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若者達の授業

平成25年10月1日、42歳の私は、10代、20代の若者と共に、晴れて


『 千葉県立千葉大宮高等学校 』


の入学式に参列した。


学校長の式辞に耳を傾けながら、これから始まる高校生活をあれこれ想像していた。高校生活といっても、全日制高校のように毎日登校する訳ではない。

学生の殆どが一定の仕事に従事ている。

勤労が主体と言っでも過言ではない。しかし、勉学もまた同じように通信制高等学校の学生達にとっては主体でもあるとえる。


定期試験の前に、よく会話を交わしていた生徒に聞いたことがあった。


「試験勉強は、はかどっているかい?」


若者は、


「いやぁ、仕事の残業が多くて、なかなかできないです。今日もスクーリングが終わったら夜勤です…」


と嘆いていた。


寸暇を惜しんで、勉学に励んでいる若者達を見ると、私はいつも人生勉強をしているような気になった。


人生勉強だけではない。スマートフォンの授業も若者達から受けた。今の若者たちは何でも知っている。スロットのジャグラーの事も色々と教わった。

ある時、ひとりの女子生徒が、


「今田さん、確かドコモですよねっ!スマホの学割使ってますか?」


と、聞いてきた。


私は驚いて、


「えっ!学割かい?そんなの使えるの?」


恐る恐る聞いた。


「はい!千葉の駅前のショップ行けばやってくれますよ」

「一緒に行きますか?」


と、からかわれた。


私は、


「いや、恥ずかしいからいいよ」


と断った。


しかし、私は、スクーリング終了後、車を飛ばして駅前の携帯ショップに行き、受付の女性店員に、


「学割使いたいんですが…」


と、尋ねた。


女性店員は、ビックリして、


「学割ですか!ええ、使えますが…専門学校生かなにかで…」


私は、


「いや、高校生です…今日、学校で女の子から聞いだもんで…」


と、学生証を見せて、


「偽造じゃないっすよ」


と、警察官に職務質問されているかのように答えた。


「高校に通ってらっしゃるんですか!」


ショップの女性店員は、


「大丈夫ですよ。少々お待ちください」


と、笑いながら他の店員に伝えに行った。



私は、入学式の時、まさかこのような楽しい高校生活になるとは夢にも思わなかった。

学生達はみんないい子達で、世間で不良と呼ばれている子供たちも実に礼儀正しく、素晴らしい若者達ばかりだった。



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