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47 レオニダス、懺悔のターン

「おかえりー! 晩ごはんできてるよ!」


ギャランがレオニダスに声をかける。


「あ……ああ。アイラは?」


「今日もずーっと作業部屋にこもりっきりですね。物音はしてるけど、出てくる気配ゼロです」


織は腕組みして悩んでる。


「お粥がいいかな、それともおにぎり? 包子? ……いや、汁物も……」


「今日はどこで反省してたんだ? レオ兄」


ギャランがニヤニヤ顔で突っ込む。


「……神殿で、懺悔して神託うけてた」


レオニダスはぽつり。


 


その瞬間、3人ピタッと沈黙。


そして無言のまま、揃った表情でジト目でレオを見る。


「また自分に都合のいい神託受けてきたんじゃ……」


「……いや、悪口は本人の前で言うな」


レオはため息混じりに手を振り、そのままアイラの部屋の前で立ち止まる。


ノックしようとして――

やっぱりやめて、そのまま自室に戻っていった。


 


「……あ、完全に逃げた」


ギャランがぼそり。


「今日はやけに静かですね……」


織も不思議そうに首をかしげる。


「神殿パワーで浄化されたんじゃ?」


彦が茶碗片手に肩をすくめる。


「どうせ神託は『許す』か『許さない』の二択だろ」


「で、あの反応ってことは……」


「たぶん、許されなかったパターン」


3人、満場一致。


 


「でもさ」


ギャランが急に小声になる。


「もし師匠、本気で嫌だったら……あの時点でレオ兄、爆散してない?」


「うん、跡形もなく消えてる」


「塔ごと更地コース」


「ってことは、嫌じゃなかったんじゃ……?」


「……え、ええーー!? それってもう両想い確定フラグじゃん!」


「なのに、なんで告白しないんでしょう」


「……照れてる?」


「無理あるでしょ」


彦がゲラゲラ笑いながら魚を解体。


「まあ、今日はつみれ鍋で。あったまるし」


「いいですね、冷えますし」


「ってことで、煮付けもつくる?」


わいわい井戸端会議モード全開。


 


そこへ。


バタン、と部屋のドアが開く。


「アイラ様!!」


織がダッシュで駆け寄る。


「何か召し上がりますか!? 今日は彦さんがいい魚釣ってきましたよ!」


アイラは少しだけ微笑んで、小さく頷く。


「……じゃあ、少しだけ」


その一言で、全員テンション爆上がり。


「じゃあ、つみれ鍋決定!」


「煮付けも追加!」


わちゃわちゃしてる3人をよそに、アイラはふとレオニダスの部屋を見やる。


「ちょっと、武器の相談してくるわ。ご飯の準備、お願い」


その瞬間、3人は一斉にフリーズ。


 


「……無理しないでくださいね」


「レオ兄なんて丸腰でいいです!」


「それとも今から反撃開始ですか?」


3人でわーっと口々に止めにかかる。


アイラはきょとん。


「え? なに? 喧嘩でもしたの? レオ、なんか恨まれてない?」


ニコニコ笑いながら、3人を見回す。


 


「……い、いやいや。全然そんなことは」


「アイラ様がお怒りでないなら、こちらも何も」


「むしろ、レオ兄にがんばれって言っときます!」


「どーぞどーぞ、ゆっくりどうぞ!」


3人が必死に取り繕うのを不思議そうに眺めながら、

アイラは首をかしげつつ、レオニダスの部屋に向かっていく。


 


3人は目配せして――


同時に、にんまり。


 


(……これは、面白くなってきた)

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