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百合乱暴は禁止です

ソファーで赤くなった首筋を摩っていると、入り口の扉がガラっと音を立てた。

麗奈先輩と愛花先輩が来たのかと思い、見に行くと全然知らない人が立っていた。もうこれ以上部員はいないハズ、ということは『お嬢様』か


「星七ちゃんが来てるって聞いたんだけど」


訪問者は辺りを見回してから不機嫌そうに話しかけてきた。

緑リボンだから三年生。かなり明るい金髪からピアスだらけの耳が見える。いくらウチの学校が緩い校則だからって、これは派手すぎなんじゃなかろうか……


「さっき帰りました。すみません」


金髪の先輩を怒らせないように、ぎこちない笑顔を作って対応する。


「えー最悪」

「ですね……」

「今日は貴女だけ?」

「今はそうです」

「じゃあ貴女で良いから相手して」


ぶっきらぼうにそう言うと、金髪の先輩は缶に100円を投げてから勝手にカーテンを開けてソファにドサっと座った。

こえーよ……

部室の入口を見るが、先輩たちが入ってくる様子はない


「し、失礼します」


意を決して金髪の先輩の隣に座る

いつもとは違う種類の汗が全身を覆う

紅茶を淹れてる間、先輩はずっと足を組みながらスマホを弄っていた。

なにかお話ししなきゃ、こんな態度悪い人でも『お嬢様』だ


「あのー趣味とかってありますか?」


この一ヵ月で天気デッキから進歩した趣味デッキだ

天気より会話が弾みやすいので重宝してる

しかし、先輩の反応は最悪だった。彼女はスマホから目を離さないで答えた。


「貴女、つまらない」


ショックで何も考えられなくなる

3秒くらい固まった後に私は絞り出すような声をようやく出せた。


「で、ですよね……私なんてつまらないですし、他の部員を呼んできます」


そうだ、ボランティア部の先輩に来てもらおう

用事があるらしいが、後で部活に来るって言ってたから学校には居るはず

少し情けないが「怖い人がいる」って言って助けて貰おう


そもそも緑リボンに抱かれる必要はないし、赤リボンだったとしてもコイツが『お姉さま』のハズがない

今日は活動しなくて良いって綾坂も言ってたし、良く頑張ったよ私は……


ソファから立ち上がったが、腕を掴まれて引き戻される。

その弾みで先輩に抱き着いてしまった。


「つまらないなら、こっちで楽しませてよ」


一瞬遅れて全身に悪寒が走る

最初はそれがなんなのか理解出来なかった、理解したくなかった。

胸を弄られている。


「や、やめ!」


先輩の肩を押したが、彼女の方が力が強いらしく、逆に押し倒されてしまった。

こ、これは洒落にならない


「やめて下さい!『禁忌』ですよ!もっと大きい声出しますよ!!」


大声で叫べば、廊下を歩いている人の耳に届くかもしれない

そう思ったが、先輩は意に介さないようだった。


「いいよ。部活がどうなってもいいならね」


活動がバレればボランティア部は廃部になってしまい、先輩たちや綾坂を悲しませることになる

なにより私の『お姉さま』探しも出来なくなってしまう


ずるい、こんなの卑怯だよ

大人しくなった私の様子を察してか金髪の先輩の声が少し優しくなった。


「こんなことしてるくらいだし、こういうのいつか望んでたんでしょ?そのまま大人しくしてれば痛くしないから」


そう言いながら、今度はブラウス越しに私の胸を触ってくる。

嫌だ、気持ち悪い


暫く唇を噛み締めて耐えていると先輩の手が止まった

恐る恐る目を開けると、彼女は私の首筋を見ていた。


「なんだ、ウブの振りして結構遊んでるみたいだね」


反射的に星七先輩に付けられた首筋の痕を隠そうとしたが、先輩に遮られる。


「これ誰に付けられたの?お嬢様?」

「違います」

「さっきまで星七ちゃん居たんだよね?もしかして星七ちゃん?」

「違います。もうどいて下さい」


この人は星七先輩目当てで来たから肯定すると怒りそうだから言えない


「だったら恋人?」

「違います。恋人はいません」

「それだと、お嬢様でも部員でも恋人でもない人が付けたってことになるね」


失敗した

誰かに付けられたんじゃなくて、蚊に刺されたと言い張れば良かった。


私が黙り込むと先輩はブラウスのボタンを外し出したから必死になって彼女の手を掴んで命乞いをする。


「やめて下さい、恋人はいないけど好きな人はいるんです」

「キスマークは好きな人に付けられたの?」

「それは……違います」

「やっぱり遊んでるよね?」

「そ、そんなのじゃないです」


動揺した隙を突かれて、全部のボタンを外されてしまった。

露わになってしまった下着を手で隠す。


「なに恥ずかしがってるの?好きでもない人にキスマーク付けされる女だよね」

「そんなのじゃないですって」


否定したが、先輩の手が背中に入り込んできた

ブラまで外されては堪らないと思い、身体をずらして抵抗する。


「貴女はそんな女だよ。だって今、とっても欲しがってるエロい顔してる」

「なっ!?」





「何をしているの!」


ブラのホックが外される直前に部屋に緊迫した声が響き渡り、麗奈先輩と愛花先輩が部屋に踏み込んで来てくれた。


「ぐっ」


麗奈先輩が金髪の先輩の腕を反対方向に曲げて取り押さえる

合気道でもやってたのか鮮やかなお手並みだ。

虚ろな目でその光景を眺めていたが、愛花先輩に抱きしめられて、ようやく自分が助かったのだと理解出来た。


安心すると、一気に今まで我慢していた涙が溢れてくる。襲われていた時に泣かなかったのは私なりの一種の抵抗だった


「首に跡が出来てる……ひどい」


愛花先輩が頭を優しく撫でてくれる。首をやったのは星七先輩です。


暫く愛花先輩の胸の中で泣いていたが、いつまでも泣いているわけにはいかないので顔を上げる

その時、見てしまった。()()()()()()


愛花先輩にそれがなにか聞こうとしたが、金髪ピアスの先輩を部室の外に蹴り出した麗奈先輩が私の元に来たので聞くのをやめる。


「怖い思いをさせたわね」

「だ、大丈夫です」

「星七先輩は?今日来るって聞いていたけど」

「私が怒らせて帰っちゃいました」

「……何があったかは知らないけど、一年生を置いて帰っちゃ駄目でしょ」

「私が悪いんです」

「今日はもう帰りなさい、遅れて悪かったわ」


私の泣き腫らした目を見かねた麗奈先輩がそっとハンカチを差し出してくれた

受け取った彼女のハンカチで涙を拭う。

その時……


懐かしい香りがした


『お姉さま』の香りだ……

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