやら姪に送るために肌触りを確かめておったそうじゃ。

一通りすりすりし終わったら、ピンクのかわいらしい大きなうさぎさんと、小さい黒い熊さんのキーホルダーを買っておった。

さて、小さいのは誰用に買ったのかのう?」


「それはぜひとも調べなければ………」


「?!」



いやまあ、さっきからポケットからちらちら見えてますけどね。

今更慌てて隠しても遅いですって。



「ゴホン、では私で最後にいたしましょうか。」


「おおーっと!ここで大トリの支店長が重い腰を上げました!

その背後にはブリザードの幻覚が見えますがきっと気のせいでしょう!

で、あなたはいったい何を見たのですか?」


「今度お菓子おごるから言うのやm」


「私が見たのはここではないのですが………

そう、あれは本店に用事があっていった時の事………」


「やめてくれ、それだけはああ?!」



おや、皆様素晴らしいチームワークです。


おじ様達はさりげなく通路をふさぎ、

赤ちゃん連れの奥様はさりげなく足元に乳母車を置き、

チャラいお兄さんは瞬時に肩をつかみ、

受付担当のお姉さんは腕を絡める。


………ホント素晴らしいチームプレーですねえ………

かく言う私も彼の前に立ってますが。

たまたまですよ?決してとおせんぼしてませんよ?



「おや、何を慌てているんですか?




貴方が仮眠室でとてもかわいらしいキャラクターの描かれた抱き枕を抱いて寝てたことしか言いませんよ?

ああ、それともそのあと寝ぼけて掃除の女性(御年73歳)に抱き着いた方でしょうか?

それともその後の昼食会で考え事しててスープに胡椒のビンをそのまま入れたことですか?」


「お前私が嫌いだろおおお?!てかナニコレ公開処刑?!

てかなんで皆そこまで私の情報もってるんですか?!」


「いえいえ、違いますよ。ただの………」


「「「「エイプリルフールのウソ劇場だ!!」じゃ!」です!」ですね。」



おお!息ぴったりです!



「はい?」


「いやー皆さんノリが良くて楽しかったですねぇ。」


「年に一度のことですから。」



ミーナさん、すっごく素敵な笑顔ですね!

心なしか後ろに小悪魔の羽と尻尾も見えますね!



「入った時点からナニカすると思ってました!」



ジョニーさん目がキラキラしてますよ!

まるで飼い主に遊んでもらえる飼い犬のようです!

………他意はないですよ?


「リーン様が数日前からそわそわしておりましたので………」


マジですか支店長。

ポカ―フェイスをもっと鍛えねばなりませんね!


「や―なんか面白そうだから乗っかってみた!」


ナイス判断ですチャラ男さん!

ところで弁護士事務所のくだりは事実ですか?

………え?事務ではなく本当は弁護士?

世も末ですねえ………

え?依頼人によく訝しげな眼を向けられる?

とりあえず話し方を変えればよいのでは?



「わしはお主を見た瞬間に()()()の人間だと分かったんでな、

愉しくなりそうじゃと思ってノったんじゃ!」


政治に関わる方々はなぜかわかるらしいのですよね?

オーラでも出てるのでしょうか………

え?雰囲気?

隠せないじゃないですかそんなの。



「まさか視察途中にこんな目に合うとは思いませんでしたよ………

てか私の色々暴露されただけではないですか………嘘なんて最初に貴女が言った銀行買取だけで………」


「「「「え?」」」


「え?」


「私、お菓子の件はでたらめ言いましたけど?」


「え?」


「俺も適当に言ったんですけど………」


「え。」


「俺もいじけてるとこからは嘘だぜ?」


「へ?」


「わしも何を買ったかまでは見てないのう。」


「え………ま、まさか………」


「私は抱き枕の絵柄は知りませんでしたねぇ。

あと昼食会には参加してないので想像ですね。」


「と、言うことは………?」


「ご自身で墓穴を掘ってましたね!」


「ぎいいやあああああ?!」


「支店長、奥の部屋でお菓子の件はじいいっくり、ゆううっくりと………

ハナシアイマショウネ?」



わーお、素晴らしい震えっぷり。

ガンバッテクダサイネー



「それでは皆様お付き合いくださりありがとうございましたー

引き続き今日という日をお過ごしくださいませー」



因みに本日銀行に訪れたのはこのためだけですよ?





日本では3日だという事実には目をそらしつつ投稿です!


感想お待ちしております!(ぺこり)

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