73.調査隊(1)
なんとか調査隊は発足出来た。
この様な多国に渡るプロジェクトは誰も経験がなかった。
組織となった事はメリットもデメリットもある。緊急の場合を除いて単独行動は控えたほうが良いだろう。初回の会議では、調査方針を決める事にあった。
・調査隊Aは新たな調査先を決める。
・調査隊BとCはサンマル遺跡周辺の遺跡の調査先を決める。
以降Aの後をBとCが引き継ぐ。というパターンになる予定だ。
想定内の提案として、BとCにも先発隊として名を上げたいという申し出があった。
既に調査が危険であることは実証されている。サンマル遺跡の様に沈黙していて突如危険になる場合すらある。死ぬ覚悟があればどうぞ、という一言で沈黙した。
調査結果を出せば全員に名誉がある。むしろ調査隊BとCの方が名を上げられるはずである。また俺には詳しく調査して解析ができないから丸投げなんだけどね。
これは実は建前である。
俺達しか知らないことがある。妖精族とか精霊の里とか一般には知ってはならないことだ。
装備をよこせ、という話もあった。
ドラゴンの長の許可がないと出来ない。実績を作って頼むと良い。と言っておいた。
ただし、調査隊の安全確保のため簡易シールド発生装置は作ってあげた。また調査中に大爆発あると嫌だしね。もちろん悪用されないように機能限定型。各自一つ限定の使い捨て仕様、使った物と交換で新しいものを渡す、という事で話をつけた。
とりあえず調査隊Aはホックリ王国から、サンインカ国、サンヨウカ国、魔王国、そしてクマモ国の順で調査を進めることにした。最低でも一月に一度はなんちゃって転移で本部に報告に戻ることにした。
俺達はマイワールド経由で何時でも帰れるのは内緒ね。あくまで一日一回限定のなんちゃって転移。
あと通信による連絡方法があったほうが良いと判断し、各リーダーと本部間の通信専用の対石トランシーバー(通称、『調査隊トランシーバー』と命名)を設けた。更に、このトランシーバーの位置を知ることが出来るようにした。
もちろん原理は秘密である。
実は対石ではなくトランシーバー同士をマイワールド『調査隊用ケーブル』で繋いであり、マイワールド経由で話したり、その接続位置で知ることが出来るようになっているんだけど、もっと良い方法もあるかもしれないので秘密。
調査隊が解散する時にこのマイワールド『調査隊用ケーブル』をイレイズすれば悪用防止完了。何処にあっても機能を停止できる。
更に隠し機能でケーブルの太さを変更して人や物資なども送れたりする。けど秘密。
密閉空間に閉じ込められても空気を送れば大丈夫とか。
悪いやつの手にわたったら毒ガスを送れば。。。 やはり秘密。
使い方によっては大量殺人・破壊兵器にもなる危険なものだ。 やはり基本機能以外は封印しとこ。




