39.鍛冶屋の勇者
魔王軍によって全滅した勇者軍だったが、中には戦闘職でない勇者も居り、彼らは王都に居てまだ健在だった。
鍛冶の適性の高かった 鉄田 宅はそんな中の一人だった。
転生後、王都の鍛冶工房に弟子入りして現在修行中である。鍛冶に適正があると言っても未経験の彼では直ぐに結果を出せない、親方はテンプレの頑固なドワーフだ、剣を何本か打ってみたものの、未だ合格はもらっていない。
一緒に転生した奴らはほとんど死んでしまった。やはり転生者で特別な能力を得たからと言って素人がどうこうできるものでない。まあ今、それを実感しているところだ。
当初よりは出来上がりが良くなっているのはわかるが、まだまだ先が遠い。付与機能のある魔剣を作るのが夢だ。親方に言ったら、「夢だな」って言わるた。自分でもわかっているだけに悲しい。
親方との関係は良いが、あまりにはっきり言い過ぎる。
元の世界で、『99%の努力と1%のひらめき(99%努力した所で1%のひらめきがなければ努力などなんの役にも立たない)』と言った人がいた。日本では勘違いされて『99%の努力が成功に導いた』と思われて、残念がられたという。
俺も何かあればきっと成功できるだろう。なにかきっかけがあれば。
ウルス領に女神教という気になる冒険者パーティーが居る。なにやら従魔を強化して大きな功績を上げたようだ。強力なアイテムも持っているのだろう、一度合ってみたいものだ。親方は冒険者に伝を持っていないかな。今度聞いてみよう。
親方経由で冒険者ギルドの情報を得てみると、彼らはイラワンデ共和国に旅に出たそうだ。転移魔法を使えるのか、時折戻ってきているらしい。
なんとか繋がりを持てないだろうか。
手の空いたときに冒険者ギルドに顔を出してみると、以前合ったことのあるやつを見かけた。勇者の一人だ、あいつ生きていたのか。ちょっと声をかけてみると、なんとライディという新しい名をもらい、件の冒険者パーティー女神教に所属していると言うではないか。願ってもない再会だ。
そいつも、強化された装備を持っている。ユニフォームであるドラゴンアーマーだ。萌える一品だ。
だが、これはドラゴンの里の長しか作れないものだ。
更に彼の背には、萌える大剣!。 ロマンだ。
超音波ソードになっているらしい。ひょっとして制作者は転生者?
更に長さが変化するだと、萌過ぎだ、ロマンの塊だ。
なんか目標が出来た。萌を武器にしよう。
といっても、対峙した相手が武器に見とれている隙に攻撃をするとかでは無い。断じて無い。
更に聞いてみると、作成者はパーティーリーダーのロイという人物らしい。ぽんっ!と創造したそうだ。
ずるい。
想像力が減少や形になるという魔法の理念にはかなっているが、それを創造力としてしまうのはなんか神がかっている。技術自体は全く参考にならないな。
彼はまた、宗教女神教にも関わっているようで、そのお祈りグッズも作ったという。一つくれた。
女神様はこの世のあらゆる事象に干渉し、世界が滅びないように管理しているらしい。
木製の女神像で、女神様に感謝を込めて祈っている間は体の周囲が適温になるらしい。
とても地味だが強力な機能だと思う。機能を付与する事ができれば差別化可能だなぁ。
ギミックソードにギミックアーマーかぁ
彼らはもうすぐアウル帝国へ旅立つらしいので会える機会はなさそうだ。旅から帰ったら連絡をもらう事にしよう。そしたらロイに会って話してみたい。




