49.帝都(1) 謁見
よく考えたら、王国でも王様に謁見したこと無い様な気がする。
今回はノルワルティ王国ウルス領の次期当主としての訪問だ。まあ、俺はおまけみたいなものだけど。
謁見の作法など知らないので、案内担当の者によく聞いておこう。
呼び出しから、入場、頭をたれて跪く、言われるまでそのまま、
そして、発言を許されるまで黙ったまま。だっけ
普段この様な訪問には、担当官のみだが、今回は特別に皇帝と側近の謁見、そはてなぜか第七皇女もいる。
特別待遇だ。
今回の訪問の目的を聞かれた。
「一つは、見聞を広める目的で参りました。帝都内で他国のものが無断で移動しては懐疑心を持たれるといけませんので、帝都内での旅の許可を賜りたく参りました。
我々は、冒険者パーティーを組んでおり、基本的に行動の自由はありますが、」
「これは手土産にございます」 下を噛みそうになった
と献上品に手をかざし指し示す。もちろん直接渡すようなことはしない。
「内容は、
・呪い屋本舗で新たに開発した、回復系の呪い玉(ヒール、エリクサー、キュア、ポイズンキュア)
・シェルター(マイワールド『パニックルーム』)
そして、
・女神教の女神像です。これは女神を讃えると体の周りが適温になるというご利益があるものです。
寒冷地の方々に人気を取るのにはとても重宝する品だと思います。
・携帯型の木製の女神像もいくつか
です。」
「良き品じゃ」
「つきましては、帝国においても、女神教の教会を設置する許可を得たいと思います。」
「帝国内での宗教活動は自由じゃ」
「承知しておりますが、勝手にやるのと、理解していただいてするのでは大きく異なります」
「わかった」
「ありがたき幸せッ」 あっ舌かんだ。慣れない
「下がって良い」
疲れたー
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謁見後 プライベートルームへ
此処では皇族のみで、もっと気軽に話していいらしい
助かった。
「よー、ありがとねぇー。アイスとも仲良くやってくれて嬉しいよぅー」
えらい変わり様である。
「ええっと、どういたしまして」
「女神教像、いいよねぇ。ここらじゃ冬は寒くてたまらんのよう。女神教どんどん普及させちゃってよ
凍死者も減らせるんじゃないかなぁ。」
威厳のかけらもない。ギャップが激しい
「ダークエルフの里にはなかなか行けないのでもう作っちゃいましたけど」
「よくそんなとこ行けたねぇ。なんか暗くてさあ、行きづらいんだよ。こんどつれてってよ」
「まあ機会があったら。一応俺が後ろ盾となっているから歓迎されると思う」
「えー。すごいー。魔王国や、ドラゴンの里や、イラワンデ共和国にも顔が利くらしいじゃないか
どう? アイス、貰っとく? 帝国にも顔が利くようになるよ」
「ラーシィという婚約者がおりますので」
「もうひとりぐらい、いいだろぉー」
何か別の意味でやりにくい。