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プロローグ

「くらいやがれ! ファイアーボォオオオオル!」


「おっと! そんなもの効くかよ! アイスシールド!」


 まるで、一昔前に流行ったファンタジー作品内で交わされるような台詞の応酬。

 だが彼らは別に、小学校低学年で卒業するような、幼稚なお遊びをしているわけではない。


 声が裏返るほど叫びながら、ピッチャーが球を投げる仕草をした男子生徒の手には、確かにこぶし大の火球が生成されているし、防御側の彼が突き出した両手の前には言葉通り氷によって作られた長方形の盾が出来て火炎弾を相殺していた。

 

 先にも言ったように、ここは別にファンタジーな世界でもなんでもない。住んでいる星の名前はちゃんと地球だし、俺の国籍は日本だし、使用している言語は日本語に相違ない。VRMMO的な近未来設定というわけでもないのだ。


 三月半ばの現在、すべてを無気力にさせるような寒さが踵を返し、ぽかぽか陽気が戦線復帰を果たし始めた頃の、我が校内の風景だ。




 さて、いきなりの展開で何がなんだかわからないことであろう。

どうして、何の変哲もないはずの現代社会でこんな夢物語が繰り広げられているのか。


 私立明翔(めいしょう)学園高等学校特進科、通称『明特(めいとく)』の校舎になぜ俺は居るのか。



「ちゃっちゃと歩きなさいよ、天神(あまがみ)


 目の前を歩く可憐な少女が、どうして俺を呼んでいるのか。





 成り行きを含め、まずはそれらの説明をさせてもらおう。

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