Ver1.82
納得いかなくって付け足して、納得いかなくて、消してを繰り返してた結果結構日にちがあいてしまいました。お気に入りが増えててうれしい限りです。
Ver1.82アップデート。
阿修羅たち『モノトーン』の設立から1週間ほどたった。目的は神話級の武器をあつめることだったが、アップデートによる大きな変化があるためそこまで何の特別なことはしていなかった。メルとリルをいれて6人で推奨LV70~のダンジョン『ドゥームフォレスト』の探索をしたり、リランチで雑談をしたりしていた。
「「マスターこんにちは。」」
阿修羅がINするとメルとリルも同時に阿修羅の両脇に召喚される。この1週間でこの2人のことについては大体わかった。
まず戦闘力は阿修羅と同等くらいであった。ステータスもしかり、武器の性能もそれに拍車を掛けている。2人の持つ武器、大鎌『血吸』(ちすい)は攻撃した対象の体力をダメージとは別に吸収するとこが出来る。プレイヤーは体力が減ったら、ポーションや料理などのアイテムを使って回復するか、回復スペルで回復するのが一般的である。まれに『吸収』という効果のついた武器があるがそれはあまり当てにならないような回復量でしかない。しかしこの『血吸』はその回復量の比ではない。『ドゥームフォレスト』はアップデート前のトップレベルのダンジョンであった。阿修羅たちでさえおそらく回復アイテムや回復役は必須であるそのダンジョンのなか、メルとリルは2人で狩っていた。そして結局回復を1度もしないでそのダンジョンの探索を終えた。
阿修羅は2人に武器をカード化して見せてもらうと、やはり裏が黒かった。つまりは神話級の武器であった。改めて神話級アーティファクトのでたらめさを実感した。
「ふぅー。っとメッセージか、なんだろ。」
阿修羅はINすると同時に届いていたメッセージを見る。
「[転職]クエスト:デュラハンの首?転職クエストか!」
あきらかに転職関連のクエストだったため若干興奮したがリランチで落ち合う約束をしていたことを思い出しグラディウスの町を歩く。中央通りを歩いていると左に見慣れない建物が見えだ。なにかと見てみるとそこには転職棟と表示されていた。転職棟には大勢のプレイヤーがいて、あるプレイヤーをサーチするとLVと2つ名、プレイヤー名、そして職業が書かれていた。
「ほぉー。やっぱ表示されるのかー。」
そうやってどんな職があるのか見てみようと多くのプレイヤーをサーチする。
「やっぱ基本ジョブの人ばっかだなー。」
すっかり阿修羅は職業に興味津々になっていた。職業棟付近にいるプレイヤーのほとんどが基本ジョブであるナイト、レンジャー、マジシャン、アサシンであった。セカンドジョブの人もそこそこいたが圧倒的にファーストジョブのプイレヤーが多い。生産系のジョブのひとはあまりいなかったが、いかにも鍛冶屋であろう大きな槌をもった男がいた。
「っお阿修羅じゃねぇか。」
そういって大槌をもった男が近づいてくる。袖のないベストと作業用であろうズボンを身に着けていて筋肉質な腕はそこらへんのプレイヤーには力では負けないだろう。この男こそ二つ名『名匠』をもつ武器鍛冶屋クロムである。
「おおクロムか。職業は...匠?。」
阿修羅がクロムをサーチすると職業の欄には『匠』と書かれていた。
「ああ。INしたらクエストがはいっててな。職業柄納品クエストだったからとっとと終わらせた。っま納品アイテムが炎刀『炎牙』(えんが)だったのには肝を抜かれたがな。」
炎牙はグラディウスの南にある火山ダンジョン『ボルケノーラ』の麓の大穴の最奥のボスモンスター『バハムート』がまれに落とす『炎竜の牙』から作られる。炎竜の牙はアーティファクトではないがしかしバハムートの討伐のしにくさとドロップ率の低さからかなりの額で取引されている。クロムはたしかにトッププレイヤーであるが、戦闘力は戦闘系のプレイヤーには遠く及ばない。そのため高LVの素材の調達は露天で済ませなければならない。転職するからといってすぐにそれだけの額を出すことが出来るあたりクロムの財力と手腕が伺える。
「炎牙とは大きくでたね。お前しか作れないんじゃないか?」
炎牙は鍛冶アイテムであり、敵からのドロップはない。しかもそのグレードは最高LVである。
「まぁな。伊達に名匠じゃねぇよ。だからこそのこのクエストだったんだろうな。楽で助かったがなはっはっは。」
そういってクロムは不豪快に笑う。特殊なジョブにつけて機嫌がいいのだろう。
「マスター、約束はよいのですか?」
クロムと話し込んでいるとメルがそういった。
「マスター、急いだほうがよろしいかと。」
リルも言う。
「おっと、すっかり興奮してた。急ぐか。んじゃ約束があるからいくな。また武器メンテよろしくな。」
阿修羅の武器のメンテはクロムと知り合って以来クロムに任せている。クロムのメンテはさすが名匠だけあって、そこらの鍛冶屋に頼むより数倍、そのままの状態を維持できる。そのため阿修羅はその鎌1本でやっていけているわけだ。恋は自分でメンテをしているらしいが、戦闘時は電気をまとっているため劣化しにくいそうだ。
「おう。匠になったからな。次からはもっといいメンテが出来ると思うぜ。」
そうして阿修羅はすこしあせりながら2人を連れてリランチに走る。
「悪い遅くなった。」
そういってリランチの一角の席に座る。すでに3人は席に座っていた。職を見ようとサーチしてみるとだれも転職していないようだった。
「あれ?みんな転職してないの?」
阿修羅は尋ねる。
「はぁみんなクエストしないといけないから。」
メシルは溜息をしながら答える。
話を聞くと恋は[転職]雷獣の導き、メシルは[転職]雹導を極めしもの、クツキは[転職]天の巫女というクエストを発生させたらしい。どれも確とした手がかりはなく唯一クツキの天の巫女は、天空都市『クラウド』にあるセント=グランツ大聖堂が怪しいという感じである。
「んー。俺もクエスト発生したから全員か。よく運営も1人1人につくるよな。」
阿修羅はめんどくさそうにつぶやく。
「みんなってわけじゃないでしょ。このギルドが異常なのよ。ちょっとね。」
そういっているとクツキが持っているものを机に出す。それはたくさんのカードであった。
「おーすごーい。」
恋は驚いてつぶやく。
「クツキこれアーティファクト?」
阿修羅が聞くとクツキは1度だけうなずく。
「....これ....どうすればいい?」
クツキはすこしつらそうに阿修羅に聞く。
つらいのは当たり前だ。クツキの評判はこれらのアーティファクトで悪くなったも同然だからだ。今でこそそこまで非難する人は少ないが、当時は町も歩けないほど非難の言葉を投げつけられたのだ。阿修羅もそのことを考える。このまま持っているのもありだが、それではクツキは納得しないだろう。だからといってすべてを売るのも気がひける。そこであることをひらめく。
「合成...合成しちゃえばいいんじゃないか?」
阿修羅は答える。
合成とは主に鍛冶屋で出来るシステムである。鍛冶屋でも武器の生産、修理、強化、そして装備品の合成が出来る。合成は武器の強化とは違い、装備同士で行う装備強化である。組合せによっては強力な装備品になったりするが、ほとんどの場合は失敗したり、仕様用途のわからないアイテムになったりする。うまくいけば2つの装備の性能が混ざったりするため、それに掛けて合成に躍起になっている半ば博打打のようなプレイヤーもいる。
「そうね。アーティファクトだしもしかしたらいいものできるかもだし。そんなあっても邪魔でしょ。」
クツキの持っているアーティファクトはたしかに今でも貴重なものだ。でもバージョンがあがり、アーティファクト1つ1つの重要度は少なくなっている。ましてや全員がトッププレイヤーであるモノクロームにはほぼ必要がなかったりする。クツキを含め、全員がそれぞれ強力なアーティファクトの装備や強化を施した装備をもっているからである。
阿修羅は賛否を確かめるためクツキを見る。
「...それで...いい。」
クツキはいつもの無表情でそう答えた。
「さてまずはクラウドにいくか。」
アーティファクトの合成を終え、全員グラディスの中央の光を発している魔法陣の中に集まる。アーティファクトはいくつかの換金アイテムと装備6個になった。天剣『ウインドクレイモア』という初めて見るアーティファクトを手に入れたため一応は成功といえた。クラウドへはこの魔法陣でグラディウスから直接いくことが出来る。そして次の瞬間4人はグラディウスから消えた。
『名匠』クロム LV70 職・匠
名匠...鍛冶スキルを3段階上げる。製作時間-70% 装備製作時低確率で特殊能力付加。
匠...最高位の装備製作可能になる。装備製作失敗無効。特殊能力付加率上昇。素材ドロップ率上昇。