図書館
レポート作成には、更に時間を要するようになった。
特に、
『 社会と情報 』
のレポートは、聞き慣れないネットワーク関連の専門用語の説明や、二進法や十進法との解き方、ディジタルデータの利点や問題点を調べるのに、かなりの時間を費やした。
ある時、登校日ではないのに高校に押しかけ、担任の先生から、二進法と十進法の解き方を学んだ。
こと、勉学に関しては、少年刑務所時代の、
『 しつこい男 』
に、逆戻りした。
私の質問攻めにあった先生は、
「だから、これはこうして…」
「あのね、今田さん、この数字はこっちに持ってきて…」
「いや、違うのよ。それはこっちに持ってくるの…」
と、音をあげそうな気配になる。
1時間くらい粘ってようやく理解出来た。
「ああっ!なるほど、ようやく理解できました!ここに数字を持ってくるんですね」
「だから、さっきから、そう言ってるじゃないのぉ…」
当時、自宅のパソコンにはインターネットを繋いでなかった。
インターネットを使って調べ物をする時は、市内の図書館を利用した。高校に通いだして、初めて近くに図書館があるのを知った。
図書館になど、足を踏み入れたことのない私は、利用者カードを作る時にかなり緊張した。
「初めてなんですね」
「はい…」
「あのぉ、本は無料なんですか?」
と、アホみたいな言葉が、つい口から出てしまった。
受付けの女性は真面目な質問だと思ったのか、
「もちろんです。本やその他、DVD、CDなど無料で貸出しております」
「はぁ、なるほど…すごいですね…」
私は、無言で記入用紙にペンを走らせ、一刻も早くこの場から立ち去りたい衝動に駆られた。
図書館のお陰で、私の学習もスムーズに進んだ。
定期試験は近づいている。
これを落とすことはできない。
( 絶対に卒業する )
と、気持ちを奮い立たせた。




