教師に間違えられる男
千葉大宮高等学校は、10代や20代前半の若者が多い。中には高齢の方も在籍していたが、私達の年代は数名しかおらず、やはり、自分の存在が特異に思えた。だいたい、教師ともあまり年齢が変わらないのである。年下の教師も多い。
あれは入学試験の時だった。ある女の子から、
「先生、こんにちは」
と、声をかけられた。
私は、とっさに、
「えっ、ああ、こんにちは…」
と返事返してしまったが、無理もないと思った。スーツ姿の私が、まさか同じ試験を受けに来ている、一受験生とは誰も思わなかっただろう。このように、その日は頻繁に挨拶された。
岩手県立の高等学校において、51単位を修得していた私の本校における今年度の履修科目は、
2単位選択 A 『 政治経済 』
2単位選択 C 『 オーラルコミュニケーション』 ( 以下オーラル )
2単位選択 C 『 書道Ⅲ 』
4単位選択 A 『 地理B 』
4単位選択 B 『 日本史B 』
4単位選択 D 『 フードデザイン 』
を、選択した。
これらの履修科目は、登録手続きによって選択科目を登録しなければならない。指定された登録手続きに参加出来ない者は、事前に申し出て、後日の登録手続きに出席しなければならない。登録手続きに出席しない生徒は退学となる。
登録手続き終了後、各クラスに別れて入学式当日の説明とレポートの配布があった。
私の生徒番号は、
『 20138006 』
クラスは、
『 13G 』
だった。
秋入学の私達、『 13G 』の生徒数は約10名ほど。
私は、この内の数名の生徒と会話をしたが、やはり、聞かれたのは年齢だった。
ある女子生徒が、
「今田さん、年は何歳ですかぁ?」
と聞いてきたので、
「えっ、42歳ですけど ( とっさに、敬語になってしまった ) 」
と、答えたら、
「えっ!私のお父さんと、同い年っ!」
「けど、あんま、お腹出てないし、お父さんと全然違うっ!」
「ああ…そうなんだ」
私は、現役女子高生のパワーに圧倒された。




