千葉県立千葉大宮高等学校 2
1番の懸念は、岩手県の少年刑務所で修得した、岩手県の県立高等学校の
『 51単位 』
を、そのまま千葉県立千葉大宮高等学校通信制課程で使えるかどうかだった。
通信制高等学校の編入学においては、前に籍を置いていた高等学校の単位修得証明書が必要になってくる。
早速私は、岩手県の県立高等学校に電話をかけた。
事務室の職員に事情を話したら、
「では、担当の教師に繋ぎますのでそのままお待ちください」
との返答。
私は緊張した。
電話口から教師の声が聞こえた。
「もしもし、お待たせいたしました」
私は、これまでの経緯を詳細に話した。
先生は、私の話に大変驚いている様子だった。
「このような電話は初めてです。すぐに調べてみますから、少し待っていて下さいね」
私の緊張はさらに高まる。
先生が、「このような電話は初めてです」と、仰ったように、私自身もこのような電話は初めてだったからだ。
数分後、先生の声が受話器から聞こえた。
「大丈夫ですよ。資料はこちらの方に保管してありますので。直ぐに当校の単位習得証明を発行するに当たる、各書類を郵送しますから」
私が郵送先の自宅の住所を伝えると先生はこう言った。
「しかし、先生としても本当に嬉しいです。よくやる気になりましたね。今までの人生は関係ありません。問題はこれからの人生です。頑張って卒業して下さいね」
私は、先生の励ましの言葉に感銘を受けた。同時に、これから始まる高校生活に対する希望がさらに高まって行った。
8月初旬、岩手県の県立高等学校から書類が届いた。
千葉県に住民登録している私が他県の高等学校の単位習得証明を取得するには、その高等学校の所在する県の収入証紙が必要になる。
私は、岩手県庁に問い合わせ、その旨を話し担当の職員に繋いでもらい岩手県収入証紙の購入方法を教えて貰った。
職員は、
「後日、必要事項を記載する用紙を郵送しますので、記入のうえ、収入証紙代金を簡易書留でこちらに郵送してください」
とのことだった。
数日後、郵送されてきた用紙に必要事項を記入し、別途、運転免許証と健康保険証の写し、それと必要なかったが念のために岩手県の収入証紙が必要な理由を詳細に記載した手紙を1通添え、郵便局で郵便小為替を購入し窓口である岩手県庁生活協同組合宛に郵送した。




