表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《完結》魔女は秘密を抱えながら弟子と最強タッグを組む  作者: かんあずき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/63

37 告白はした、けど怒られた

《これまでのあらすじ》

不死の呪いと過酷な過去を抱えながら、仲間とともにダンジョンを進むアイラ。

レオニダスは、そんな彼女に「新しい杖の素材を見つける」と約束する。


しかし突如、二人だけが転移させられ、神殿でレオは命を懸けた試練に挑む。

満身創痍で倒れながらも、何度も立ち上がる姿に、アイラは初めて本気で泣き叫ぶ。


そして――

死の淵から戻ったレオは、アイラへの想いをまっすぐに告げ、彼女を強く抱きしめた。


二人の距離が、少しだけ縮まった瞬間だった。


「へたれだな」

「ここまでとは……」

「我が兄ながら情けない」


三人からフルボッコ。


レオニダスは、神殿でアイラにきちんと想いを伝えたことを説明したのに……。


なのにこの仕打ち。


「えっ、オレ死にかけたんだけど!? 盾になったんだけど!? 杖も持って帰ったし!? 告白もしたし!? むしろよくやったポイントじゃない!?」


「んなわけあるかーー!!」


三人大絶叫。


「そこまで行ってキスなしは、罪ですよ罪」

彦が渋い顔で腕組み。


「しかも! 二回目のハグはアイラ様のラストチャンスだったのに!」

織は悔しがる


「頭撫でて終わりって! 犬か!」

ギャランも容赦ない。


空気が完全に「どれだけこいつヘタレなんだ」ムードになる。


「え……オレ、もっとグイグイいくべきだったの……?」


三人、同時に当然とうなずく。


「告白の答え聞かないのもアウト」

「涙もちゃんと拭け」

「そもそも、血まみれで『あ、好きです』ってどんな状況ですか?」


「……いやいや、相手の気持ちもあるし、無理やりとか良くないっていうか……」


「逆に、いちいち『これから◯◯していいですか?』って確認されるほうが嫌です!」

織はキッパリ!


「え!? そうなの!? マジで!?」


レオニダスはショックで膝から崩れ落ちた。


脳内で、あのときのアイラの泣き顔、震える肩、握った小さな手――


……ああ……あの瞬間、してよかったのか――!!


ガーン!!

膝をつき、うなだれる。


「……まあ、これがレオ兄だって、師匠もきっとわかってますよ」

ギャランは苦笑する。

「でも、正直オレも行きたかった。今ならレオ兄よりオレの方が強いと思ってるんだけど」


「……杖、杖って騒いでたから、天翼獣様がレオニダス様を選んだんでしょうね」

織がさらっと言う。


好き勝手言いやがって。死にかけたのにさ。


……まあ、みんな心配してたんだろうな。





あのとき、血まみれで戻ったレオニダスを見て、仲間たちは全員顔色変えて飛んできた。


でもアイラが、新しい杖を振って、笑いながらみんなのもとに駆け出して。


織に抱きついて「みんなありがとう!」って言って、新しい杖ができたことを報告したときには、全員が安堵してた。


あの瞬間の笑顔、忘れられない。


古い杖は、台座にそっと置いたら光に溶けて消えていった。

まるで、役目を終えたみたいに。


あの空を、しばらくアイラと二人で見上げてた。

……これで、あいつも過去から解放されたんだなって思った。




その後は――。


問題は、新しい杖を持ったアイラが元気すぎることだった。


「わー! 見て見て! また咲いた!」


「アイラ! さっきのは人食い花だって!!」


「わー、また雷落ちた!」


「だから! 死ぬからやめて!!」


「わー、山が凍った!」


「滑落する! 滑落するからぁ!!」


どこにいるんだよ、みんな!!って叫んだら、


「あ、転移しよう」


って、アイラはあっさり仲間たちのところに戻っていった。


なんだったんだ。


今も、テントで杖を大事そうに磨いてる。

……あんなに嬉しそうにしてるアイラ、初めて見たかもしれない。





「でも、これで師匠が完全に聖属性特化になるなら、パーティの役割も再編成ですね」

ギャランがそう言い出せば、レオニダスも乗っかる。


「地味に俺たち兄弟、闇属性もあるし」


「父親が闇属性だったからですね」


「聖と闇両方あるとか、やっぱすごいですよ」


「私と彦様は無属性組ですから。武器の特性頼りですし」

織は少し肩をすくめた。




みんなそれぞれの立場で強くなってる。


そろそろ最終決戦が近づいてきている気がする。


……アイラのために、自分のためにもっと強くならないと。


気持ちを新たにした



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ