57.サンマル遺跡へ(3) 精霊の里(2)
精霊との遭遇地点から小一時間程で精霊の里に着いた。
ここは森の精霊の里らしい。木の精霊、水の精霊、土の精霊、風の精霊などが集まる所で
周囲の世界とは違う結界の中みたいな場所だった。
精霊は女神様の手下みたいな存在だ。主神>女神>精霊>妖精>人間>魔物 な関係かな
ティムは下の存在に対して有効なみたいだ。
この世界の人族は自分たちに
都合の良い者を精霊・妖精・天使、
都合の悪い者を悪霊・妖怪・悪魔
と分けているらしいが、それぞれは同じものだ。
珍しくという言い方がおかしいとは思うが、此処には精霊と一緒に妖精族も共存している。
やはり実体を持つ妖精が一緒にいると便利なところがあるようだ。
悪く言えば精霊の使いっ走りが妖精だ。
〈ちがうっ!、共存してるのっ!〉
怒られた。違うらしい。心を読める奴がいるな。
〈おさー、来客だよ〉
〈なんじゃ、外の世界のものを入れるなと言っておるだろ〉
〈人とは違うなんか変わった人たちだよ、だいじょうぶだよ〉
〈おぉ、神々しいオーラをお持ちのようだ〉
一応主神だからね。
「はじめまして、冒険者パーティ女神教のロイとその従魔たちです」
〈なるほど、人族も従魔に出来るとは、まるで神のようじゃな
ドラゴンまでも従えるか、〉
そうです。でも内緒にね。
「たまたま相性が良かっただけだと思う」
〈いやいや、かなりの力をお持ちのようだ。そうだ、少し頼みがあるのだが聞いてくれぬか?〉
「出来る事であれば」
〈この先の谷に瘴気が溜まっているようで、近付けなくなっておってな、なんとかならんじゃろうか〉
「わかった、とりあえず見てみる。案内してもらえるかな」
ふわふわと浮かぶ光の妖精に案内されて進むと。
近づくにつれて不安が募る様な雰囲気が強くなってくる。これが瘴気か。
また小一時間程で件の谷に着いた。
〈ここー〉
どんよりとした暗い闇がうごめいていた。呪いの塊の様でもある。
ナビくん何かわかる?
ーー何かが呪われて瘴気に侵され死にかけていると思われます。
そうか、効くかどうかわからないが解呪してみよう。
「解呪!」
どんよりとした闇は瞬く間に消え去り、何かが残った。
それはなんと光の妖精だった。
まあ、ここは精霊と妖精しか居ないしね。精霊は呪われたら消滅しちゃうし。
どうやら、何か呪われた物に触れてしまったらしい。
それがこれ、どうやら呪い玉の様だが、我々が使っているものとは異なるようだ。触れるだけで発動する仕組みらしい。人為的なものだな。かなり古いものの様に見える。一応殻だけ持ち帰るか。
呪い自体は解呪とともにしっかり回収してある。職業病だ、しかしこれは納品できないな。
「これを何処で?」
〈谷の奥の洞窟に落ちてた、ここまで来たときに倒れた〉
遅延発動か、一定の距離離れたら発動するのか。後で解析してみよう。
行ってみるか。
そこから数十メートル先に洞窟の入口があった。
洞窟は人工的なものらしく、太古の遺跡の様に見えた。
最深部には何か巨大な結界石の様な物が設置されていたが、既に稼働していないようだった。
あの呪い玉は安全装置のようなものか何かか。
稼働していない以上、調査は此処までで良いかと戻ることにする。
念の為洞窟の入口には隠蔽を付与して、誰も入らないようにしておく。
里に戻り、長老に顛末を報告する。そういえば妖精が行方不明だったな。って気づけよ。
被害にあった妖精さんには感謝され、是非旅に同行したいと言い出した。
「じゃあ、ティムするね」
「ティム! 名前は『アリー』、能力は人化、飛翔強化、回復魔法強化、結界強化」
新しい仲間が増えた。
ついでに
「マイワールド『妖精の里』、中は森と湖と川に降り注ぐ太陽光」
〈いいなぁ〜〉〈いいなぁ〜〉
他の精霊や妖精たちに羨ましがられた。
長も気に入って、皆移住するようだ。
大丈夫だろうか、ここの森。
と思ったけど、此処だけではなく他にも精霊の里はあるから問題ないらしい。
とりあえず同じようなことが起こるといけないので、精霊ネットワークで周知してもらった。
さて、精霊との話は、今でなくとも良くなった。また気が向いたときにマイワールド『精霊の里』に行けば良い。
里、(のあった所)を離れて皆の待つ所に戻る。
とりあえず、ここの精霊の里がマイワールドに移ったことは内緒にしておく。
新メンバーのアリーは人化してもらい、迷っていたところを精霊の里で保護されていた事にした。
そして更に北へと、サンマル遺跡への街道を進む。
ーーーーー
「精霊の里への入口がわかった、この旅が終わったら情報を売って、おれたち大儲けできるぞ」
従者の一人が一生懸命に現在位置を地図にメモしていたようだが無駄だ、もう里は無いよ。
残念だね。
ーーーーー
そろそろ森から抜ける様だ。
森を抜けると、そこには鍛冶師の街があるらしい。ひっとしてドワーフの街? らしい。




