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言っても分からないなら抱くしかない

翌日、玄関で靴を履こうとすると傍らに置いてある袋が目に入ってきた。

まさかと思ったが、開けてみると中にはベルマークが入っていた。

姉が置いたのだろう。彼女は私より早く登校する。生徒会長だからとかではなくて、私が姉と外で歩くことを嫌がるからだ


詫び石もとい詫びベルマークをカバンに入れる。こんなことしなくて良いのに

てゆうか謝るのは姉じゃなくて私の方なんだけど……

スマホを取り出して姉にLINEを送る


「ごめんね」


今日は素敵な一日になりますように




「襲われたってどういうこと!?」


教室に入った途端、綾坂に詰め寄られる

過激な発言を大声で言った為、教室中の視線が私達に集まった

素敵な一日にはならなかったよ……


「い、いやゲームしてて突然乱入されてさ」


とりあえずゲームでPKされたことにして誤魔化す。

教室でこの話をするのはまずい、綾坂もわかるだろ?


「放課後、部室で話してもらうから……」


察した綾坂が引き下がる。今日の部活は忙しくなりそうだ




「あんの承認欲求やろー!」


放課後の部室で綾坂の叫び声が響く

コイツ今日叫んでばっかだな、叫ぶユーチューバーって苦手なんだけど

ちなみに承認欲求野郎っていうのは星七先輩のことらしい

酷いあだ名だ


「私が遅れたのも責任の一端があるわ」

「私達、学級委員長の仕事で先生に頼まれた仕事があったの……言っておくべきだったね。ごめんなさい」


麗奈先輩と愛花先輩が私に謝罪する

綾坂の怒りの矛先である星七先輩はいつも通り休みだ


「そんな!元はと言えばあの金髪の先輩が悪いんですから」

「ボランティア部でボコしましょうよ」


ボランティア部とは思えない台詞を吐く綾坂、その瞳には怒りの炎が上がっている。


「……それはこっちでやっておくわ」

「あ、あんまり手荒いことはしないで下さいね」


麗奈先輩の低い声に恐怖を感じた

彼女が『お姉さま』だからあんなに怒ってくれてるのかな?


場が納まった所で綾坂が小さくコホンと咳をして皆の注目を集める


「とにかく……ナギっちはもう私が居ない日に部活するの禁止」


とんでもないこと言いだしたよコイツ


「前から思ってたけど綾坂ちゃんって奈凪ちゃんのこと好きなの?」


愛花先輩もとんでもないことを言いだしたな


「え!?そんなことないですけど!」

「そんな!私は綾坂のこと愛してるのに」

「うっざ、悪ノリすんな」

「綾坂ちゃん好き好き〜!」

「そういうのいいから!ナギっちキモい」


綾坂が私に執着するのは、幼馴染の腐れ縁と中学の時に守ってた恩があるからだろう


てゆうか今日の本題はそこじゃない

私は財布から100円を取り出して缶に入れる


「どうしたの?」


行動の意図を愛花先輩が尋ねる。私は真っすぐ麗奈先輩を見据えて告げた。


「確かめさせて下さい……麗奈お姉さま」

「ブーーッ!?」


暫く会話に参加せず、紅茶をたしなんでいた麗奈お姉さまが噴き出した。

この癖どうにかなんねぇかな。私と付き合ったら絶対止めさせる。


「い、いつから私が貴女の『お姉さま』になったのかしら?」

「昨日、私にハンカチを差し出してくれましたよね」

「ええ、それが?」

「そのハンカチから『お姉さま』の香りがしたんです!!」


犯人を突き止める探偵のように私は麗奈お姉さまを指差した。


麗奈お姉さまがフッと噴き出す。さっきのギャグの吹き出しではない


「何が面白いんですか?」

「笑わずにはいられないわよ」


お姉さまがポケットからハンカチを取り出して私に手渡す。

……昨日と違う香りがした。


「私はね……気分によって香りを変えているの、たまたま昨日が貴女の『お姉さま』と同じ香りだっただけ。駅で貴女を抱いた覚えもないわ」


「麗奈お姉さまはシラを切っているんですよね?」

「シラを切る?なんでそんな必要があるのかしら」

「『禁忌』に触れるからですよ。部員同士で愛し合う『禁忌』に」

「……言っても分からないみたいね」


麗奈お姉さまはため息をつくと、立ち上がってソファがある部屋に向かいだした

私も立ち上がって後に続く、カーテンに手をかけた所で振り返って愛花先輩と綾坂に行ってくるよと親指を突き立てて見せた。


彼女達の目は氷のように冷たかった。

二人とも麗奈先輩のことが好きなんだろうけど、譲るわけにはいかない

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