ナナちゃん
翌日、僕たちはを産業道路を南下して西川口へ向かった。
手がかりは{・・・ガール}
本当に千恵が風俗で働いてるのだろうか?
僕は信じられなかった。
駅前について早速店を探していると、
僕のピッチがなった。
「テラ・・。」
「優介か?」
「ああどうした朝から。」
「昨日の千恵ちゃんのことだけどよ。今日学校きて、色々聞いてみたんだけどよ。
女子連中も誰もしらねー見てーなんだよ。
ここ二 三日連絡とった奴すらいねえ。
一体何があったんだ?」
「俺も良くわからないんだ。」
「でも進学が決まっているのに、失踪なんてありえるか?」
失踪・・・。
その言葉が大きく胸に響いた。
何故か強い責任を感じてしまう。
「わからない。」
「あ。それとよ、原さんが昨日心配になって千恵の家に行ったらしいんだが、
なんか怪しい男が千恵を探しにきたってお袋さんが言ってたらしいぜ。
関係あるかわからないけど、一応。」
「怪しい男?」
「ああ。短い金髪のヤクザ風の男らしい。」
・・・涼だ。・・・
「それで流石にお袋さんも心配になったらしく、
今日警察に届けるらしいぜ。」
「警察に!」
「捜索願って言うのか?そういうやつ。」
涼のせいで事が大きくなってしまった。
「昨日尋ねたのは俺たちだ、金髪の男は涼だ。
心配しないように、お母さんに伝えてくれ。」
「えっ。そうなの?
俺はてっきりなんか事件に巻き込まれたのかと思ったよ。」
涼が小走りで、僕の元に帰ってくる。
「わりいなそう言うことで、心配させないようにしてくれ、
また連絡する。」
「あっ。ああ。お 俺からも何かわかったら連絡するよ。」
「じゃあ。」
涼は少し走ったせいで、息が切れていた。
運動不足だ。
「どうだった?」
「ああ。何店舗かにしぼれたぜ。
・・なんとかガールは全部で三店舗ある。
ヤングガール
ナイトガール
ピュアガールだ。」
何の工夫もない店名だな。
ヤングガールなんて酷い。
「でもまだ何処も営業前だ、飯でも食って、
昼まで時間をつぶすしかねーな。」
「そうか。・・・。」
西川口の風俗店は駅前に集中している。
その三店舗のうち1店舗は東口。
2店舗が西口だ。
仕方ないので、飯を食って時間をつぶすことにした。
「お前今日仕事は?」
「今日は客を千葉まで探しに行くことになってるから大丈夫だ。」
「そうか。」
「ところで営業が始まったらどうするよ。
一店舗ずつ行って見るのか?
金が足りないぜ。」
「大丈夫だこの辺は写真見学だけなら無料だ。」
「へぇー。結構ずうずうしいんだな。」
「まず案内所にいって情報を集めよう。」
昼まで休んだ後、店舗周りを開始した。
やはりヤングガールは先につぶしておきたい。
ヤングガールは雑居ビルの4Fにあった。
どちらかというとピンクサロンのような作りで、
内装に金がかかっていない。
写真を見せてもらい、新人がいないかも聞いたが、
千恵らしき人物は発見できなかった。
「本サロの流れは群馬のオオタからなんだぜ。」
涼は自慢気に言った。
NK流の流れの講釈を聞かされているうちに次の店舗に着いた。
ナイトガール。
ここも空振りだ。
残すはピュアガールだけだ。
「おいここも空振りだったら、また振り出しだぜ。」
狭いエレベーターの中で僕は言った。
「わかってるよ。」
「いらっしゃいませ。」
茶髪のロンゲのマオカラーの男が一人。
僕たちは写真を物色する。
「当店のご利用は初めてですか?」
「ああ。」
「実はまだ写真を出していないのですが、
入店したばかりの新人がいましてね。お勧めですよ。」
・・・!・・・。
涼と二人で顔を見合わせた。
「ナナチャン18歳。ぴちぴちですよ。」
「じゃあ俺その・・。」
涼は言いかけて、僕に気づき目で譲った。
「じゃあナナちゃんお願いします。」
「かしこまりました。お時間はどうしましょう?」
「30分で。」
「はい。ではこちらの番号札でお待ちください。」
番号札には7と書かれていた。
僕の心臓は高鳴った。
狭い待合室には僕と涼以外の人はいなかった。
「・・・。」
沈黙が続く。
涼は風俗雑誌をめくっていた。
本当に千恵なのか?
なんでこんなところに?
もし千恵だったら何を話したらいいのか。
色々なことを考える。
「7番のお客様お待たせしました。」
マオカラーが呼びに来た。
涼はちらりとこちらを見て、
苦笑いのような複雑な表情を見せた。
案内されて奥の通路のカーテンが開けられた。
・・・・。