表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/75

教官

寮に入ると奥の教官室からひとりの若い教官が顔を出した。

その教官は、通りすがったひとりの収容生に声をかけた。


「おい、ちょっと〇〇呼んでこい」


収容生は、


「はい」


と大きな声で返事をし、機敏な動作で食堂に入って行った。

その姿を見届けた教官は私の方を向いて、


「中に入れ」


と言い、教官室に先に入った。

私もあとに続いて中に入り、パイプ椅子に座るよう指示された。


教官は、


「俺が今日から、お前の担任になる〇〇だ」


と、吐き捨てるように言ってきた。


「ここでの生活は、考査期間で学んだ通り。マジメにやれば早く出れるし、規律違反行為ばかりやってたら、いつまで経っても出られない」


教官は続けた。


「お前の事は調査表を見て大体のことは分かったが、ここは、お前以上に凶暴な奴が多い。しかし、奴らはみんな大人しい。弱い奴ほどここではよく吠える」


「まあ、しっかりやれ」


私は黙って頷いた。


扉をノックする音が聞こえた。

先程、教官に呼ばれたひとりの収容生が中に入って来た。


「失礼します」


「おう、呼び出して悪いな。こいつは、今日からお前の部屋に入る今田だ」


収容生は私に向かって、


「よろしく」


と、声を掛けて来た。


私も慌てて頭を下げた。

教官は私に向き直り、


「こいつは、お前が入る部屋の部屋長だ。分からない事はなんでも聞け」


「はい。分かりました」


私は答えた。


教官は、


「今田、ここでは、収容生の呼び捨ては許されない」


「年齢に関係なく、名前を呼ぶ時は、必ず、〇〇さんと、さんを付けて呼べ」


私と、部屋長は、頭を下げて部屋をあとにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ