13.見習い修行
昨日のデートは楽しかったなー。
今日は初出勤。
伯爵家を出て一人呪い屋本舗を目指す。歩いて半刻ほど。
時間感覚はほぼ日本と同じ、四季もあるらしい。
店にたどり着き、入口を抜けた
「ごめんくださーい」 でいいのかな
店長のウッシータさんが出てきた
「ああ、よく来てくれた、今日は具体的な業務の説明とこれからの事を話そうと思う
まず、一応店舗ということなので、基本的には物の売り買いをする事になる。
4つのコーナーがあり、「呪いの販売」「呪い鑑定具の販売」「解呪玉の販売」
「呪いの買い取り」店内には「自動回収ボックス」がある、
呪いはこのカプセルに収納されて、ボタンを押すと機能するようになる。
鑑定も同じで、呪いの種類を調べるもので、どの解呪玉を使うか、あるいは別の手段が必要かを
知ることが出来る。
解呪玉もカプセルに収められていて、同様にボタンを押すことで機能する。
解呪されると術者に呪いが戻るという性質を利用して、回収ボックスを術者と設定することで
自動回収を実現している。
買い取りに関しては、専門の鑑定士が居るので彼が対応する。
買い取りコーナーでは、使用済みのカプセルの買い取りも行っている。
入れ物を返せば返金される仕組みだ。結構高価な魔道具なので販売価格もそれなりに高いが
大部分返金されるので実質的にはさほど高価なものではない。内容にもよるけどね。
」
なるほど、
「よく使われるのが、『眠くなる呪い』、『元気が出る呪い』といった軽いものだな」
そんなゆるい呪いもあるのか
「大体は、呪いとその解呪のセットで販売する、睡眠不足の解消とか病気の回復時に使用するとか、
あと、解呪すると呪いは店の奥の自動回収機に戻ってきて、再びケースに封入し再利用することになる。
誰でも手軽に使用できるのがメリットだ、
睡眠魔法の使い手に頼むとか高価な睡眠薬を使わなくても、効果だけが利用できるサービスだ
再利用可能なので、実質かなり安価に持続利用できる。」
無限ループ商法だが、利用者は効果だけを購入できるシステムだな
「そこで必要となるのが、様々な呪いを集めてくる、または作り出すことだ
現在5名ほどの店員が全国を探索してそういった有用な呪いを収集している
君には適性を見てそちらを担当してもらおうと思っている」
「特殊な呪いだとかなり高価なものになるので、良い呪いを手に入れるとかなりの報奨金を得られるぞ、
制作できればなお良いが、知識と経験が必要になるな」
ひょとして俺、作れるんじゃないかな
ーー任意のスペックの呪いが作れます
ひょっとしたら天職では?
アイデア次第で大金持ちになれそう。
やる気が出てきた。
それから店の事務処理を一通り教えてもらい店番をしている。
この日は、数人の客だったが、事務処理は合格を頂いた。レジ機なんて無いから記帳するだけだけどね
このカプセルをいくつか借りて実験してみよう。
勤務時間は5時までで、一週間7日のうち2日は休みだ、楽な様に思えるが、悲しいことに休みは日給が
つかない。結局休みの日は他の仕事をしなければならない。
休みは冒険者パーティとしての仕事をしようかな、体力的には店番5日が休みで2日重労働って感じだな
伯爵邸に戻って皆と食事、歓談の後、部屋で実験をしてみる。
とりあえず、簡単な実験っと
「動作が1/2になる呪い、術者指定は呪い屋本舗の自動回収機に設定をカプセルに収納!」
ぽーん
「動作が1/2になる呪いの解呪 をカプセルに収納!」
ぽーん
出来たみたい。簡単簡単。明日店長に見てもらおう。とりあえず簡単に作れると知られるのもまずそう
なので、のろまな人が持っていた呪いを拾ってきたことにしておこう(バレバレかな)
翌日、店舗で店長に出来上がった呪い玉を見せる、
と、店長、何を思ったのかいきなりこちらに向けて、ボタンをぽん
「てーんーちーょー、、なーにーすーるーんーでーすーかー」
「素晴らしい。よくできているな、強盗とかに襲われたときの護身に使えそうだ」
「かーいーしー゛ーゅーしーてーくーだーさーいー」
店長が専用の解呪玉をぽんと押した。
動作が通常に戻った。
「ふぅーーびっくりしたぁ、いきなり酷いですよ」
「作成者に使って実験するに決まっているだろ、これは買取可能だ、特別報酬10万ゼニ追加しよう」
危ない危ない、今度から内容を考えてから店長に見せよう。
これって重ね掛けしたらどうなるんだろ、魔法が使えなくてもデバフ出来る優れものだ。
ナビくん、これってフォーマット化出来るかなぁ、少ないパラメータを入力することで
呪い玉を作成できる様な。
ーー可能です。フォーマットを作成しました。
7W2Hで入力できます。
呪い基本フォーマット、
When、Where、Who、 What、 Why、How
Which、Whom、How much
を作成。
解呪玉を同時作成。
ナビくん、仕事出来るひとみたいだ。
とりあえず、パターンAを作成
「いつ」のところは(ボタンを押したとき)に固定、
「どこで」は、(ボタンを押した場所で)に固定、
「誰が」のところは(自動回収機)に固定、
「何を」は変数、
「なぜ」は空欄、
「どのように」は変数、
「どちらを 」を収納ボールを向けた先の者
「だれに」は空欄、
「いくらで 」は、空気中の魔力を使って、足りない場合は内蔵魔力を使用
プログラミングのオブジェクトみたい
「呪い玉フォーマットA(動作、2分の1)作成!」
ぽよん、ぽよん
出来たぁー
あっ専用ケースまで出来ちゃったけど。どうしよう。買い取ってくれるかなぁ
修行にもなっていませんでした




