41.帝都に向かう(2) 牢獄
移動する馬車の中で俺は悩んでいた
珍しい
本来貴族の正式訪問はこんな規模じゃない。
過剰戦力でも1小隊ぐらいにはなるはずだ。これでは自領の移動みたいだ。
今回は見た目が盗賊が襲いやすいように小規模にしている、盗賊ホイホイだのためだ。正直、女神教会の設立には多くの資金がいる。軌道に乗るまでが大変だ。
盗賊ホイホイは良い資金稼ぎになる。盗賊の財産と懸賞金だ。
『鴨がネギを持ってきてくれる』ならぬ『盗賊がお金を持って来てくれる』だ、賊金。
盗賊も、慈善事業に協力出来ると喜んで捕らえられてくれるだろう、強制的だけど。
問題は、盗賊をどうやって運ぶかだ、運ぶこと自体には問題ない。マイワールド『牢獄』を作ってどんどん放り込んでいけばよいのだから。しかし、引き渡すときにマイワールドの存在がバレてしまう。
こんなヤバイ能力はあまり公表しない方が良いだろう。
〈〈主、我々をもっと頼ってくれ。何者が来ても主と共にあり、主を守る〉〉
〈わ〉〈だ〉〈よ〉。。。。 語尾だけ違う言葉が発せられる。
珍しく考え込んだ俺を皆が勇気づけてくれる。
そうだな、異世界テンプレでも能力を隠すやつは、変な縛りで悩んだ挙げ句墓穴を掘るんだ。
能力は隠さないでいこう。
まあ「本当に隠したい能力」を隠すために「あえて目立つ能力」を表に出す。的な?
呪い屋本舗としては、もう呪いの製作能力は必須なので隠さない。機能付与能力も隠さない。マイワールドは、巨大なマジックバックとして隠さない。
テイマー能力も隠さない。(人類までもティム出来るのは秘密。だって主神の力だし)
転移能力は以前決めたように一日一回が限界と偽る。
でもこれ、かなり贅沢な悩みだな。切実な悩みを持っている人に怒られそう。
というわけで、マイワールド『牢獄』クリエイト!
10人部屋を100個。独房を20個、部屋は狭く身動きがあまり出来ないようにして、世話が面倒だから自動給餌装置と、自動排泄物処理施設を設置する案もあったが、贅沢すぎる。
訂正!
人工冬眠させてしまおう。死体安置所みたいなものにしよう。人工冬眠装置100台の建物を10棟。
どうせばっちいだろうから自動洗浄機と、作業ホムンクルスを10体、
盗賊は放り込まれると、強制睡眠状態へ、そして身ぐるみ剥がされ自動洗浄、人工冬眠装置に入れられる。
盗賊名単位で管理され、出す時は検索して一体づつ取り出せる。取り出してから1時間後に目覚める。
使っている側から見たら在庫管理システムみたいなものだ。
これでよしっと。
これで宇宙旅行も出来る? 時間停止の機能を使うと完璧なのでは?
いつかこの星に居られなくなったら、宇宙旅行もやってみるかな。ロイの方舟とか。
あと、軽犯罪者様にマイワールド『拘置所』を作ってっと、こちらは窓のない箱で良いだろう。
更に、王侯貴族用の檻も併設っと。こちらは豪華に金の檻、全て金メッキ、ただし窓や扉や装飾品はない単なる箱だ、王侯貴族用なので贅沢にも椅子が一つ。嫌がらせのような部屋だな、豪華に金ですよ、気を使いましたって。
まあ、こちらは使うことが無いといいな。




