少年鑑別所 4
午後からは、家庭裁判所調査官の面接が度々あった。
約1時間程度、生い立ちから、学校生活、交友関係から、事件に至るまて、その質問内容は多岐に渡った。特に、非行事実に関する調査は厳しく、事件当時の心理状態などの内面的な質問には、
「いや、わかりません」
とか、
「頭にきたから」
など、曖昧な答えしか出なかった。
私は、この家庭裁判所調査官の面接が、『貼り絵』以上に苦痛でならなかった。会うと根掘り葉掘り聞かれる。質問にイラついて、
「別に年少でもかまわないですよ」
と、感情任せに答える事も多かった。
面接が終わり部屋に戻ると、どっと疲れが出た。
( 早く飯になんないかな )
( ハンバーガー食いたいなぁ )
そんなくだらない事を考えていると、さっきまで不快に感じていた家庭裁判所調査官のことは、すっかり頭から消えていた。
16時 夕方の点呼
16時30分 夕食
配食の度に身を乗り出して受け取っている私に対して、教官はいつも声をかけてくれた。
「おう、信義、飯だぞ!」
「いっぱい食えよ。年少いったら、もたねえぞ!」
「おかわりないから、腹いっぱいになんないっす」
「ハハハハハハ、馬鹿みたいなことばかりいいやがって」
夕食が終わると、21時の就寝まですることが何も無い。
部屋の中を歩き回っていると巡回の教官から、
「部屋の中をぐるぐる歩き回るな」
と、いつも注意をされていた。
しかし、中学生の私は、みんなからかわいがって貰えた。
収容者の大半は16歳以上。教官も気にかけてくれて巡回の時によく話しかけてくれた。が、最後には、
「お前と話してると、こっちまでアホになる」
と、立ち去っていった。
21時 消灯
長い1日がようやく終わろうとしていた。