表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/75

しつこい男

少年刑務所でも、私は算数の参考書を開き、日々数字と格闘した。

少しでも解らなくなると、すぐに同じ部屋の収容者に質問した。

かけ算やわり算は、ある程度、理解出来るようになってきたが、分数になると頭の中がパニックになった。


「分数のわり算はな、こうして、分母と分子をひっくり返して…」


丁寧に教えてくれたが、なかなか理解出来ない。

その意味が解ったのは、しばらく経ってからだった。

不思議なもので、ひとつ理解出来ると、なんとも言えない喜びで胸がいっぱいになった。ひとつの理解が次に繋がるような気持ちになった。


新聞も相変わらず活字を舐めるように熟読した。

与党と野党の意味がわかると、政治について調べるようになった。


『 国会議員は、どうやって選ばれるのか 』


『 総理大臣は、どのように選出されるのか 』


疑問に思ったことは、いろいろな人に聞いてノートに書いた。ノートに書いて解らない言葉は辞書を引いて調べた。それでも解らなかったら、また質問した。


『 しつこい男 』


と、みんなから笑われた。


本も読むようになった。歴史についても全くの無知だったので、歴史小説を読んで歴史に関する知識を少しでも深めたかった。しかし、何を読んだらいいのか分らない。歴史上の人物で、豊臣秀吉の名前だけは聞いたことがあったが、何をした人なのか全く知らない。


( だったら、名前を知っている豊臣秀吉の本から入って行こう )


と、1日、5ページを目標に読み始めた。本に出てくる解らない言葉や漢字は、すぐに辞書を引いて調べ、忘れないようにノートに書いた。


学ぶ事の楽しさは


『 苦労して学び、それが理解出来た時に生じる多大な喜び 』


にあると感じた。


ひとつ理解出来てくると、もっともっと、色々な事を知りたくなる。


視野も広がって行く事を知った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ