最終話 俺が望んだ願いごと
「そういえば」
「ん?」
一頻り笑った俺たちは、満足すると家路に着くという選択肢を選んだ。
靴箱で靴を入れ替えている最中、由莉奈がふと疑問に思ったことを聞いてきた。
「もしも首席で卒業になった場合、あんたは何をお願いするつもりなの?」
つま先で靴をトントンとしながら由莉奈は問う。
まだ言ったことなかったっけ?
一応は考えてたんだけどな。言う機会がなかっただけでさ。
「最初は普通に大金持ちとか、世界最高権力者みたいな、子供染みたお願いだったよ」
「ふぅん」
他にも、今まで思い描いては捨ててしまった幼き頃の儚い夢の実現など、色々なことが頭をよぎっていた。
でも、いつからかな。
時間が流れていくにつれて、新しい願い事が思い浮かぶようになったんだ。
それは小さい、単なる欲のようなものだったけれど、段々と考えてきたどの願いよりも大きくなってきて、今ではもうそれしかないだろうという固定意識にまでなった。
「へぇ……で、何なの、それ?」
小首を傾げて聞いてくる由莉奈を見て、俺はにこりと笑う。
「もう言っただろ」
お前だけに伝えた、俺の願い事。
いつまでもこの願いが、叶い続けますように。




