第23話 自業自得
まずメイリアはリリアを見つけ出し、問答無用で捕縛して殺そうとした。もっと具体的に言うとリリアの首をはねようとしたそうだ。だが、王太子妃とはいえ謀反とかそういう理由がない限りそれは不可能な話である。
(というか、多分これ今までで一番怒ってるよな、メイリア……。問答無用で首をはねようとするとか)
ちなみに現在リリアの身柄はガラテナ王妃の命令により軟禁……彼女が所属する娼館に留めおかれているそうだが、場合によっては宮廷のある城に召喚される可能性もあるとの事。
そしてガラテナ王妃はそれだけではなく、レーン様を王太子の座から追い出そうともしたらしい。女遊びが激しいようでは王太子、ひいては未来の国王の座にふさわしくないと考えたそうだ。
「それは本当なのですか? 国王陛下の子供はレーン様おひとりですけど、誰が……」
「ガラテナ王妃は国王陛下の弟君にあたる王子・グラン様の長男であるガーヴェイン王子を擁立しようとしたそうです。現在彼はリュシアン王国の南西側にある隣国のクラフト国へと留学しているそうで、彼を呼び戻そうとしたと聞いております」
国王陛下にはグラン王子と言う弟がいる。でもってそのグラン王子の長男がガーヴェイン王子で14歳になる。ちなみにグラン王子は城にはおらず、離宮にいる。私は何度かお会いした事があるが細身で物静かな方で若干カーリアンと雰囲気が似ている感じの男性だ。
「ですがガーヴェイン王子が王太子となるのをレーン王太子殿下は反対し、ガラテナ王妃とは大げんかしたと聞きました。本来なら国王陛下が仲裁なさらなければならないのですが、体調が悪化しており予断を許さない状況になっているとの事です」
「国王陛下が?!」
国王陛下が亡くなるとなればレーン様が即位する事になる。ああ、だからガラテナ王妃はレーン様を王太子から引きずり降ろしてガーヴェイン王子を王太子にしようとしていたのか。
「それでガーヴェイン王子は?」
「まだクラフト国にいるはずです。リュシアン王国に戻ったと言う情報は受けていません」
「ジャンヌ、多分だがリュシアン王国に戻ると暗殺されると思ったんじゃないかな」
「ああ、そうね。そうだわ。その可能性は否定できない」
ガーヴェイン王子はその点賢い人物のようだ。14歳という年齢でありながらその点危機管理能力がちゃんとあるのは素晴らしい事だ。
「それにしても、リュシアン王国はジャンヌが屋敷から消えてからは次から次へと問題が出ているね……」
「そうね、ここまで問題が出ているなんて思わなかったわ」