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電脳役者~月村健一の意外な運命~  作者: 万卜人
第五回 大評判! 村雨剣鬼郎一座剽窃疑義芝居之巻
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 どう言ったら判って貰えるのか……。

 健一は途方に暮れた。億十郎の胸には、どうやら、どっしりと、公儀転覆計画が居座ってしまっているようだ。

 億十郎に渡したプロットが、架空の話で、ただの芝居の筋だという【遊客】の常識を伝える方法があれば……。

 その時、永子がつかつかと近づき、膝を突くと、剣鬼郎に囁いた。

「剣鬼郎。あんた、この芝居小屋で、何か興行を打つらしいわね。どんな芝居を上演するつもりだったの?」

「そりゃ、まあ……」

 のろのろと剣鬼郎は答える。

「江戸NPCに理解できるような、村の娘を拐わかす山賊を退治するとか、桃太郎の鬼退治の続きを、俺がやるとか、まあ、そんなものだ……」

「先週やったエピソードを、ここで上演できない?」

 剣鬼郎は疑い深い目付きで、永子を見詰め返した。

「永子さん。あんた、何を考えているんだい?」

 健一も同じだった。永子には、何か考えがありそうだが……。

 永子はぐるりと、楽屋を見回す。

「健一、気がつかない? ここには、あたしたち以外【遊客】が沢山いるみたいよ」

 言われて、健一も気がついた。剣鬼郎の回りを取り巻いている、役者たち。役者たちからは、【遊客】であるという、はっきりとした気配が感じ取られる。

【遊客】は、【遊客】を感じるのだ。

「剣鬼郎。ここにいる役者たちは?」

「ああ、俺のファンクラブに入っている会員たちさ。俺が仮想現実で、芝居小屋を立ち上げるとき、一緒に従いてくれた連中だ」

「ええっ!」

 健一は驚きに、剣鬼郎の周囲を見回す。全員が健一の驚きを見て、忍び笑いを返した。

 永子は早口で説明する。

「つまりね、先週撮ったエピソードを、ここで上演するの! それを億十郎に見せて、芝居だって納得させるのよ! 役者たちが【遊客】なら、あたしたちの意図を理解させるには、何の障害もないでしょ?」

 そうか……!

 健一は、永子の提案に、思わず膝を打った。うまく行くかもしれない!

 剣鬼郎も同じ結論に達したらしく、健一に向かって、強く頷いた。

 永子は億十郎を振り向き、飛びっ切りの笑顔を作った。

「ねえ、億十郎様。一つ、剣鬼郎さんのお芝居、観劇いたしません?」

 億十郎は無表情を保っていたが、両目は驚きを隠せず、大きく見開かれていた。

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