村人奮闘記 事件発生!
私たちは知らず知らず油断していたのでしょう…
ここが激戦区だと知っていたのに…
そんな私たちの気のゆるみが、
まさかあんな結果になるだなんで…
あの日、私たちはとても大切なものを盗まれました。
それはなくてはならないもの、まるで空気のようにいつもそばにいて、支えて、繋いでくれる…そんな存在。
それを盗まれてから2週間、
私たちは嘆き悲しみながら、復讐の焔を静かに燃やしているのでした…
これは、私たちがあるものを取り戻すための奮闘記である______。
「アンジュ、私はもうだめです。これ以上は耐えられません。」
「お―よしよし、うちの店のアイスサンドケーキでも食べて落ち着きなー」
「いただきます。
あれを盗まれてからはや2週間……ああ、あれがどんなに大切だったのか身に沁みました!!
この気持ち……まるでロミオを思うジュリエットの様!!
一日千秋の想いといいますが、きっと今のこの気持ちこそそうなのでしょうね……!!
ああ、愛しいあなた!いったい何時になったら戻ってくださるんですか……?
あなたのいない生活に私はもう耐えられません!!」
「セリフだけ聞いてるとあれよね……まるで恋煩いよね。実際は電線盗まれてるだけなんだけど。
しかしもう3週間かあ、電話もインターネットも使えなくなって。
銅線目当てだっけ?」
「ええ、溶かして売ったらある程度の金額になりますからね……
おのれ犯人……!!もし捕まえることができたらどうしてくれましょうか?
うふふ、うふふふふふふふふふふ。」
警察に引き渡す前に色々、うっかり!!アクシデントがあってもいいですよねえ?
ええ、ええ!だってこの村にはかよわいお年寄りや無防備な子供たちがいますから!!
ちょーーっと殺り過ぎてもいいですよね?
漢字が違う?気のせいですよ、ええ。
「怖い怖い怖い怖い!!その笑顔が怖い!?ここに来るまでも思ったけどあんたの村怒り過ぎ!
ここに来るまで呪詛から悪魔召喚の儀式の準備まで見たわよ?!
一番平和なのが子供たちの罠制作ってどうよ?!」
ああ、やることやって暇だから、何人かのおじい様方やらおばあさま方が親戚の神父様やエクソシストに聞いたりしておりましたねえ……
皆さんなら成功すると私信じておりますよ?
ちなみに呪詛に関しては我が母上様がリーダーだとか知りませんよ?
嬉々としてサッカー見つつ、藁人形を作ってる父様も見ておりませんよ?
どこからか大量に釘を持ってきた祖父なんて気づいてませんよ?
そんな彼らを労わるために特製のほうれん草のパイ作ってる祖母も……見てませんよ?
相変わらずフェタチーズたっぷりで皮にもほうれん草練りこんでておいしゅうございました。(うっとり)
「だってもう2週間も電話もネットもないんですよ?
最初お年寄りたちは何かあったときのために、おじいさま方はカフェで屯って、
おばあさま方は運転できるお孫さんがいる家で井戸端会議とかしてたんですよ?」
「困ってるように聞こえないのはなんでかしら?」
「子供たちは今のように罠制作に勤むしかありませんでしたし、
中高生は町におりて……
と、言いましても元々降りてますけどね、進級試験期間なので。
なので試験が終わった後、数多のカフェを彷徨うネット難民になりますし……
私と同じ年の皆さんはサッカー見つつ、犯人を見つけたらどうお仕置きするかの意見交換するしかなく……
ちなみに私は愉しく罠制作の方に行きました。」
「他にすることないのかお前ら。農業どうした。
今の時期ブドウの世話しなきゃいけないんじゃなかったの。」
「すべて最初の1種間で終わってしまいました。暇だったので。
あとは定期的な水やりだけです。
今は……ほら、犯人は現場に戻るというので候補となる場所にありとあらゆる罠(村人渾身の作)を(子供たちと青年団が)設置しております。
……結構えげつなくなりましたがまあいいでしょう。」
「聞くなよ……聞くなよ私……
リーンがえげつないって言うからにはきっと私が思うよりもっとえげつないわ……
絶対聞いちゃだめよ……」
「大丈夫ですって。」
ちょっーとダンジョン並みに長い迷路だったり(出口は断崖絶壁、要所に休憩所があってそこにディア作のお菓子も置いてある。私作)、
穴に落ちたら墓地にある開かずの教会に出たり(入った瞬間きっつい香水が数種類吹きかけられる、密室にこれはきつい。村のおばあさま方作)、
矢とかに誘導されたら狩猟小屋にたどり着いたり(村の猟銃持ってるおじさま方が常時いる、村のおじいちゃんたち作)、
ブービートラップにかかった瞬間,荒れ狂う家畜に追いかけられたり(最終的には家畜小屋に閉じ込められる、ちなみにこの数週間掃除をさぼっていたところだ。これは青年団作)、
ああ、後落とし穴にまるで本物のようなGが敷き詰められてる罠もありましたねえ…(なお、より本物っぽくなるように下におがくずが敷かれている。落ちた人が動くたびにあの独独の音がして夜だとまるで生きてるかのようである。村の子供たち作)。
まあ、そのあともいろいろ作ってましたね。
……でも子供達のやつには落ちたくないですねえ……
パッと見た時も本物っぽかったですもん。
しかもよりリアリティー出すためにか、かじられかけてるほかの昆虫(もちろん偽物)とかも入れてましたもん……
「ところでリーン。」
「はい?」
「そこの段ボールにある色んな……虫って……ほ、本物?」
「ああ、それですか?子供達が(罠用に)作ったものの余りを頂き(おしつけられ)ました。
なのでうちのワンコたちがボロボロにした毛布と一緒に後で倉庫に入れようかと。」
「作ったの?!買ったんじゃなくて?!精巧過ぎない?!
っは!!まさかこれって罠に……
いやいやいやいやいや!私は何も気づいてないし見てもいないから!!
段ボール箱なんて見てない!見てないったらない!よし、自己暗示完了!」
……自分で自己暗示って言っちゃいましたよこの人。
「とまあ、こんな感じで色々やってたんですが……さすがに飽きました。」
「そういえば中高生たちは参加してないのね、珍しい。」
「ああ、今進級試験シーズンなので。まあ、ネットの例題見れないとぼやいてましたけど、
図書室でネットを借りて見れるようにしてもらったのでどうにかなりました。
高校最後の年の子たちは大学受験も兼ねてるので必死ですしね。」
「だから犯人にかまってらんないと……」
「いえ、彼らが真っ先に立ち上がったのですが、さすがにどうかと思ったのか親が止めてました。
『奴らは任せろ。だからお前たちは(将来の夢をつかみに)行け!!』と、感動的なセリフを……」
「それ言いたかっただけでしょ、絶対。」
……大人も過去では子供だったんですよ……
≪お―れーはニック―たーい将さー!!≫
「ぶふう?!何その着信音?!え?これニック?!」
「前酔っぱらって歌った物を録音したものです。いいでしょう?」
「ほしい!!後で送って!!私もそれ使う!!」
「かしこまりました~!
はい、もしもしニック?どうしました?」
『リーン!ガキどもがついにヤッチマッタ!!』
「今度は何やらかしたんですか……?」
((リーン、スピーカー!!私も聞きたい!!))
((オッケーです!))
『聞いて驚け……あいつらの作った罠に電線泥棒がかかった。たぶん同じ奴だ。』
「ほほう……?で、どの罠にかかったんです?
まさか私がえげつないといったあれとか言いませんよね……?」
『そのまさかだ。それにかかった。』
「おやまぁ……それはそれは運のない……」
『見える、見えるぞ……邪悪な笑顔を浮かべるお前が見えるぞ……』
「嫌ですねえ、憐れむ女神のごときの笑顔ですよ?」
((ぶふうう!!))
((アンジュ?))にっこり
((ゴメンナサイ))
『ん?誰かいるのか?』
「テレビが付いているのでちょっと騒がしいだけです。
さて、二時間後に罠のあるところに迷子になった後に着く予定ですので、それまで監視よろしくお願いしますね?」
『迷子になる予定かよ?!あー今のとこガキ二人に見張らせてる。適当に交代させとくわ。』
「気配は消すようにお伝えくださいね。後、大人組にも待機させてください。」
『言うと思ったからもう支持は出してる。警察の方はどうする?』
「私から都合のいい方に連絡しておきますのでお任せ下さい。」
『わかった。じゃあ、適当な時間に罠の場所に行くよ。』
「はい、早めに終わったら連絡します。」
『オッケーじゃあまた後でなー!』
「と、いうわけで用事ができたので……アンジュには悪いですが……」
「いーよいーよー。なんか手伝おうか?」
「じゃあごうも……じんも……説得の準備を手伝ってもらうといいですか?」
「……(突っ込むな私!!)おっけー!」
さて、村長にも連絡して、警視総監にも電話して……ああ、やることいっぱいですねえ。
「リーン、顔、顔!せめて緊張してるように取り繕って!その邪悪な笑顔しまって!!」
おっと失礼しました。
あータイヘンですねー(棒読み)
「一体何が起きるの……(がくぶる)あ、この箱ももってくの?」
「一緒に見に来ます?はい、車に積んでください。」
「遠慮しておきます。おっけー。」
あら即答されてしまいました。
残念です。
さて、用意も出来ましたし、アンジュを家に送って罠の場所に行きましょうか。
罪人には、バツを与えませんと……ね?
陽「何前書きのあのシリアスな感じ……」
リーン「ふふふ……」
陽((こわ?!))
「「感想お待ちしております(ぺこり)」」




