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エピローグ

 あの後、戦争の真実を暴露する映像が世界中に流れた。

 実は、あの要塞内でのやり取りを、ベアがひそかに撮影していた。それを電波ジャックして流したのだ。

 これによって、自分達はフェアリーウェポンと御伽(ユーガー)技研(ジーイェン)に踊らされていたことを知った世界連邦と革新連合両国は、両社に対する強制捜査を実施。その結果、裏が取れたので幹部の逮捕と会社のお取りつぶしが決定した。

 それと同時に、両国は和平交渉に本格的に入った。平和な時代がもうすぐそこまでやってきているのだ。




 僕達の方も、色々あった。

 国力(グォリー)さんとナヴィーンはそれぞれ国へ帰った。二人とも戦争の真実を暴いた英雄として迎えられ、和平交渉グループの中心人物として活躍しているらしい。あの二人がいれば、交渉決裂なんてことにはならないだろう。

 その他のフライングカーペット隊創立メンバーは、現在アラビア半島にある砂漠のド真ん中にいた。

 そこには、衛星でも確認できない、秘密の王宮がある。その王宮こそ、アラビアンナイトの本部だ。

 その地のある一室で、僕達はある人物と謁見していた。

『サラーム、サルタン』

「サラーム、フライングカーペット隊の皆さん。さあ、頭を上げて。ゆっくりお話をしましょう」

 いかにもアラブの王族といった感じのこの男性は、サルタン。表向きはアラビアの王を務めているが、アラビアンナイトの創始者・最高司令官という顔も持っている。

 ちなみに、本名はスルターンだが、呼びやすいことと『王』の意味をかけて、サルタンと呼ばれている。

「さて、皆さん。まずは、フェアリーウェポン及び御伽技研に対する世界一斉攻撃作戦の成功をお祝いさせていただきます。……それと、(あら)(しば) (じん)さん」

「はい」

「見事、マジックドライヴの真の力を引き出せましたね。その力は、戦争という暗い時代において一つの光となれる力……ひいては、平和のカギになる力です。その力を使いこなせたのは、賞賛に値します」

「ありがとうございます、サルタン。……ところで、一つお聞きしたいのですが」

 せっかくの機会なので、ずっと疑問に思っていたことを聞いてみることにした。

「マジックドライヴって、結局どうして出来たのですか?」

 マジックドライヴは、ビームドライヴの研究中に偶然できたものだ。おそらく開発された当初は原因が分からなかっただろうが、そろそろ判明してもいい頃だろう。

「……あなたは、『アラビアンナイト』という鉱石をご存知ですか?」

 アラビアンナイト……確か、この王宮の地下からしか取れない鉱物で、それを使った合金は相当軽くて丈夫な合金になるという。僕達のFF(ファンタジーフィギュア)の装甲に使われているし、アリババのジャンビーヤもアラビアンナイトを使った合金だ。

「はい、知っています」

「どうやら、それの粒子が混ざってしまったらしいのですよ。アラビアンナイトは、金属に様々な影響を及ぼしますからね。おそらく、混ざった粒子が、ビームドライヴの部品に作用したのでしょう」

 なるほど、悪く言えば研究者の不注意が生み出した奇跡だったのか。

「ところで、皆さんに次の命令を下したいと思います。……といいましても、ほぼ(じん)さんに対する命令になってしまうと思いますが」

「……と、言いますと?」

 よく意図が理解できなかったので、思わず聞き返してしまった。

「この戦争で、多くの人が暗闇のどん底に突き落とされてしまいました。ですが、仁さんとマジックドライヴの力があれば、そのような人々を救ってあげられるはず……。つまり、あなたは世界をめぐり、光を見せてあげてください。そしてフライングカーペット隊は、彼の補佐をしてあげてください」

「了解しました」

 続いて艦長が、

「わかりました。フライングカーペット隊一同、全力で仁をサポートいたします」

「快諾していただけて、私もうれしく思います。……ところで、仁さんと()()さんは結婚なさるとか……」

「グフッ」

「な、な……?」

 い、いきなりそんなことをさらっと言うとは……二人揃って面喰らったし、顔が熱い。

「ふふふ……そんなに恥ずかしがることではありませんよ。あなたたちは、障害を乗り越えてそのような結果になったのですから、末永く幸せになれますよ」

「お、お、お言葉ですが、サルタン……、僕はまだ、十八歳になっておらず……その、け、結婚はまだできなくて……」

 ヤバい、全然落ち着かない。

 そのような状況下で、(れん)が切りだした。

(じん)、お前、もう十八歳だろ?」

「あ……」

 そうだ、今日は十二月二十日。僕の誕生日は十月十一日。つまり、いつの間にか誕生日が来ていたことを忘れていたようだ。たぶん、連日に及ぶ戦闘で、そこまで意識が回っていなかったのだろう。

「それなら、問題はないようですね。では、月末にでも結婚式を挙げましょうか」

 このサルタンの言葉に、その場にいた全員が反応した。

「やるじゃねえのよ、仁」

「……よかった」

「あたしからも、お祝いを述べさせてもらうッス!」

()()を幸せにしろよな」

「おめでとう、仁、詩亜。艦長としてお祝いを言わせてもらうわ」

 なんか、こう、あらたまって言われると、照れくさくなる。

「仁……」

「なんだ、詩亜?」

「ありがとう。あたしの夢を、かなえてくれて」

「僕の力じゃないよ」

「え……?」

「詩亜が夢を見続けたからこそ、かなえられたんだ。僕はほんの少し、後押ししただけ。それに、僕の方こそお礼を言うべきだよ。――生きがいを見つけてくれて、ありがとう」


少し遅いですが、皆さん、あけましておめでとうございます。この作品はいかがだったでしょうか?

この作品は、『ガンダム00』に影響を受けて作ったものです。ですので、随所にその痕跡が見受けられるかと思います。


さて、この作品も、前作『ヴェルヌ・スターズ』同様、評判が良ければシリーズ化しようと思います。

ではみなさん、次回作も楽しみにお待ちください。

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