58.サンマル遺跡へ(4) 鍛冶師の街
森を抜けると。草原の先に所々に煙が立ち上り、金属を叩く音が響く街が見えた。
鍛冶師の街カジガイルだ、ドワーフの住む街だ。
鉱石はその先にある山から採掘し、金属の精錬は火山地帯にある灼熱石と呼ばれる魔石の一種で、魔力を供給することで加熱するようなので煙は立たないクリーンエネルギーだ。街の煙は生活用のものらしい。
街といっても数千人規模でそれほど大きな街ではない。種族的に大きな街では住みづらいらしく、この様な鍛冶師のコミュニティを形成しているようだ。エルフの里のように閉鎖的なところはない。鍛冶をして商売しなくてはならないので閉鎖的では成り立たないからだ。
従って我々も街へは普通に出入りできる。ただ職人の街なので、宿は質素で数は多くない。
町長に掛け合って街近くに野営する許可を得た。此処で少し疲れを癒やすため滞在だ。我々は疲れてないけど従者達のためにね。
野営の準備は従者達と護衛達に任せて、鍛冶師の街を散策してみる事にした。
鍛冶の街だけあって鍛冶屋は多いし、当然食事は手軽に済ますため食事処は多いみたいだ。
テイクアウト屋台やデリバリーも多い。
手軽なメニューとしてよくあるのは汁物だ。汁物は一度に作って、がばっと器に入れて渡せばいいので回転が早い。器は返却すればお金が返ってくるシステムだ。肉団子汁とか。
「おじさん肉団子2つ入れて。」
とか聞こえてきそうだ。
そんな店の一つで、肉団子汁を注文してみる。
「微妙な味付けだ」
やはり、鍛冶屋の街なので熱い所で仕事する者が多いのか、塩分が強い。
「野営地で自炊だな」
方針が決まった。
アイテムボックスにある魔物の肉を焼いて食べよう。道中はマイワールド『屋敷』で普通の食事をしていたが街の自由人の目もあり、野宿らしく美味しい焼肉にした。
そしたら、なぜか街から野営地まで行列が出来る現象がおきた。
簡易的な食事に飽き飽きしていたのだろう。商人ギルドにも入っているので商売をするのには問題ない。
ここでも、かなり稼げるだろう。出店するのも良いかもしれない。
いや、そんな事をしに来たわけではない。
が、悪い考えではない。後で商業ギルドに行って相談しよう。
魔物の焼肉屋の出店だ、店名は『女神食堂』、この際教会も併設だ。
早速教会用の土地を取得、いつもの様に教会をぽんと建てた。焼肉屋は教会の収入源だ。此処にも司祭を派遣してもらう様に手配した。
武具店巡りをしよう。
何か面白い武器がないかと見て廻る。
この街は主にサンプルとしての展示が多い、商人が仕入れに来るのだからそうだろう。あとはオーダーメイドだが此処まで来て作らせるのは相当な者だ。そんなマニアのお店に入ってみる。
「誰の紹介だっ!」
入るなり怒鳴られる。 おっテンプレ頑固親父職人だ。
「えぇっと、第七皇女様?」
一緒に連れてきてよかった。
「おぅ、親方呼んでくる」 店番の人だった。
親方が出てきた。優しい感じの人だ。店番にはバカにされないように、いかつい人をおいているらしい。
とりあえずどの様な物が欲しいか、また作ってもらえるのかもわからないので、俺が作ったものを見てもらって何か提案してもらうことにした。
パーティーメンバーの武器類をみてもらう。
ドラゴンアーマーは、また当然ながら神級なので参考にならない。欲しいって言われたけど無理。
ドラゴンの里に行ってお願いしてみてって言っといた。
その他の武器類も神級で参考にはならないそうだ。
機能的には何も提案できないが、デザイン的にもっとよく出来そうだというか、機能以外は壊滅的な出来らしい。
ちょっと自分の美的センスが崩壊した。
とりあえず付与を一旦外して、武器を渡して作り直してもらってから再付与することにした。
まいどありー。
費用は結構取られた。デザインって言うのは一番コストのかかるところだ。
ちょっと資金が足らないので、既製品に能力付与することで相殺した。
剣に『不壊』と『切断』を付与してあげた。すぱすぱ切れて壊れない、剣の究極の姿だ。
一週間ほど滞在し、司祭をなんちゃって転移で連れてきたたり、アリーを冒険者登録と、パーティ登録したり、仕上がった武器を受け取ったり、女神食堂の出店準備をしたりした。能力付与の価値が高すぎると、オリハルコンの小刀をもらった。嬉しい。
そして街を出る。




