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カーテンの外

普通に雨だった


今日の部活は全員出席

星七先輩が三日連続で来るなんて明日は空から札束が降るんじゃないかな


その星七先輩の『撮影』に私と綾坂は付き合わされた。

先輩を中心に顔を並べる形になり、愛花先輩がスマホで撮る。


「もっと近づいて良いから」

「これ以上、近づくとほっぺくっついちゃうんですケド」

「それが狙いだから。パシリ2号はもう少し前出て、私の顔がデカく見える」

「どーせ修正するくせに」

「パシリ1号、なんか言った?」

「べっつにー」


何回かリテイクを繰り返してようやく『撮影』は終了した。

頬が熱い


「なにコレ!?」


綾坂がスマホの画面を見て驚愕した。

覗き込むと星七先輩のSNSの画面で、そこにはさっき撮った写真の下に『後輩ちゃん二人がおねーさんを取り合って困っちゃう』と、投稿されていた。


「白パン先輩のこと取り合ったりしてないんですケド!?」

「白パン言うな。顔隠してるんだから別にいいだろ」

「良くない!今時、白パン履いてる人に惚れてると思われたくない!白パンは小学生で卒業デース!!」


綾坂の一言で全員がビクッとした。


(白のショーツは流行遅れなのかしら?)

(白のぱんつっていけないのかなぁ?)

(え、白ってダサかったの?)

(わ、私のはオフホワイトだからセーフだよね?)


綾坂は私達の動揺に気づかず話を続ける。


「そもそも、ガチじゃないのにこーゆー投稿するのってどうかと思うんですケド?」


綾坂……

まだ星七先輩のこと諦めてないのかな?


「ガチじゃないけど女の子は好きだから問題ない」

「なに言ってんのこの人」


お、綾坂、これはまだ可能性あるんじゃないか?


「ガチじゃないけど女の子は好きってどーゆー意味ですカナ?」

「肌に触られたりするのは嫌だけど眺めたりするのは好きって意味。そういうパシリ1号はやっぱガチなの?」


綾坂の動作が止まる。

暫く逡巡した後に彼女は宣言した。


「ガチですよ!ガチで何が悪いんですか!?ここ入ったのもカノジョ作る為だし!!」

「……貴女、二の舞になるつもり?」

「そうなるかもしれませんネー」

「綾坂ちゃんがいなくなったら寂しいな」

「そんな簡単にいなくならないですって」


麗奈先輩が指摘した二の舞ってどういう意味?

綾坂はタイムリープしてるの?


タイムリープのやり方を伝授してもらいたかったが、今はそんな会話の流れではなさそうなので口を噤む。

私は空気が読める良い子なのだ


「ちなみに愛花先輩はガチなんですか?」

「うん、私もガチだよ。女の子だーいすき。みんなのことも大好きだよ」

「なんか胡散臭いナー」

「ええっ!?ホントだよぉ」

「麗奈先輩は?」

「……私はパス」

「あ、ずるい。じゃあナギっちは?」


来ると思ったよ

やっぱ会話に割り込んでタイムリープについて聞いとけば良かった。


その話題、最近の悩みなんだよな

『お姉さま』がたまたま女性だっただけで、女が好きなわけじゃないって思ってたけど、『お嬢様』とキスしそうになったり、綾坂の下着に釘付けになったりした。これって私もガチってこと?


「……私は『お姉さま』が好きなだけ」


前髪の髪留めを弄りながら答える。

悩んでいると言うと『お姉さま』が離れていってしまいそうで怖かったから誤魔化した。


「嘘つき」

「えっ」


綾坂に何故か見破られてしまって狼狽える。

どう切り抜けようかと思ったが、部室の扉が開いて皆の注目が私からそっちに向く。

そこには、いつも私を指名してくれるあの色素が薄い瞳をした女の子が立っていた。


すぐに立ち上がって女の子の元に向かったが、彼女のそばに寄った時にまだ指名されてないことに気づいた。

今日は他の部員の気分だったらかなりイタい


かなり焦ってしまったが、そんな私の様子を見て女の子は薄っすらと笑い、私を抱きしめた。


この子の笑顔を見たのは初めてだし、カーテンの外で『お嬢様』と抱き合ったのも初めてだ

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