盲管銃創
激痛のあまり摘出する前に縫合した
かつての深部に達したひとつの銃創
なんら功を奏しなかった応急処置
野戦病院ではモルヒネで昏倒していた
脳内麻薬に依存して生存してきた
亡骸を埋葬するだけの敗残兵
体内にはまだ異物感がある
切開して摘出しなくては壊死してしまう
再度あの激痛を耐え忍ばなくてはならない
理性を喪失するようなあの狂奔
その血の海で再会するたったひとかけら
そのとき初めて痛みの根源に
その諸悪の根源に到達し
全てを治癒することができる
全てを断つことができる
死を代償にするような
更なる激痛を求めるなら