ライバルは悪役令嬢と幼馴染
カーテンを開け、奥に並べてある席に座り、そこで残りの部員を待っていると、よく見知った顔が入って来た。
「綾坂?」
「あーナギっちじゃん!?」
綾坂結衣は同郷の幼馴染、小学生からずっと一緒で高校でもクラスメイトになっていた。
中学の時は帰宅部だったよね?高校生になって、部活に入ったとは聞いてたけど、何故か入部した部活は教えてくれなかったのを覚えている。
「もしかして『お嬢様』?」
『お嬢様』が何かは分からないけど、とりあえず否定しておく
「違う、先輩に用があって……」
そこまで言って『お姉さま』の名前を知らないことに気付いた。
『お姉さま』はそんな私の様子に気付いてか優しく微笑んで自己紹介してくれた。
「私は光宗愛花っていうの」
そんなキラキラ笑顔を向けられたら改めて惚れ直してしまうよ
私はドギマギしながら『お姉さま』の愛花先輩に名乗った。
「よ、夜凪奈凪です。ふつつつつかものですが」
「お見合いかしら?」
つっこんだ背の高い先輩は倉園麗奈と名乗り、綾坂の方を向いて「星七先輩は?」と聞いた。
「今日は『撮影』だそーですね」
「そう……今日も忙しいのね」
どうやらもう一人部員がいるらしいが、今日は休みらしい
撮影?アイドルかなにかかな?
アイドル自体にはそこまで興味ないけど、タダで会えるんなら会ってサイン貰いたいな
ボランティア部の今日のメンバーが揃い、私はようやく本題に入った。
ゆっくり丁寧に駅で『お姉さま』に抱きしめて貰ったことを説明する。
後輩に身包み剥がされたことは端折った。
試合で負けたことを説明している時は少し苦しい気持ちになったが、愛花先輩が私の手を握ってくれた。
ああ……やっぱり『お姉さま』は愛花先輩なんだ
今も私を助けてくれてるんですね……しゅき
「ナギっちが中学の時に言ってた好きな人ってその人のこと?」
「その人って言うか愛花先輩のことだけど、なんか悪い?」
「うん、悪い」
「なんでだよ」
綾坂も愛花先輩のこと好きなのか?
愛花先輩に憧れてこの部活に入ったとか?
ライバルが悪役令嬢と幼馴染とは中々斬新ではないか
「てか、顔も知らない相手を好きになるってありえないし、ちょっと抱きしめられただけで好きになるってチョロ過ぎ、チョロナギ」
「私は顔で判断するそこらの女ではないのだよ綾坂くん、恋愛素人のキミには抱き合っただけで溶けるような恋に落ちる感覚は分かるまい」
「チョロナギだって恋愛素人じゃん、顔で判断してないって言ってるけど、ビジュが良い愛花先輩を『お姉さま』にしてるだけだロー」
「私は好きな人が居るから恋愛玄人ですー初恋もまだな綾坂ちゃんとは違いまーす。たまたま愛花先輩のビジュが良かっただけでーす!眉毛繋がってても愛せまーす!あとチョロナギ言うな」
「わ、私にだって初恋くらいあるし!」
「だれ?今までずっと一緒だったのにそんな話聞いたことないけど」
「チョロナギには言いたくない」
「なるほど、その一言で分かったよ」
「え?」
「愛花先輩のことでしょ?私が先輩のこと好きだから言いたくないんだよね?まさか同じ人を好きになるとはなー血は争えないってことかー」
「血は繋がってねーよチョロギ」
「韓国料理みたいなあだ名つけんな」
永遠に続くかと思われた私と綾坂の言い合いは、麗奈先輩によって止められた。
「ちょっと待ちなさい、なんか愛花が『お姉さま』ってことで話が進んでるけど、本当に愛花が『お姉さま』なのかしら?あと喧嘩するならこの学校の地下13階に地獄殺戮溶岩リングがあるからそこでなさい」
「そんなの女子校にあるんですか!?」
綾坂との決着は地獄殺戮溶岩リングで付けるとして、今の主題は愛花先輩が『お姉さま』かどうからしい
全員が先輩に注目する。
「愛花、大丈夫だから、眉毛繋がってないから」
「え!?気にしてないよ」
麗奈先輩に声をかけられて、鏡を見ていた愛花先輩は慌ててこっちを向いた。
眉毛の話は例えなんだけど、本気にしちゃって可愛い、愛してる
「愛花は駅で女の子を抱きしめた記憶はあるかしら?」
麗奈先輩の質問に愛花先輩は小首を傾げて考え始めた。
「んー?あったかなー?あの時?いや、あれは違うか……」
その様子を麗奈先輩が説明してくれる。
「愛花はね。困っている人を見ると放っておけない性分なのよ。だから心当たりが沢山あるのでしょうね」
「そんな!愛花お姉さまが私以外の女にも!?」
「いつから貴女の女になったのよ」
「どさくさに紛れてお姉さまって呼んでるし」
綾坂と麗奈先輩のダブルつっこみを無視して私は宣言する。
「愛花お姉さま、そんなに悩まなくても確かめる方法がありますよ」
「えっ?なにかな?」
「抱かせて下さい」
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