サムライ工場の親父
高校生になると、集団部屋の雑居房から単独部屋の独居房へと移動になった。
すぐに、教育課から高校の各教科書とレポート一式。
それと、
『 高校へのレポートの提出の仕方 』
が支給された。
各科目に応じて、レポートの提出枚数や提出日が厳格に定められおり、提出期日を過ぎたレポートは一切受け付けて貰えない。従って、レポート1通提出が遅れただけで卒業が1年間延びてしまう。
『 高校へのレポートの提出の仕方 』
には、各科目の提出日が解りやすく書いており、それに沿ってレポートを作成して行けば効率が良いとの添え書きもあった。
1年目の私の必須科目は、
『 国語 』 国語1 ( 4単位 )
『 公民 』 現代社会 ( 4単位 )
『 数学 』 数学1前 ( 3単位 )
『 理科 』 生物 ( 4単位 )
『 保健体育 』 体育1 ( 2単位 )
『 保健体育 』 保健 ( 2単位 )
『 芸術 』 書道1 ( 3単位 )
『 英語 』 英語1前 ( 3単位 )
であり、
平成6年度に修得する単位数は、
『 累計25単位 』
である。
高校生になってからも、日々マジメに務めに励んだ。
そんなある日、洗濯工場の親父から呼ばれた。
「今田、お前、いきなりで悪いが、工場を変わってもらう事になった」
私は驚いて、
「えっ!何処にですか!」
親父の話によると、金属工場である第8工場の衛生係がもうすぐ仮釈放で出所する事になった。後釜がいないから今田を金属工場の衛生係にしたい。
との事だった。
「8工場の親父に頼まれてな、悪いが行ってくれんか」
と、親父が言った。
( マジかよぉ… )
私は、8工場の親父を思い浮かべた。
私は毎朝リヤカーを引いて、第8工場に洗濯物を回収しに行っていた。回収に行く度に、担当の親父は、
「おおっ、今田~来たか~」
と、巨体を揺らして寄ってくる。
後ずさりする私。
「今田~」
と、毎朝柔道技をかけられた。
サムライ工場のヤクザ達が大笑いしながら見ている。
金属工場である第8工場は、ほとんどの受刑者が暴力団組員であり、他の工場の受刑者にサムライ工場と呼ばれている程の恐ろしい工場であった。
( そんな工場になんで俺が… )
しかし、もう決まった事であり今更断れない。
すぐにも工場が変わるというので急いで用意し、親父に丁寧に挨拶してから覚悟を決めて第8工場へ向った。
「いっちにっ!いっちにいっ!」
掛け声と共に、地獄へと落ちていく気分になる。
「いっちにっ!いっちにっ!」
私の前方には地獄の入口。
「全体っ!止まれっ!」
「いっちにっ!」
《 ガチャ 》
同行する刑務官が、地獄への鉄扉を開ける。
恐る恐る中に入ると巨体が近づいてきた。
同行して来た若い刑務官が敬礼して叫ぶ。
「異常ありません!」
巨体が目の前に立つ。
「今田~来たか~」
私は柔道技をかけられた。




