切り裂き魔〜奇怪な街〜
「…っ……リディア様……」
「なぁに?」
「……こ、これ以上は…」
苦しそうに息をするアルフレッドにリディアは楽しそうに喋りかける。
「まだまだこれからよ」
「ですが…………あぁっ」
もう立っていられないと体から力が抜け、地面に膝をつく
「もう……無理です………………こ、こんな……――――――――――――こんな大量の荷物持てません!!!!!!!!!」
「なっさけないわね」
地面に四つん這いになったアルフレッドを椅子代わりに座り優雅に足をくむ。
「リディア様、情報収集のたびにこれほどまでの買い物をする必要はありません!とゆうか、私から降りてください!」
「そお?全部気に入ったんだからしょうがないじゃない―――――――それに、多少は情報が集まったわ」
切り裂き魔は霧の深い夜に現れ、主に女が狙われる。身体中をナイフで切り刻まれ酷いときには体内の内臓がえぐり出される
「――ですが、ありきたりな情報でしたね。これだけじゃ"マッドピエロ"の仕業とは言い切れません」
もっと他に情報はないかと考えるとふと疑問が頭に浮かび上がる。みな何か様子が変だった。情報収集をしたとき、何かに怯え言葉をはぐらかす。
「みんな何かを隠してる…」
すぐ横には、酔っぱらい達の怒鳴りあいや殴りあいなどで騒がしい古いバーがあった。
「…アルフレッド、あそこのバーに聞き込みに行くわよ」
「っ!?それはいけません!危険です。第一リディア様はまだ幼いのですからバーには入れません」
そう言ったアルフレッドの足を思いっきり踏みつけ睨み付ける。
「だったらそれを出来るようにするのが執事の役目でしょ…?今すぐ宿に帰って変装するわよ!」
一度言い出したら聞かないリディアの性格にため息をつき仕方なく後を追いかけた
宿に着くとさっき買った荷物の中からいくつかの箱をとりだし服を着替える。
白いシャツにチェックのベストとお揃いのハーフパンツ。靴下にブーツをはき長い髪をキャスケット帽の中にしまい込む。
「これはまさか…少年に変装するとは」
「どうだ?これで俺が女なんて気がつかないだろ?」
「男にしては高い声、細い首。あそこの連中はだいぶ酔っていますから気づく事はないと思いますが、普通の方はすぐに気づきますよ」
自分的には完璧な変装に文句を言われて、頬をふくまらし拗ねた表情をするとそんなリディアをなだめようと優しく微笑む
「…ですから、私の側から絶対離れないでください」
「わかってる、アル以上に信頼している者はいない」