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ダブル・オータム・リーブズ

「それでは、望月もちづき 勇太ゆうたの魂を召還いたします。」


「よい。始めよ。」


 フレイヤの言葉に短く答えた。一見素っ気なくも見えるが、そうではない。余裕・・がないのだ。


 高々人間ひとりに会うだけのはずなのに、何故か緊張してきた。指先が少しずつ震え出している。じっとりと汗をかいてきた。そう自覚すれば、さらに緊張が高まる。今、神は初めて、負の緊張スパイラルに落ち込んだ。ダメだ。自分がどうやって呼吸していたかも忘れてしまった。あれ?第一声って何を言えばいいんだ?本日は御日柄もよく?世界の半分をお前にやろう?ダメだ違う。何か違う。でも、違うってことしか分からない。ちょっとタイム。一回仕切り直そうー・・・。


 これが、たった3秒間の神様の胸中であった。


「ちょっ!ちょっとストップ!一回召還中止じゃ!」


「え?でも神様、既に召還終了しましたけど?」


「な、なぬぅ!!こ、この有能天使!!」


「恐縮です。」


 気付けばフレイヤが顕現した魔法陣から、眩いばかりに白い光が発生している。段々と光が弱まるにつれて、陣の中心部にいた人物の輪郭が見えてきた。完全に光が収まり、魔法陣が消えたときにそこに立っていたのはひとりの青年だった。


 顕れた彼は、ちょうど幼さが抜けたくらいの面立ちで、まだ覚醒し切ってないのか、瞼を閉じて立ち尽くしている。亡くなった時に着ていたのだろうか、ごく一般的な学生服を着ている。白い半袖のYシャツに、黒いスラックスパンツ。事故当時は夏だったことが伺い知れた。なる程、服装も相まって確かにどこにでもいる平凡な青年のようだ。


「う・・・、あ、あぁ・・・。」


 どうやら覚醒してきたようだ。神の緊張が一気に頂点に達した。こうなりゃもうなるようになれ!と、半ばやけっぱちになって構える。


「ききき、気付いたようじょの!」


「神様落ち着いてください。幼女はあなたです。」


 第一声を盛大に噛んでしまった。神の力を封じてから経た時間は僅かなれど、初体験が次から次へとやってくる。今は“顔から火が出るよう”を初体験中だ。


「ご、ごほん!!き、気付いたようじゃの!!」


「うう・・・。うぁ・・・。」


「おい!気付いたか!気付いたろう!!我こそは神・・・」


「あ、ああ・・・」


「いい加減早よ目ぇ覚まさんかぁぁぁ!!!」


「うぉ!び、びっくりした!」


 神の理不尽な逆切れにより、望月勇太はとうとう覚醒する。瞼を開け、大音声の発生源である神をようやく見た。


「ふぅ・・・!では改めて、気付いたようじゃの!気分はどうじゃ、望月勇太!!」


「え?あ、ああ・・・え?気分?・・・え?」


「気分くらいちゃきちゃき答えんかい!!」


「は、はい!特に問題ありません!!」


 神様は恥ずかしさの余りキレた。それにより、また新たな発見をした。取りあえず相手が悪いと思って怒鳴っておけば、恥ずかしさが紛れることに。望月勇太からしたらたまったものではない話だ。


「よかろう!早速だか望月勇太!!お主は不幸なことに交通事故に合い、死んでしまったのじゃ!!」


「・・・え?死んでしまった?・・・僕が?は?ていうか君は誰なの?なんで僕の名前知ってんの?」


「え?我?そ、そう!我こそは神であ・・・」


「ん!?あれ!!??え!?な、何!?ししししし、死んだ!?誰が!?ぼぼぼ、僕!?え!?僕死んだの!!??」


「え!?そ、そうじゃ。お前は死んで・・・」


「いや待って今生きてるじゃん!?ほら!?今僕は生きてるよね!??どういうこと!?嘘なの!?」


「う、嘘じゃないわ!何故お主がそこでそうやって存在できるかというと・・・」


「つーかここどこ!!??え!?何!?何で死んだって!?じ、事故!?事故って何の事故!?!?」


「え!?ちょっ、待っ、何から答えたら・・・」


「何がどれでどれが何なの!?もう一体全体何なんだってんだああぁぁぁ!!」


「ふ、フレイヤぁぁ!!助けてぇぇぇ!!」


 もはや阿鼻叫喚。とうとう2人とも泣き出してしまった。簡単に死という現実を受け入れる主人公に違和感があると言うので黙って見ていたが、もう限界のようだ。フレイヤは最近の主人公が物わかりが良くなった理由を実感した。


 これでは話が進まないし、見るに絶えない。


「うわぁぁぁぁぁぁん!!」


「びぇぇぇぇぇぇぇん!!」


 泣きじゃくる2人を見て、フレイヤは本日何回目になるか分からない溜め息をついた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「お二人とも、落ち着きましたか?」


「「はい。」」


「結構。」


 その後、フレイヤは場を一旦落ち着ける為、仕方なく、そして容赦なく平手打ちをかました。もちろん両者に。平等主義を自負するフレイヤにとって、平手打ちするならばそこに人だの神だのといった種の垣根は存在しないのだ。暴力と威圧という二本刀で2人を黙らせたあと、自分含む三者で三角形を作るように正座させた。


「では、続きはこのフレイヤが仕切らせていただきます。望月勇太様、以後お見知り置きを。」


「あっ、はい。よろしくお願いします。」


「まずはどこまで理解できたのか、一問一答形式で確認するとしましょう。確認の意味合いも兼ねて、簡単なことからお聞きいたします。宜しいですか?」


「は、はい。構いません。」


「では、あなたのお名前をお聞かせください。」


「望月勇太です。」


「年齢は?」


「15歳になります。」


 他にも住所、家族構成、好きな食べ物や得意なスポーツなど、フレイヤが尋ねるのは現状に関係の無さそうなことばかりだ。しかし、分からないことだらけの中で、分かることがあるのだということが、徐々に勇太の気持ちを落ち着かせていった。


 そんな勇太の様子を見て、フレイヤはとうとう核心に触れた。


「では、勇太様。あなたが既に亡くなられた身である、という点についてはいかがでしょう?」


「それ、は・・・」


「理解と納得は違います。そして我々はこの場で無理に納得を求める程、酷ではありません。」


「・・・。」


「勇太様の御心痛、察するに余りあります。どれ程時間を掛ければ己の死について納得できるかも分からないのに、部外者であるところの我々がどんな理屈をこねたところで、慰みにもならないでしょう。」


「・・・。」


「・・・。」


 勇太だけでなく、神も黙ってフレイヤの話を聞いている。フレイヤの言う通りだ。勇太にとっては今この瞬間自我があり、自分という存在を認識出来ている。そんな人間にどれだけ自己の死を力説しても、真に実感をもって納得することは難しいだろう。


「ですから、今は納得出来なくてもいいでしょう。ゆっくり時間を掛けて、自分を見つめ直すことをお勧め致します。そのために、今は確かな事実だけは頭に入れておく必要があるかと思います。・・・ご自身の死、ご理解いただけましたか?」


「・・・はい。フレイヤさんの仰る通り、まだ納得なんて到底出来ないけど、理解は出来ました。」


 今度は勇太の語る番だ。神はひたすら真剣に、真っ直ぐとした目で勇太の話を聞いている。


「最初はすごくパニックになっちゃいましたけど・・・。冷静に振り返ってみれば、僕はあの時点で無意識的に理解していたような気がします。自分が既に死んでいるなんて、いつもの僕なら“何を馬鹿なことを”と言って信じなかったと思います。絶対。」


 それなのに今回は何故か、一笑に付すことは出来なかった。いや、そもそもしようとすら思わなかった。死を宣告された瞬間、よく分からないがすごく焦った。頭の中で父や母の顔が思い浮かび、もう会えないと思ってしまった。そうして、気付けば自分は泣いていた。


「混乱してて記憶が曖昧でしたが、段々と死ぬ瞬間も思い出して来ました。学校からの帰り道、隣の家のさっちゃんと会いました。さっちゃんはまだ小学生になったばかりだから、僕を見つけたら左右も見ずに道路に飛び出してしまいました。」


「・・・。」


「そこで僕もやっとトラックが突っ込んで来てるのに気付いて。“危ない!!”って。そっから先はもう考える余裕なんてなくて・・・。」


 勇太の目には涙が溜まっている。唇を噛み締めて、泣くのを堪えている。自分なりに受け入れようと努力しているのだろう。


「幸いと言っていいのか、痛みは感じませんでした。でも、トラックにぶつかったときの衝撃は今でも思い出せます。“どん!!”ってお腹の底から響く感じが、やっぱり本当にあったことだったんだと思わせてくれます。」


 そこで一呼吸区切って、自分自身にも言い聞かせるように、宣告した。


「僕は僕が死んだことを、認めます。」


 どこまで納得できたのか、あるいは上辺だけの言葉だったのかもしれない。しかしこの青年は、話を前に進めようとしている。フレイヤは彼から物事に愚直に向き合おうとする誠実さを感じた。

 

 そして、今ここで自分が何を言っても、本当に慰みにはならないことを改めて感じた。ならば、敢えて触れず、話を前に進めるべきだろう。


「勇太様の心の内、お話いただきありがとうございました。勇太様がそのように仰るのでしたら、本題へと入りましょう・・・?」


 神がおもむろに、右手を挙げてフレイヤを制した。早く話を始めたいはずの張本人が、今は勇太を、勇太だけを見ていた。


「勇太や。我が言ったところで何の意味もない言葉を言ってもよいか?」


「え?意味のない・・・言葉?」


「うむ。お門違いというか、我が言ってもお主には何の価値にもならないことじゃと思う。でも、どうしても言いたいのじゃ。」


「え、まぁ。言いたいなら、とりあえず言ってみてよ。別に何を言っても怒ったりしないからさ。」


 ならば、と。神は立ち上がって勇太の間近まで歩み寄った。正座している勇太と立っている神は、視線が丁度同じ高さになった。神を名乗る少女の瞳は透き通っていてとても綺麗だ。何故か目を逸らすことができない。そして彼女は喋り出す。


「お主の悲しみや怒り、後悔を和らげることは我もできん。ただ、地球に生きる万物を愛する神として、これだけは言わせて欲しい。少女の命を救ってくれて、ありがとう。」


「・・・は?あ、ありがとうって・・・。」


「さっちゃんと言ったか、その少女。お前が居なければ死んでいただろう。我にとっては代わりにお主が死んでしまっては、悲しいことに変わりはないが。それでもお主の行動には、感謝の意を示したいのじゃ。本当に、ありがとうな。」


 そう言って頭を下げる。打算を感じない。心からの言葉だと、勇太自身の本能が告げている。


「い、いやいや!確かにそりゃ、君が言う必要ないって!つーかそも、そも・・・感、謝が、・・・欲し・・・あ、れ?」


 気付けば、勇太の頬には涙が伝っていた。さっきまで堪えていたはずの涙。こうなるともう、決壊した涙腺は止まらない。


「ち、違う・・ちが、・・・違う、んだ・・。」


 違う、違うと勇太は繰り返す。そうじゃないんだと、振り絞るように言う。


 フレイヤはその姿を見て、心が痛んだ。いつも俯瞰的に人を見ていた分、神と同じでフレイヤにも経験がないのだ。人間という余りにも不完全な生き物が、その不完全さ故に悲しみに苦しめられる姿を、間近で見たのはこれが初めてだ。


 だから分からない。勇太の姿を見て心は痛むけれど、何が“違う”のか分からない。


「良い。堪える必要はない。自分を卑下する必要も。」


 神性をもたない神には何故か分かった。いや、伝わった。勇太は、“自分は感謝されるような人間じゃない”と言いたいのだろう。


 正義感に燃えた訳ではない。気付けば勝手に体が動いていただけだ。そもそも自分が“危ない!!”とでも叫んでいれば、こんなことにはならなかったかもしれない。


 更に死を自覚した時なんて、“助けなきゃよかった”とすら思ってしまった。さっちゃんは何も悪くないのに。自分が全て悪いのに、何かを恨もうとした。そんな自分が情けない。許せない。


 残された父や母はどんな気持ちだ。自分があたかも尊い犠牲として、周囲に写っているなら、これからのさっちゃんはー・・・。


 思えば思う程、勇太は自分が大罪を犯した気持ちになっていた。先程堪えていた涙は、悲しみではなく、後悔の涙だったのだ。今や自分が死んだことが悲しいのではない。死んで周りに迷惑をかけた自分がどうしようもなく許せなくて悔しいのだ。


「ぼ、くは・・・僕は・・・!!」


「間違ってない。お主の行動に間違いはない。神である我が、お主の勇気ある行動を認めよう。」


 そう言って、泣く子をあやすように勇太を抱きしめた。本来なら見るからに幼い少女に抱きしめられるなど、恥ずかしくて拒否していただろう。ただ、心に溜まった膿を出すかの如く泣いている勇太には、心が救われる思いだった。


 その様子を見て、やはり神様には適わないなとひとりごちた。結局自分の考えていた“慰めにならない”“かける言葉がない”というのは、自分本位な考えだったのだろう。知らず知らずの内に、勇太の心を置き去りにしてしまったようだ。まだまだ己も精進が足らぬ。そう反省した。


 今や勇太につられて神様も泣いている。これでは最初に逆戻りではないか。しかし何故か今回の様子はー・・・。


「何やら、美しく感じます。」


 そう呟いた。今度は2人が泣き止むまで待つとしよう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「では改めて、お二人とも落ち着きましたか?」


「「・・・はい。」」


「結構。」


 最初のやり取りと同じはずなのに、今回は気まずいというより、気恥ずかしい。何故か勇太も神も目を合わせることができなくなってしまった。


「幼女に抱き付いて泣く青年。とても犯罪チックでした。」


「ちょ、ちょっと!」


「だ、誰が幼女じゃ!」


「これは失礼。では、中断されていた確認作業に戻らせていただきます。」


 フレイヤはブラックな冗談ひとつで場の空気を換えた。一番大きい山場は超えたのだ。ここからはチャキチャキ進むとしよう。


「いい加減話を進めないと本題に入れないので、今から私の出す質問に“はい”か“いいえ”で答えてください。いいですか?」


「は、はい!」


「ご理解が早くて助かります。では早速。あなたは望月勇太です。よろしいですか?」


「はい。」


「あなたは命を落としてしまいました。いいですね?」


「は、・・・はい。」


「今あなたは、魂だけの存在となってここにいます。これもよろしいですか?」


「魂・・・ですか。はい。大丈夫です。」


「ここは天界。厳密には違いますが、いわゆる天国のような場所です。」


「はい。」


「私はフレイヤ。神に仕える、天使です。」


「やっぱり・・・はい。理解できます。」


「そしてここにおわします幼女こそ、この世界を創造したもうた神様です。」


「いいえ。」


「なんでじゃ!!!!!」


 突然の勇太の反抗に神は驚いた。


「おかしいじゃろ!!なんでフレイヤが天使は“はい”で我が神は“いいえ”なんじゃあ!!」


「え?いやだって・・・フレイヤさんお綺麗だからさ。」


「あら。そんな・・・照れてしまいます。」


「そこ!いちゃいちゃするでないわ!!」


 容姿を誉められることも天界では経験できないことなのだろうか。フレイヤが普通に赤面している。


「綺麗かどうかでお主は物事を判断するんかい!!」


「そういうわけじゃないけどさ・・・。フレイヤさんは天使って言われても納得できるよ。でも君はまだ子どもじゃん。」


「結局見た目ではないか!さっきの感動的なシーンは何だったんじゃ!普通あれで“あっ、この美少女は本当に神様なんだ”って察するところじゃろうが!!」


「いや自分で美少女て・・・」


「う、うるさいわ!!ええい!!らちがあかん!!」


 そう言って、神は右手を勇太に差し向けた。


「主のその態度、後悔させてやる。そうじゃの・・・決めた。主の性別を女に変えてやる。この物語は最近流行りのTSに決定じゃ!」


「えっ?ちょっと待って。」


「今更後悔してももう遅い!!」


「いやそうじゃなくて。TSって何?流行ってるの?」


「どこに食いついとるんじゃお主!!さっきから話の本筋をずらし過ぎじゃ!!!」


「ようは性別転換ですよ。」


 フレイヤが勇太の疑問に答える。そうか、最近は性別転換の手術を受ける人も増えていると聞くし、自分の知らぬ間に流行になっていたのか。


「え?でもそれなら僕はいいよ。男のままで。」


「別にお主の希望で動いとるわけではないわ!!お主の神に対する態度・・・それを罰する為じゃ!言わば不敬罪じゃ!!」


「ええ?困るなぁ・・・。ねぇフレイヤさん。この子って本当にそんなこと出来るの?」


「出来ませんね。」


「なんでじゃい!!!!!」


 今度はフレイヤの突然の裏切り。これはもう2人そろってTSの刑に処すしか・・・


「いや神様・・・ついさっき御身の力、御自身で封印なさったじゃないですか。」


「あっ・・・」


 そう言われて、思い出した。そういえばそうだった。こ、これは恥ずかしい。掲げた右手をどうしたらいいのかも分からない。威厳が、神の威厳が・・・


「ねぇねぇ?出来ないの?出来ないのにそんなこと言ったの?」


「!!!」


 勇太が純粋な眼差しを向けている。人生ニ度目の“顔から火が出る”だ。今回は前回にも増して火力が強い。


「で・・・でも、わ、我は、我は・・・」


「神様なんでしょ?信じるよ。」


「・・・へ?」


 この男、さっきから会話の流れを悉く外してくる。証拠を見せられなかったのに、今度は一転して信じると言い出した。


「だってフレイヤさんが今“神様”って言ってたもの。よく考えたら最初から今までに何回か言ってたし。なんでそんな子どもの姿なのかは知らないけども。」


「ゆ、勇太ぁ・・・」


 存外この男は柔軟な思考をしていたらしい。簡単に見ず知らずの人物を神と認める主人公を非難して(ディスって)いたが、いやいや、やっぱりそれくらい適応力のある方が主人公らし・・・


「それよりもさ。ねぇねぇ。なんで出来ないのに出来るふりしたの?ねぇねぇ。フレイヤさんに証明してもらえばよかったじゃん。神様なんだよね?神様って嘘つかないよね?ねぇねぇ。なんで?ねぇねぇねぇねぇ。」


「!!!こ、こいつっ・・・!!!」


 あろうことかこの状況で追いつめてくる。終わっているのに。神かどうかという論争は終わっているというのに!本人は一切悪意がないのだろう。それが逆に腹立たしい。悪意があろうがなかろうが、確実に今、神は煽られている。


「ねぇねぇ。その僕に向けた右手はどうするの?下げるの?何にもせずにスッて下げるの?だったらどうしてあげたの?ねぇねぇ。教えてよ神様。」


「ち、力を封印したことを忘れてたんじゃい!!そんくらい察せバカたれぇぇぇぇ!!!」


 こうして右手は役目を終えた。勇太の頬には二つ目の紅葉が咲いたそうな。





まだ旅立たないのかこいつら。

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