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保護房

上半身が動かない。

脂汗が額に浮かぶ。

四面を壁で囲まれている保護房には窓がなく、房の片隅に和式の便器と、その左側に敷布団と掛布団がたたまれて置かれているだけだった。

上を見上げると、天井には監視カメラが備え付けられており、房内は24時間消灯されることはなかった。


便意を催すと、脇にある和式のトイレでズボンを履いたまま、そのまましゃがんでする。ズボンの尻の部分が開いているのはその為だった。

当然、革手錠で両腕を固定されているため、尻を拭くことが出来ない。

房内ではトイレの水を流すことが出来ないため、刑務官が巡回に来た時に、


「便所、流してください」


と、願いでなければならない。



食事の時は、扉の下の小さな小窓から、おにぎりと、プラスチック容器に盛られたオカズが房内に入れられる。

革手錠をはめられているのて、前屈みになり、犬みたいに口だけで食べる。


その惨めな姿に涙が溢れそうになった。


今が何時なのか、全く分からない。


意識が朦朧としてくる。


体が痛くなり、上半身が麻痺してくる。


少しでも横になると、


「ちゃんと、座ってろ」


と、監視カメラのマイクから監視している刑務官の声が聞こえてくる。


起きあがるにもひと苦労だった。


就寝時刻になると、


「布団を敷いて横になれ」


と、頭上のマイクから刑務官の声。


足で、房の真ん中まで布団を引きずり、右足と左足を使って敷布団を広げ、そのまま倒れ込んだ。

しかし、消灯される事のない房内は明るく、革手錠をはめられたままの姿勢では眠りにつくことは出来なかった。



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